ルーンワース 黒衣の貴公子
(T&Eソフト)


「ハイドライド」シリーズ以来のT&EソフトのオリジナルRPGです。
実は私、これには相当期待していました。

 

このゲームには、取扱説明書の他に「データハンドブック」なるものがついています。
手触りのいいビロードのような布が張ってあるゼイタクなカバーの本でした。
そしてその中身も、そのカバーに負けない豪華なものでした。
創世神話と神々、地理、国家、人種、交通手段、正統宗教および邪神宗教、魔術体系、
さらに各国ごとの通貨単位と貨幣のイラストまできめ細かく記してあり、
これを読んだ私は「こんなすごい設定を詰め込んだRPGなんて初めてだ…」と感激しました。

 

ところが、いざゲームを進めてみると…
緻密な設定の1割も生かしきれてねえんだ、コレが。
5つの体系に系統づけられた魔術も、10数種類に及ぶ宗教も、わざわざ交換比率まで記載してある各国通貨も、
地上用、海上用、飛行用と豊富に用意された交通機関も、壮大な創世神話も…
はっきり言ってまったく意味ナシ。
ゲーム中にほとんど出てきやしねえ。

 

おまけにこのゲーム、経験値というものが存在せず、レベルアップは宝箱のアイテムで行うため、
敵を倒してもいいことは何もありません。
貴重なアイテムもなーんにも得られず、お金しか手に入りません。
解説書に「この怪物の甲羅は貴重な防具の材料になる」とか「この食人花の樹液は不老不死の妙薬になる」とか、
思わせぶりなことを山ほど書いておきながら、これはあんまりじゃないですか?

 

その他にも、RPGのくせに出てくる武器はたったの三種類だったり、
マジックポイントの最大値を上げるのにいちいち記憶力テストを受けなきゃならなかったり、
思わせぶりな噂話のほとんどはストーリーと何の関係もないし、
欠点をあげていけばきりがありません。
せめてシナリオが面白ければよかったのですが…。

 

これほど設定資料が生かされてないゲームってのも珍しいと思います。
このゲーム、確か続編も出ていましたが当然買いませんでした。


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