可変慣性吸気ソレノイド・コントローラー

 今回はNB1のヘッドまわりを使用したのですがこのNB1のINマニには可変慣性吸気システムなるものが付いておりまして、そのままNA8に載せたところでこのシステムは機能しない為、何とかしてやろうというのが今回の企画です。 

とりあえずこの可変慣性吸気システムとは何ぞや?という人の為に簡単に説明しておきましょうか。

 インマニ内では吸気バルブの開閉によって空気の脈動流が生じます。この脈動流はINTバルブとサージタンクの間を行ったり来たりしますが、このタイミングとINTバルブが開くタイミングが合うといわゆる慣性過給効果が生じ、吸入空気量が増えて出力が向上します。通常はインマニの長さは変化しないのであるその効果が最大となる回転数はある一箇所(と言っても1〜2000回転くらいの幅はあるでしょうけど。)になってしまうが、下図のようにシャッターバルブを開き脈動流の経路を短く変えることで脈動の周期を早くすることで慣性過給効果の生じる回転数を高回転側に変化させるシステムです。

※低・中回転時(5,250rpm未満)
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シャッターバルブはアクチュエータがバキュームタンクの負圧によって閉じた状態になっており、このときの有効吸気管長はサージタンクからINTバルブまでの長さとなっている。

※高回転時(5,250rpm以上)
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この時はアクチュエーターのダイヤフラム室がソレノイドバルブによってバキュームタンクと切り離され大気開放となり、アクチュエータ内のスプリングの反力によってシャッターバルブが開いた状態となり、有効吸気管長はチャンバからINTバルブまでの長さに変化し、上図の時より短い経路となる。

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実物を見ると右の青い丸で囲んであるのがシャッターバルブ・アクチュエータ
左の赤で囲んであるのがソレノイドバルブであります。

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シャッターバルブ自体はこんな感じ。

 だいたいは分かっていただけたでしょうかな?
まあ,細かいことまで気にしないで良いです(^^;。だってここまでの話は単にNB1のインマニを使ったらおまけで付いて来た機能なだけで、別にこれからおいらが作るわけではないので(^^;;;。

要は5,250回転を境に,このソレノイドバルブに電気を流したり流さなかったりするコントローラーを作って,NA8Cの制御では動かない上記のおまけ機能を生かそうって話です。

 ...とは言ってもエンジンの回転信号を拾って設定した回転数の時にソレノイドバルブへの電圧供給をON・OFFさせる回路なんでおいらに設計できるわけ無いので,既に似たような機能を持った製品があるのでそれを利用することにしました。

その似たような機能を持った製品と言うのは,皆さんもご存知のシフトアップインジケーターです(^^)。
このインジケーターが点灯する時にランプに供給される電圧を拾ってソレノイドバルブに通電させたりする回路を作れば良いのだ。この方法なら面倒な回転信号の制御とかは考えなくて済むのだ。

但しの多くのシフトアップインジケーターは設定回転数になるとランプが高速で点滅するタイプがほとんどで、これだとソレノイドバルブも一緒に高速でON-OFFを繰り返してしまうので話になりません。

そこでいろいろ探していたらG/S氏が付けていたSARD製のP.B.I.(Power Band Indicator)だと点滅しない設定が可能ということを聞き早速購入してみました。

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これです。定価は14,800円ですが通販とかでは11,000円くらいで売っていますね。

これは設定によって緑点灯赤点灯とか緑点灯赤点灯とかに設定が出来ます。今回はを殺した緑点灯赤点灯の設定を選択し、これだと緑点灯の設定をソレノイドバルブの切り替えの回転数である5,250rpmくらいに設定し、更に赤点灯は通常の使用法どおりにREVリミットの7,500rpmに設定することで出来ます。

では早速このP.B.I.をバラしてみましょう(^^;。

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この回路の主役は予想通りPICと言うワンチップのマイコン。(ICチップのように見えるやつ)
ほんとはこのPICマイコンを勉強してソレノイドバルブコントロールの回路を一から作ろうかとも思いましたが,大変そうだったのでやめたのです(^^;。
でもちょいとは勉強してたので緑と赤の出力を難なく見つけ出し信号を取り出す為に,写真の赤枠のようにダイオードを介した配線をPICの出力端子に接続してやりました。

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 後はこの信号を入力とするトランジスタのスイッチング回路を作ってやればOK(^^)。
入力信号を超有名な2SC1815で受けて出力側にこれまた有名な2SD880を使用。2SD880の最大コレクタ電流は3A程有るので直接ソレノイドバルブを駆動できそうでしたがどの程度発熱するか分からなかったので大事を取ってリレーを追加しておきました。あとあとテストを行う時にリレーの方が動作しているかどうかを音で確認できるので良かったです(^^)。

基盤からはみ出しているLEDはリレーからの出力電圧の確認用です。

 P.B.I.本体と仮接続して実験するとリレーが激しくチャタリングしました(・・;)。なんで...?
よくよく調べてみるとPICからの出力電圧自体が早い周期でON-OFFを繰り返しているようで,そのままの周期でリレーもON-OFFしているのでした。
このままでは使い物にならないのでPICからの出力にコンデンサを接続させて安定化させることに。いろいろ試した結果1μFの電解コンデンサがちょうど良く,良い感じにリレーが作動するようになりました(^^)。

では出来上がった回路図をお見せしましょう...と言いたいのですがおいらは電子回路については素人でして,使用した抵抗やコンデンサの値は実験により設定したものがほとんどなので電子な方々にはお見せできる回路じゃないかもです(^^;。と言うことで回路図の公開はしません(笑)。
どっちにしてもとっても簡単な回路なので電子な方々は見るまでも無いし,そうでない方は良い機会なのでトランジスタの勉強をネットとかでして下さい(^^;。



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後はケースに入れるだけ。と言っても実はこの作業が一番大変だったりするのだ(^^;。
ちょうど良いサイズのケースやケーブルを探すのが結構面倒だったり,基盤やLEDのレイアウトとかも結構悩んだりするのです。
そしてメインの電子部品代よりもよりもはるかに高価で,加工する際はおいらの財布的に失敗は許されないので結構プレッシャーが掛かります(笑)。

回路的に簡単すぎて寂しい感じがあったので強制的にリレーを動作させるプッシュスイッチを追加しておき,可変慣性吸気の効果を確認できるようにしてみました。

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完成図です(^^)。
コントローラーBOXは両面テープ等で邪魔にならないとこに貼り付ければOKです。

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コントローラーの電源はP.B.I.の本体から配線しておいたので,ECUとの接続はP.B.I.の説明書通り繋げば良いです。
と言っても説明書ではECUのハーネスの途中から接続することになっていますが,ハーネスを痛めるのは嫌だったのでおいらは直接ECUへはんだ付けすることにしました。ついでにECUの保護用にヒューズも入れておきました。

最後にECUを戻し,P.B.I.本体とコントローラーを車に取り付け完成です(^^)。

 

これにて可変慣性吸気が機能することになりましたがその効果の程は...あんまりわかりません(^^;;;。
...と言いますかこいつは高回転で効果を発揮するので1,2速ではもともとふけ上がりが早すぎて違いが分からんし、一般道で3速以上の高回転を回しながらバルブの強制切り替えボタンを押して確認しようとすると相当スピードが出ていて危ないし,ボタンを押せても集中できなくてこれまた違いが良く分からないのですわ(^^;。

パワーチェックでもやれば違うのでしょうけど所詮数馬力くらいの差しかないでしょうから効果があっても体感できないかもですね。

まあ,死んでいた可変慣性吸気のシステムを動かすことが出来たというだけで満足しておきましょう(笑)。


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