各部測定結果
千田さんのエンジン・リフレッシュ&チューンナップ計画の第2段です。
今回は各部のメタル類のリペアパーツを発注する際に標準サイズでいけるかどうかを確認しておいた方が良いのでメインジャーナルやコンロッドの大端部のオイルクリアランスを測定してみます。
ジャーナル部のオイルクリアランスはプラスチゲージによって測定します。細い棒状のゲージをジャーナルとキャップで挟み込んでボルトを規定値で締め込み,再度ばらしてゲージの潰れ具合を付属のスケールと比較してオイルクリアランスを測定します。オイルクリアランスの基準値は0.018〜0.036mmですが使用したプラスチゲージは0.025〜0.076mmの範囲を測定できるタイプです。(このサイズが一番小さかったですね。)
ここでクリアランスが限度値より大きかった場合はクランクのジャーナル径をマイクロメーター等で直接測定しメタル側の磨耗かクランク側の磨耗かを確認し,メタル側だけの磨耗であれば新品のメタルに交換すれば良いのですが,不幸にもクランク側の磨耗だったりするとアンダーサイズのメタルを使用し,それに合せてクランクジャーナルを再研磨する必要がでてきて大変です。この再研磨がちまたのボーリング屋さんで出来るかは未確認だし,出来たとしてもきっと加工費が高そうなので異常磨耗が無いことを祈りましょう(笑)。
こちらはスラストメタルのへたりを見る為のエンドプレーの測定の様子。ダイヤルゲージをセットしてクランクを前後に動かしてスラスト方向のクリアランスを読み取ります。これもクランク側に磨耗があった場合はオーバーサイズのスラストメタルを使用しそれに合わせてクランクのスラスト部を再研磨する必要がありますが,そんなことは滅多に無いでしょうね。
写真は有りませんがピストンリングとシリンダーの磨耗状態を確認する為にピストンリングの合い口の隙間も測定しました。でもピストンは千田さんの要望により0.25mmのオーバーサイズを使用しそれに合せてシリンダーも加工に出すので測っても関係無いです。サッカモーエンジンのへたり具合を確認するだけですね。
全体的に目視でのチェックでは各メタル類に傷は全く無くきれいなものでした。シリンダーのクロスハッチも一部消えかかってたくらいで異常磨耗は見当たらずそのまま標準サイズのピストンを組み込んでも良いくらいに見えましたね。
結果発表!
各測定値のテーブルはFire氏のエンジンリフレッシュ計画を参考にしました。ついでにFire号の測定値も参考値として載せておきました。また基準値外れは黄色で表しています。
コンロッド関連数値
測定部位 | 基準値 | 限度値 | 実測値 | 参考値 (Fire) |
大端部オイルクリアランス No1 | 0.028〜0.068 | 0.10 | 0.06 | 0.05 |
大端部オイルクリアランス No2 | 0.028〜0.068 | 0.10 | 0.06 | 0.06 |
大端部オイルクリアランス No3 | 0.028〜0.068 | 0.10 | 0.05 | 0.05 |
大端部オイルクリアランス No4 | 0.028〜0.068 | 0.10 | 0.06 | 0.05 |
エンドプレー No1 | 0.110〜0.262 | 0.30 | 0.16 | 0.2 |
エンドプレー No2 | 0.110〜0.262 | 0.30 | 0.19 | 0.2 |
エンドプレー No3 | 0.110〜0.262 | 0.30 | 0.19 | 0.2 |
エンドプレー No4 | 0.110〜0.262 | 0.30 | 0.17 | 0.22 |
クランクシャフト関連数値
測定部位 | 基準値 | 限度値 | 実測値 | 参考値 (Fire) |
メインジャーナルオイルクリアランスNo1 | 0.018〜0.036 | 0.10 | 0.050 | 0.04 |
メインジャーナルオイルクリアランスNo2 | 0.018〜0.036 | 0.10 | 0.060 | 0.06 |
メインジャーナルオイルクリアランスNo3 | 0.018〜0.036 | 0.10 | 0.060 | 0.05 |
メインジャーナルオイルクリアランスNo4 | 0.018〜0.036 | 0.10 | 0.055 | 0.04 |
メインジャーナルオイルクリアランスNo5 | 0.018〜0.036 | 0.10 | 0.070 | 0.04 |
エンドプレー | 0.080〜0.282 | 0.30 | 0.13 | 0.18 |
クランクシャフト振れ | - | 0.04 | 0.019 | 0.015 |
ピストンリング関連数値
測定部位 | 基準値 | 限度値 | 実測値 | 参考値 (Fire) |
トップリング No1 | 0.15〜0.30 | 1.0 | 0.13 | 0.3 |
トップリング No2 | 0.15〜0.30 | 1.0 | 0.29 | 0.3 |
トップリング No3 | 0.15〜0.30 | 1.0 | − | 0.42 |
トップリング No4 | 0.15〜0.30 | 1.0 | 0.33 | 0.27 |
セカンドリングNo1 | 0.15〜0.30 | 1.0 | 0.34 | 0.67 |
セカンドリングNo2 | 0.15〜0.30 | 1.0 | 0.35 | 0.57 |
セカンドリングNo3 | 0.15〜0.30 | 1.0 | − | 0.67 |
セカンドリングNo4 | 0.15〜0.30 | 1.0 | 0.34 | 0.75 |
オイルリング 上 No1 | - | - | 0.70 | 0.85 |
オイルリング 上 No2 | - | - | 0.65 | 1.0以上 |
オイルリング 上 No3 | - | - | − | 0.95 |
オイルリング 上 No4 | - | - | 0.60 | 0.7 |
オイルリング 下 No1 | - | - | 0.65 | 0.65 |
オイルリング 下 No2 | - | - | 0.60 | 0.65 |
オイルリング 下 No3 | - | - | − | 0.67 |
オイルリング 下 No4 | - | - | 0.60 | 0.65 |
抜けている箇所はサッカモーがピストンからリングを外す時に割ってしまった為に測定出来なくなったところですね。
ほとんどは基準値内かちょっと超えているくらいで限度を超えている所は有りませんでしたね。またへたり具合としてはFire号と大体同じくらいかな。という事でピストン以外は全て標準サイズのメタルを注文する事にしました。部品発注リストは次回にしましょう。