2005.8.2    
香寺中学校 理科夏期講座 

「市川の川原の石から大地を学ぶ」

                              日本岩石鉱物鉱床学会会員  市川中学校  橋元 正彦
 川原の石は、その上流にどのような岩石が出ているのかを教えてくれます。今日は、香寺町を含むこのあたりの地質や岩石、大地の成り立ちを学びます。その後、「市川町ゴルフ」近くの川原の石を調べて採集します。採集した石は、学校に帰ってからきれいにみがき、標本として整理します。
1、出かける前に(その1)
   このあたりの大地は、いつごろどのようにしてできたのでしょうか。図1や図2を参考にして考えましょう。
 <図1 「日本列島の誕生(平朝彦、1990)」より>超丹波帯(主に古生代ペルム紀に付加)、丹波帯(主に中生代ジュラ紀に付加)

 <図2>後期白亜紀の大規模な火成活動

超丹波帯や丹波帯の岩石






後期白亜紀の火成活動による岩石






2、出かける前に(その2)
   観察や採集のできそうな岩石について知っておきましょう。
@泥岩 泥が固まった岩石です。粒の粗い泥岩をシルト岩、粒の細かい泥岩を粘土岩といいます。
A砂岩 砂が固まった岩石です。表面がざらざらしています。
B礫岩 礫(2mmより大きな粒)が固まった岩石です。
C頁岩 泥岩が長い間弱い圧力を受け、一方向に割れやすくなった岩石です。超丹波帯や丹波帯の泥岩の多くが、この頁岩になっています。
Dチャート 表面がなめらかな感じの石で、色は黒色・灰色・白色・赤色などさまざまです。たいへん硬く、ハンマーの先やくぎでこすっても傷がつきません。チャートは、放散虫などの珪酸質の殻をもつプランクトンの遺骸が、海底に降り積もってできた岩石です。
E凝灰岩 火山灰が固まってできた岩石です。
F溶結凝灰岩 火山灰などが、高温の火砕流として堆積し、内部が高温のために一度溶けてから冷え固まった岩石です。軽石が細長く伸びたレンズ状の火山ガラスを含んでいることが特徴です。また、他の岩石の破片を含んでいることもあります。このあたりで一番多い岩石です。
G流紋岩 珪素が多く鉄やマグネシウムが少ないマグマが溶岩として流れた岩石です。石英が多く含まれています。
H安山岩 流紋岩より珪素が少なく鉄やマグネシウムが多いマグマが溶岩として流れた岩石です。斜長石や角閃石などの粒(斑晶)が、岩石の表面に目立ちます。灰色・緑色・紫色などがあります。
I緑色岩 海底で噴出した玄武岩は、海水と反応して緑色の岩石となります。このような岩石を緑色岩といいます。暗い緑色をしていることや、表面に丸い穴があいていることが見分けるポイントです。
J花こう岩 全体的に白い岩石で、ゴマをふったような黒い鉱物が目立ちます。この黒い鉱物は黒雲母で、白い部分は石英と長石です。地下深くで、マグマがゆっくりと冷えて固まった岩石です。
Kせん緑岩 花こう岩より、黒い鉱物の割合が多くなった岩石です。黒い鉱物は、黒雲母・角せん石・輝石です。花こう岩とせん緑岩との中間の岩石を、花こうせん緑岩といいます。
その他 ホルンフェルス花こう斑岩ひん岩などが見つかるかもしれません。
3、現地に行って
(1)川原に出ます。まず、川原に立って周囲の石をながめてみましょう。石の大きさ、石の形、石の色を観察しましょう。
(2)石を手に取り、よく観察しましょう。そして、なんという名前なのか考えましょう。準備した標本と比べると、わかりやすくなります。また、ハンマーで割って中の新鮮な面を見るとよくわかることもあります。ハンマーで石を割るときは、ハンマーや石が自分やまわりの人に当たらないよう十分に注意してください。
(3)標本を集めましょう。できるだけいろいろな種類を集めてください。標本箱の中に入る小さな石を探しましょう。
4、学校へ帰って
(1)石をスポンジなどでこすって、表面をきれいにしましょう。
(2)石を種類ごとに分け、マジックで番号を書き入れましょう。
(3)標本カードに、石につけた番号と石の名前を書き入れましょう。
(4)これで、「川原の石の標本」の完成です。
※ 今日の夏期講座の内容は、HP「兵庫の山々 山頂の岩石」にまとめておきます。自由研究などに利用してください。

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