続・幼き瞳は何を見る あれから、何年経ったかなぁ。 ブラウザを閉じて、お戻りください
THE END
あれって何だって?ちょっとそこのあなた。
そんなのも解らないでこれ読んでるって訳?1つ前に戻る事ね。
…まぁ、良いわ。
簡単に説明するとね、アタシは皆と一緒に『瓦礫の塔』って言う趣味が悪ーいとこに住んでる趣味の悪ーい奴を倒したの。
要するに、世界を魔の手から取り戻した訳ね。あ、アタシ的解釈よ、これ。
フツーはそれでめでたしめでたしになるんだけど、それで終わられては困るのよ、アタシは。
これまでの経緯を知ってる人は解るでしょ?
マッシュは最後の決戦の前に、アタシをお嫁さんにしてくれるって言った。
最初はビックリしたわよ。冗談かと思った。こっちも冗談のつもりで言ったんだけどね。
だって、17も歳が離れてるんだもん。どう考えても無理な話。他の皆も冷やかし半分でからかって来る。
でも、それからの周囲の扱いがどことなく違って来たのには参った。
パーティを組んだティナとエドガーは妙に気を利かせてくれるし、食事も休息もアイツと一緒にされてしまう。
エドガーの場合、これにかこつけてティナを狙おうって魂胆見え見えなんだけどさ。
マッシュはマッシュでやたらにアタシを庇ってくれる。エドガーの手前も有るんだろうけど。
戦いの終盤になると、こっちもその気になって来ちゃうのは仕方ないわよね。
ぼろぼろにやられてるのに身体張って守ってくれたら普通は気分良くなるものよ。自分だって一応、立派なレディのつもりだから。
汗臭くて嫌な奴って思ってたし、女心なんて全然解って無いんだろうなって思った。それよりも、こいつは女性に興味を持った事が有るんだろうかとも感じてた。
自分だから庇ってくれてるんじゃなくて、この場に居る誰にでも同じ事するんじゃないかって。
何年か経って、アタシも当然のごとくキレイに育っちゃった訳で、色々と声を掛けてくれる人も結構いる訳よ。
確かに、先に言い出したのはアタシだけど、その後何にも無いってちょっと失礼じゃ無い?
自分から言っちゃった手前、今更他のオトコに乗り換えるのもプライドが許さないし、はぁ、憂鬱…。
フィガロ城に滞在してこれが当たり前な日々だと感じ始めた頃、にわかに城内が慌ただしくなった。
『あいつ』が生きていたらしい。
ケフカは、より強力になった魔力で手当りしだいに街を制圧して軍隊を結成し、私怨ありありでフィガロに向かっているとのこと。
ここに自分の宿敵が集まるのをよく解っている訳ね。
カンペキに倒したと思っていたし、あの爆発で生き残ったなんて…、執念って凄い。
何年も経ってから今更のように動きだすなんて、余程悔しかったのね。
あら、感心してる場合じゃ無かったわ。
今回は目的が国盗りじゃなくて自分達だから、気を引き締めないとまずいかも知れない。
エドガーは、今は仲良くトレジャーハンティングに励んでるらしいあの2人を初めとする、各地に散った仲間達に連絡を取ったようだ。
仕事が早いわ。ま、国王なんだからそのぐらい機転が回らないとね。
その日の午後にはロックとセリスがフィガロ専用チョコボに乗って到着。カイエンのおっさんやじいさんも、セッツァーの船ですぐにやって来た。シャドウも、いつの間にか城内に来て居た。
一番最後に来たファルコン号が直陸してすぐに作戦会議に入り、誰が言うともなくリーダー的存在になっていたエドガーが作戦を指揮する。
久々の戦いだ。なんだか緊張して来たわ。自分は今度もちゃんと、戦力として認めてもらえるんだろうか。
エドガーの隣に居るマッシュは、今どんな気持ちで居るんだろう。
腕を組んでずっと目を閉じたままだ。
まさか、寝てる…?
「……じゃ、そう言う訳で行こう。みんな、悔いの無いように。自分と仲間達、そして未来のこの世界の為に」
エドガーが静かにそう言うと、
「誰に向かって言ってんだ」
机に脚を載せたセッツァーは相変わらず自信たっぷりに笑ってる。
「うむ、とどめを刺したつもりでいた我々もいけなかったでござるしな」
カイエンのおっさんはとても悔しそうだった。
「私…、このまま平和な日々が続くと思ってた。これからも繰り返すのかしら…。」
「大丈夫だ!これで…今度こそ本当に最期だ。俺達が終わらせるんだ」
相変わらずな2人に、『お2人さん、戦闘中にやっていては困るよ』とエドガーが微笑いながら部屋を出て行った。
「相手の死を確認しなかったのは、暗殺者として致命的なミスか…」
シャドウも呟きながら部屋を後にする。
みんなが部屋を出て行った頃、ようやくマッシュは眼を開けた。
久し振りに見る引き締まった顔。
「行くぜ!!リルム!」
マッシュはアタシのウエストよりも太そうな、傷跡だらけの二の腕を差し出す。
この腕が、今迄アタシを守って来てくれたんだ。
これから、この腕は誰を守って行くんだろう。自分以外の誰かなのかな、それとも…。
「どうした?」
不思議そうな顔をして覗き込んで来た。傷跡を見つめているのに気付いたらしい。
「大丈夫だって!オレの嫁さんには傷1つ付けさせないからなっ」
「はぁ?!」
こんな時に何を言い出すんだ、このオトコはーーーー!!!
「嫌だったのか?まいったな…。ドレスはもう前々から兄貴が用意しちゃってるしなあ」
「ド、ドレスぅ?!!」
「いや、今のは聞かなかった事にしてくれよ。やっぱ内緒は不味かったか…、でもプロポーズはもうしてるような気もしたんだけど、あれは違ったのか…」
何かぶつぶつ言ってる。気不味い雰囲気。
そんな事考えてたなんて、意外だった。放っておかれてたのはこっちの方だと思ってたから。
知らん顔して事を進めてるなんて、マッシュのくせに案外やるじゃない。
「デザイン見てから着るかどうか、決めてやっても良いけど」
アタシは彼の腕にしがみついて顔を見上げてみた。すると、見る見るうちに『いつもの』顔に戻る。
三白眼で唇の片側を上げる、不敵だけど憎めない、それでいて楽しそうないつもの笑顔。
そうだ。この顔がアタシは大好きだったんだ!
「うっしゃあっ!とっとと奴を片付けるぞっ」
「ちょ、ちょっと!アタシくっ付けたままでガッツポーズしないでよっ」
部屋のすぐ横にある廊下では、出て行ったはずのみんなが笑いながら見ていた。
「ふっ。やあっと決心したか。無駄足しないで済んだぜ。結婚式は明日決行だ」
「セッツァー?! 待てよ、奴を倒すのが先だろう」
「やはり、ドマ伝統の角隠しも持参すべきだったか…」
「おっさんまで、何を言ってるの?」
「脚本は、私だ。皆さんご協力に感謝する」
「兄貴?」
「まあ、そう言う訳だ」
エドガ−はそう言ってウインクした。
訳が解らず、マッシュとアタシは呆然としていた。
「ケフカはあの時みんなで倒したんじゃないか。お前ら、揃いも揃って寝ぼけてるのか?」
ロックは笑いを堪えている。
「敵にとどめを刺したのを確認してこそ、プロと言うものだ」
あのシャドウですら、腕組みした肩が幽かに震えている。
「ごめんなさい。でも、こうでもしないと貴方達全然先に進まないから」
セリスは申し訳無さそうにしている。
お、お、おのれーーーーー! 仕組んだわねっ!!!
「生きているうちに、お前の花嫁姿が見れるとはのう」
じじい! お前もグルだったのかっ。
「ばあや」
エドガーが顎を振ると、待っていたかのように神官長を初めとした城の女性達が出て来た。
「マシアスが恥ずかしく無いような、美しい花嫁にしてあげて下さい」
「勿論ですわ。この日をどんなに待ち望んだ事か。では参りましょう」
「ちょっと、ええ?!」
4人がかりで両腕を掴まれては動けない。
悔しい。このアタシがしてやられた!
フィガロの城内に、暴れながら廊下を引き摺られるアタシの空しい叫びだけが響いた。
「こんにゃろぉぉぉぉ−! この、仕返しは、絶対してやるからねーーーっっっっっ」