迫りくる、メテ夫ボール。
このままでは、星の命が消えてしまう(真の意味でデッドボール。スケールは宇宙一)。
クラウド達は脳細胞をフル作動させて対策を考えるが、全く良い案が思いつかない。
もともと考える事に慣れてないので、10分もしたら飽きてだして、遊びはじめる始末だ。
「こんなとき、エアリスがいれば・・・」
エアリスだったら、落ちてくるメテ夫ボールをオーバーヘッドキックでブラジルゴールに叩き込んでみせるだろう。
星の危機はもちろん、日本の得点力不足も、まとめて解決。
ムッシュ・トルシエも大喜びだ。
だが、エアリスはいない。
「諦めるんじゃねえ!」
立ち上がったのは、夢見る中年シドおじさん。
「オレ様は、科学の力に賭けてみてぇ・・・ホワイトベースで迎撃だ!」
頭おかしいんじゃねーの?
バカよバカ。
冷ややかな視線がシドを突き刺す。
もうみんなイイ大人だし、最終回だし、いつまでも夢ばかり見てられないし。
だが、30過ぎても少年の心を持ち続けるシド(サンタさんも信じてる)は、納得するはずもない。
こんなコトもあろうかと極秘裏に制作していた、実験的反重力システム(風船20コ)をホワイトベースの機関部にセロテープでくっつけた。
「よし、シエラ行くぞ!」
泣いて嫌がる彼女を操縦席に縛り付け、シドは安全な艦外から命令だ(おいおい)。
「ホワイトベース、発進!!」
ゴゴゴゴゴ。
重低音で響きわたるエンジン音。
そして、ホントに浮き上がる、ホワイトベース。
「おお! スゲーって言うか、もうデタラメだよ!」
予想外の展開に、クラウド達は思わず感嘆。
作ったシドもビックリだ。
が、もともとベニヤ板のホワイトベースは、風にあおられて電線に引っかかり、大破。
東京電力のおじさんに怒られつつ、メテ夫到達まで、あと7日。
***
年の功、ブーゲン爺にお知恵をいただこう。
クラウド達は藁にもすがる思いで、コスモキャニオンを再度訪れた。
ブーゲンは若かりし頃、進検ゼミの赤ペン先生をやっていたので、その知識には期待ができる。
事の顛末を聞いた彼は、ゆっくりと語りだした。
「ホーホーホウ、場当たり主義のいい加減な展開に、そろそろツケがまわってきたんじゃな。それ程の星の危機。そんな時は・・・」
「そんな時は?」
グッと拳を握る、クラウド。
「究極の白魔法・ホーリーを呼ぶのじゃ!」
「ホーリー?・・・それは、どうやって呼べばいい? ケータイ持ってんの、そいつ?」
「祈るのじゃ。祈りながら、ホリ電気のコントローラーで、○ボタンを16連射するのじゃ」
「ホ、ホリ電気!(ああ、なんてひどいダジャレだ!)」
驚くクラウドだが、ホーリーはホリ電気を介して発動するのだ。
総務部長の承認印だって必要なのだ。
この世界では定説。
「祈りが届けば、ファンタジーの力でメテ夫もウェポンも消費税も花粉症もPS2の不具合も消えてなくなるじゃろう。もしかしたら、わしらもな」
だが、クラウドは力無く首を左右に振った。
「・・・終わりだ。急な設定でなんだけど、コントローラーはエアリスが持っていた。彼女は今ごろ、毒虫小僧よろしく東京湾あたりでドザエモンだ」
「ホーホーホウ、これを見るのじゃ」
もったいぶりのブーゲンは、14インチTVにスイッチを入れ、ビデオ再生ボタンを押した。
ブラウン管に映し出されたのは、多摩川に浮かぶ古代種の都。
実はその前にパツキンギャルの無修正ビデオが流れ、ブーゲンが老人とは思えない反応速度でビデオテープを交換するというエピソードがあったのだが、省略。
まあ、とにかく古代種の都だ。
エアリスが生涯無敗の伝説を守ったまま、死んだ場所だ。
「なんのビデオ?」
「わしが趣味で集めてる、死体ビデオじゃ」
「人それぞれだけど、その趣味はどうかと思うよ」
「ホーホーホウ、それはそれとして、祈りがホリ電気に届けば、クリアカラーのコントローラーが、味気ないグレーに変わると言われとるぞ」
カメラは多摩川に入り込み、さらに潜っていく。
「あ、あれは…!」
カメラはバッチリとらえた。
ビニールの長靴やワンカップ大関の空き瓶と共に川底に沈む、所々お魚さんにかじられたエアリスのぷっくりした水死体を。
そして、彼女のコントローラーを。
色は、グレーだ。
「うええぇぇぇ(嘔吐)。グ、グレーだ・・・おええええぇぇぇぇぇ」