第11話「鉄人、天敵に大敗北」


突然ですが、皆さんはゴールデンウィーク、どのように過ごしました?
私は、まぁ人並みに友人と観光地に行ったり、実家に帰ったりして、それなりに楽しくの過ごしたですが…。
ひとつ、複雑な体験をしました。

 

それは、5月4日のこと。
久しぶりに家族全員で母の実家に帰ることになった私は、正直あまり気乗りしませんでした。
なぜなら、そこには私の苦手とする天敵がいたからです。
それは…ガキおっと失礼子供
5歳と4歳になる二人の女の子が、そこにいるからです。

 

私は、正直言って子供が苦手で苦手でしょうがありません。
ニコニコ笑ってりゃしつこくまとわりついてくるし、
かといってちょっとひっぱたくと超音波みたいな声で泣き喚くし…。
はっきり言って相手にしてると疲れます。
…と言うか、子供好きな20男なんてあんまりいないのではないでしょうか。
程度の差こそあれ、20代の男性は、私と同じような感じなのではないかと思います。

 

…てなわけで、半ば憂鬱な気分で実家を訪れた私は、親戚へのあいさつもそこそこに、外へ逃げていきました。
気晴らしに携帯でムリヤリ知り合いに電話したり、やたら広い庭を散歩したりして時間を稼ぎます。
ところが意外や意外、てっきりまとわりついてくるかと思っていた2匹おっと失礼2人のお子様は、
私の母親が猫かわいがりしていたためか、私には関心を示しませんでした。
安堵した私は、再び家の中に戻り、親戚一同と団欒の一時を過ごしたのでした。

 

…が、やっぱりそううまくはいきませんでした。
昼食の寿司をたらふく食い、真っ昼間からガバガバと酒まで飲みまくった私は、気持ちのいい眠気に身をゆだね、
離れの部屋で昼寝をしようとしていました。
そこに来たのです、アレが。

 

「うふふふふ〜〜〜〜」
変な笑い声と共に、横たわる私の
腹に遠慮なく腰掛けるガキおっと失礼お子様。
やっぱり来やがったか!

 

せめてもの、たいしてありがたくもない救いが、幸いにも4歳の方の子一人だけだったということでした。
酔って眠くて機嫌最悪の私は、近付いてきたそいつの襟首掴んで目の前に引きずってやりました。
ところが、こんな見方によっては児童虐待一歩手前の行為にも関わらず、その子はニコニコ楽しそう。
そんなその子の襟首掴みつつ、酔って
変な具合にテンションの上がっていた私は、
ラオウよろしく凄みを利かせて言ってやりました。
「小僧!怖くばオレの腕を食いちぎってでも抗え!」
はっきり言って
バカ丸出し
何やってるんでしょうか、この男は。

 

ところが当然と言うかなんと言うか、その子は平然と言ってのけました。
「おじちゃん、なに言ってるかわかんな〜い」
と。
まぁ当然の反応でしょうが、決定的な一言
「おじちゃん」が、私の心を深くえぐりました。
まだ今年20代後半に突入したばかりの私を、よりによって「おじちゃん」呼ばわりした罪は重いです。
「誰がおじちゃんじゃァ!」
「おじちゃん」
絶妙のツッコミです。まぁ当然ですが。
しかし、すっかり変な意味で怒り心頭の私は、4歳のガキおっと失礼お子様と半ば本気で口論するわ、
家中どころか外まで追いかけっこしたりする始末。
その姿は、どう見ても4才児と同水準でした、今思うと。

 

そんなこんなで、いつの間にやら帰る時間になっていました。
半ば自業自得でムチャクチャ疲れた私は、重い体を引きずりつつ車に乗り込みました。
今回は自分が運転手でなくてよかったです、ホント。
あ〜もうしんどい、寝る!と思っていた時、その子がてとてとと近付いてきました。
これ以上相手するのはたまらんとうんざりしていた私に、その子はニコニコ笑いながら言いました。
「また来てね、おじちゃん」

 

…反則だって、それ。
負けました。完璧に負けました。
わかりました、認めます。

ガキの笑顔は反則だっつーの!!


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