私のパソコンライフの原点は、遠く小学6年生の頃にさかのぼります。
当時はちょうどファミコンがブームになり始めた頃で、徐々に家庭にゲーム機が浸透していった時代でした。
私も、友達の家へ遊びに行った時に初めてファミコンに触れ、その面白さに衝撃を受けました。
もうファミコンが欲しくて欲しくてたまらなくなった私は、親に必死にファミコンを買ってくれるよう頼みました。
ですが、それに対する父の返答は、次のような謎に満ちたものでした。
「あんな遊びにしか使えないオモチャは買わん!」
…オモチャとはそもそも遊びに使う物では?という素朴な疑問は完全に無視され、ベルリンの壁より頑丈な
父の反対にあい、私はファミコン購入を断念せざるを得ませんでした。
ですが、代わりに父が私に買い与えてくれた物がありました。それがMSXだったのです。
しかも当時の値段で79000円という、小6のガキへのプレゼントとしてはえらく高価なシロモノでした。
おそらく、父は「パソコンなら勉強にもなるからいいだろう」と考えたのでしょう。
結局はファミコンと大差ない扱いを受けてましたが。
ともかく私はこのプレゼントに素直に感謝し、雑誌のBASICプログラムを打ち込んだり、お絵描きツールで絵を描いたり、
MSX用のゲームで遊んだりと、それなりに楽しく使いこなしていました。
しかし、間もなくひとつの重要な問題が浮かび上がってきました。
それは友達と全然話が合わないということです。
「ゼビウス」の無敵技や、「ドルアーガの塔」の宝の出現方法などの話で盛り上がってるのを聞いても、
私には何の事だかサッパリ。
読んでる雑誌も、周りが「月刊ファミリーコンピュータ」だったのに、私だけ「マイコンBASIC」でした。
登下校の会話なんて、こんな感じでした。
「なあ、お前パソコンでどんなゲームやってんの?」
「ファミコンとあんまし変わんないよ。最近はゼビウスみたいなのやってる」
「へー、そういうのもあるんだ。なんてタイトル?」
「スカイジャガー。知ってる?」
「・・・・・・・・・・」
「あと『スパルタンX』そっくりなやつもあるなぁ」
「…なんて名前だ、それ?」
「聖拳アチョー」
「・・・・・・・・・・」
ただ、パソコンを持っていて、ひとつ得をする事がありました。
それは、周りが私の事をすごい奴と勝手に一目置いてくれたことです。
今からは想像もできないくらい、当時は小学生の分際でパソコン持ってる奴は珍しかったんですよ、ホント…。
すっかり調子づいた私は、雑誌のプログラムを打ち込んだだけのゲームを自作と偽って友達に自慢したり、
子供だましの簡単なBASICプログラム(画面をフラッシュさせたりするようなもの)で、周りの賞賛を浴びたりなどといった
かわいらしい悪行をしばしば行っていました。
今となっては、懐かしい思い出です。少年時代っていいもんですねえ。
以上が私のパソコンライフの原点です。
…そして、最後に一言。
みんな、だましてすまん。
|