第1話「鉄人、『やるドラ』を語る」


実は私、「やるドラ」シリーズ全部持ってます。
電撃PSの予告編CDを見て、「こいつは面白そうだ」と思って買ったのですが…。
以下、おのおのの感想を述べていきます。

注:例によってネタバレの嵐です。


<ダブルキャスト>

<あらすじ>

映画研究会に所属する主人公は、道端のゴミ捨て場で酔いつぶれていたところを、
謎の少女、赤坂美月に介抱される。
自分の名前以外の記憶を失っているという彼女を放っておけない主人公は、
彼女の記憶が戻るまで、自分のアパートにかくまうことにする。
奇妙な同居生活を続けるうちに、しだいに親しくなっていく主人公と美月。
そんな中、映研で「かこひめの寝屋」という、いわくつきの映画を製作することになり、
主演女優を演じてくれる女性を探す事になる。
主人公は美月を主演女優に推薦し、美月もそれを快く承諾。撮影が始まった。
…だが、主人公と美月の周りで、次々と奇怪な事件が起こるようになる。

美月の記憶の秘密とは…?
そして、それが明らかになったとき、二人の関係は…?

<感想>

「ダブルキャスト」というタイトル、あのパッケージイラスト、そしてオープニング。
はっきり言って、この3つで容易にストーリーが想像できてしまうのは困ります。
せっかく話自体はけっこう面白いのに、先の展開が簡単に予想できてしまうのは残念です。
それに、バッドエンドが多すぎるのではないでしょうか。
どうせマルチストーリーにするのなら、バッドエンドを増やすのではなく、ストーリー展開を増やす方向に
持っていかないと、プレーヤーに飽きられてしまうと思うのですが…。
でも、「外伝」は面白いです。
サブキャラ達の意外な一面を見られたり、まったく違った設定のショートストーリーが楽しめるのはいいですね。
あと、剛田&花園の筋肉コンビにもっと活躍して欲しかったです。
ああいう体力ギャグ、好きなんですよ…学生時代の私みたいで(笑)。


<季節を抱きしめて>

<あらすじ>

桜の咲く季節。
大学生の主人公とその親友(恋人?)のトモコは、桜の木の下で倒れている少女を発見する。
見慣れない学校の制服を身に付けたその少女は、一切の記憶を失っていた。
高校時代に交通事故で亡くなった同級生「桜木麻由」に瓜二つの彼女を放っておけない主人公は、
彼女の記憶探しに協力する。
そんな中、彼女は自分の名前を思い出すが、その名はなんと「麻由」であった。
とまどう主人公だが、明るく屈託のない彼女にしだいに惹かれていく。
だが、そんな主人公の姿に、トモコは嫉妬して…。

果たして、麻由は一体何者なのか?
そして、主人公は誰を選ぶのか…?

<感想>

「ダブルキャスト」がサイコミステリー風だったのに対して、こちらは恋愛色を強くしたファンタジー風の作品です。
はっきり言って、かなりこっぱずかしい内容です。
特に麻由のシャワーシーンやエプロン姿、男物シャツ姿などは絶対狙っています
今作ではヒロインは3人いて、それぞれのエンディングが用意されており、「ダブルキャスト」に比べて
それぞれのストーリー展開が大きく異なる点が良いです。
バッドエンドが多い点は相変わらずですが。
しかし、私がこの作品で最も気に入っているのは、主題歌「季節を抱きしめて」です
これは間違いなく名曲です。
内容の多少の問題点なんて、この歌でぶっとびました(笑)。

ここに断言しましょう!
この歌は、春先の卒業シーズンに大々的に売り出せば
間違いなくヒットします!

ソニーレコードさん、なんとかなりませんか(笑)?


<サンパギータ>

<あらすじ>

雨の降る夜半、飲み会帰りの主人公は、路地裏にうずくまる異国の少女と出会う。
怪我をしていた少女を放っておけず、自分のアパートに連れて行く主人公。
少女は、「マリア」という名前以外の記憶を失っていた。
何か手がかりはないかと、唯一の持ち物であるハンドバッグを調べる二人。
その中には、なんと本物の拳銃が入っていた。
不安を感じながらも、穏やかな日々を送るうちに、次第に二人は惹かれあう。
だが、やはり平穏な日々は長くは続かなかった…。

主人公を待ち受ける、過酷な運命とは?
平穏な日々には、もう戻れない…。

<感想>

「やるドラ」シリーズの中で、もっともハードなストーリーの作品です。
外国人の不法就労、暴力団、フィリピンのストリートチルドレン達の生活…かなり重いトーンで話は進んでいきます。
クライマックスの組織同士の抗争シーンも、かなり凄惨に描かれています。
エンディングも、単純に「ハッピーエンド」と言えるようなものはありません。
ですが私は、ストーリー的に、この作品が一番気に入っています。
これは、かなりの意欲作と言えるでしょう。
ただ、やはりバッドエンドの多さがどうしても気になります。
いったい何度殺された事か(苦笑)。
せっかく盛り上がっているところで何度も殺されてしまい、テンポ良く話が進まないのはどうかと思います。
あと、「季節を抱きしめて」では話の展開が色々あったのに、この作品では似たような展開が多いのが辛かったです。
まあ、「マリアのタガログ語講座」は勉強になりましたけどね(笑)。


<雪割りの花>

<あらすじ>

雪の降る町で、下宿生活を送る大学生の主人公。
隣の部屋の「桜木花織」という女性にひそかな想いを寄せていたが、彼女にはすでに婚約者がいた。
そんなある日、花織が倒れたとの知らせが入る。
急いで病院に駆けつける主人公であったが、彼女は記憶喪失になってしまっていた。
しかもその原因は、婚約者が出張先で死亡したいう悲報を聞いた衝撃からだったのだ。
やるせない思いを胸に抱えつつ、献身的に花織に接する主人公。
だが皮肉なことに、花織は主人公のことを、死んだ婚約者だと思い込んでしまった。
罪の意識にさいなまれつつ、偽りの婚約者を演じる主人公。
しかし、ある出来事をきっかけに、彼女の記憶は戻ってしまう。

主人公は、本当の意味で彼女を救う事ができるのか…?

<感想>

く、暗い…。
冬の街という舞台設定と、物語の内容が絡み合って、とてつもなく暗い内容に仕上がってます。
はっきり言って、ハッピーエンド以外のエンディングは見たくありません。
バッドエンドなど、完全に救いようがありません。
主人公がなかば自閉症になったり、花織が自殺したり…もうどうしようもありません。
他の「やるドラ」のバッドエンドと違い、やるせなさばかりが残る精神的に辛い結末ばかりです。
あと、あの独特のタッチの絵…私はけっこう好きですが、どう考えても一般向けではありません。
でも、そこが意欲的とも言えるのですが。
「サンパギータ」とこの作品は、そういう独自性を持たせようとしている点で好感が持てます。
このような、挑戦的な作品を作ってくれるメーカーさんがいてくれるのは嬉しいです。
ただ、それが面白い作品かどうかというのは、また別な問題ですが…。


<最後に>

できれば私は、「やるドラ」シリーズ、もっと続けて欲しいです。
バッドエンドの数を減らして、途中の展開をもっと多様にする方向性で進めていけば、
すごい傑作ができる可能性を秘めたジャンルだと思います。
でも、やっぱり製作コストがかかるんだろうなぁ、こういうタイプの作品は…。
(↑などと書いていたら、出ますね新作…どんな内容になるんでしょうか…?)


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