■夢の続き■
初の贈り物がこんなんでゴメンナサイ・・・(^ー^;;
暗く冷たい監獄に甲高い足音が響く。その音に恐怖を覚え始めたのはいつのころか。
足音が近づくに連れ牢獄で閉じ込められている幼い少女はおなじへや<牢獄>にいるただ一人安心できる相手にしがみついた。
少女のそばにいる金髪蒼眼の少年は今にも泣き出しそうな表情の自分の従妹をきつく抱きとめる。
「大丈夫だから・・・大丈夫だからな・・・・」
少年のその声は少女に届いたのか・・・
いつもは何をしたって開かない扉がいとも簡単に開き男が入ってきた。手には鞭が握り締められている。
それを見たとき二人の胸ははちきれそうなほどの恐怖で満たされた。
不意に鞭が振り上げられる。少年は自分に来ると歯を食いしばり身構えたが鞭はあきらかに自分の傍で震えている少女に向けられていた。
鞭が振り落とされる前にとっさに少女を自分の懐のほうへとかばい男に背中を向けた。
鈍い音とともに少年の背中に激痛が走る。なきわめく少女。
拷問が終わり男が満足げにさっていく後ろで少女は傷だらけになった少年を気遣っていた。
「だいじょぶ?だいじょぶ??」
「あぁ・・・大丈夫だ・・・だい・・じょう・・・」
少年が言葉をつまらせ血を吐き少女の方へと倒れた。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「・・・・・・・・・・・はっ・・・・・・・・・」
マルーは幼い自分の叫びで目が覚めた。
「・・・・・(・・・・・・・・・・夢・・・・・・・・・・・・・・・・)」
しばらくぼーっとしてなんとなく自分がここにいるまでの過程を思い出した。
まずここが自分の部屋ではないこと。今自分が寝ているベットにはもう一人そばにいること。そして横に寝ている相手のこと・・・・・
マルーの横にはバルトがいる。いつからか二人はおなじベットで眠るようになった。
二人で一緒にいる時間は照れ屋のバルトに内緒にするようにいわれているがマルーはこうやっておなじときを過ごす事が何よりの幸せになっていた。
いままでもこれからもずっとそんな気がしてた・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・(なんでかな?今更こんな夢・・・・・・・・・)」
それはもしかしたら明日バルトはフェイたちとマハノンへ向かうからかもしれない。
みんな口には出さないがもぅ帰ってこれなくなるかもしれない。
そんな不安から見せた夢なのかとマルーは解釈した。
部屋は電気が消えていてくらい。なんだかあの夢がまだ終わっていない気がして急に怖くなる。
ベットに残るぬくもりだけが今自分が現実に生きているんだということを実感させてくれる。
もうあんな夢、見たくない。
だが横に眠っているバルトの背中を見たとき、落ちつきかけた心臓がまた高鳴り始めた。
無数についた痛々しい傷。思い出したくないいまわしい過去。
まだ夢は続いているの?
泣き出しそうになる自分を押さえて、そっとバルトの傷をなでる。
眠ったら最低8時間は起きないバルトがこれしきのことで目を覚ますはずがない。
マルーに背中を向けたまま。
マルーは不安からか悲しくなった。
「・・・・・・こっち、向いてよ・・・」
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翌朝。
皆、旅立ちの用意をしていてもなんだか落ちつかないでいる。当たり前といえば当たり前かもしれない。
愛する人がここに残る事の不安。もう愛する人に会えなくなるかもしれない事への不安。
そんな気分になっている者もいる。フェイもバルトもそうだ。
マルーも本当は冗談で笑い飛ばして彼を見送りたかったのに、昨日見た怖い夢のせいでそんな気分になれなかった。
出発が近くてうつむいてすこし寂しい顔をしていたとき。
マルーはバルトに呼び出された。
「・・・・なんだよ。お前らしくないな。もっと笑って出てけって言われるかと思ったぜ?」
ユグドラの甲板。走行中は立ち入り禁止のはずだがいつのまにか二人で会うときの格好の場になっていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だって怖いんだもん。」
「怖いのか?」
「だって昨夜・・・・」
マルーは昨夜見た夢をバルトに話した。
「ふーん・・・」
「ふーんって・・・なにそれ!?僕はこんなに心配してるのに!そんなの関心ないとでも言うの!?」
マルーは今にも泣きそうになっている自分に気がついた。
「おまえさぁ・・・俺たち死ぬとでもおもってんのか?」
「ち、ちがうよ・・・そうじゃないけど・・・やっぱり心配なんだもん・・・エリィさんもいってたよ?やっぱりずっと一緒にいたいんだって・・・もしかしたら若じゃなくて僕たちのほうが・・・」
「バカ野朗!二度とそんなバカなこと言うなっ!」
いきなり怒鳴られたマルーはきゅっと頭をひいた。そのとたん何かがキレたかのように涙が流れ始めた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
突然泣き出したマルーにすこしバルトは戸惑ったがそっとマルーに近づき髪をやさしくなでた。
「・・・・・・・若・・・」
「大丈夫だ。絶対。俺たちは絶対みんな無事でかえってくる。フェイもみんな。エリィのやつにもそーいっとけ。」
「・・・うん・・・」
「あと危険なときはいつでも呼べ!3分でとんできてやる!」
「3分は無理だよぉ・・・」
マルーは静かに笑った。
バルトはその笑顔をみると安心しきったような表情でさらに続けた。
「それにいつか約束しただろ?全部片付いたらニサンで・・・・・」
そこまででバルトは少しかおを赤くした。
「結婚式・・・だよね?」
「あ、あぁ・・・・・だからそれまでにちゃんと女磨いてろよ!!」
「うん!じゃあ・・・・いってらっしゃい♪」
「・・・・・・いってくるな・・・」
バルトはすぐ行ってしまおうとしたが一度振り向きマルーのくちびるを奪って行った。
それは挨拶にしては十分すぎるほどに・・・
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ニサンのつり橋で・・・・
エリィとマルーは男たちの向かう先を眺めていた。
あそこには一体なにがあるのだろう。自分たちは知る事ができないが。
だがいつかきっと教えてくれるだろう。この戦いに終わりをつげたときには。
「エリィさんは平気なの?フェイと一緒じゃなくても」
「平気なわけないじゃない。できることなら片時も離れてなんていたくないわよ。でもね、彼いったの。『自分たちの帰るべき場所になってほしい』って・・・」
「・・・・・・」
「だからつかれて帰ってきたとき癒してあげられるような・・・そんな自分になりたいの。今すぐは無理かもしれないけど・・・でもそれはマルーちゃんも一緒のはずでしょ?」
「・・・」
「・・・お互い無茶ばっかりする相手だと苦労するわね」
マルーはエリィのその少しつかれたようなそれでもやさしさにあふれた微笑みを見たとき自分がずっと憧れていた聖母の生まれ変わりは彼女なのかもしれないと思った。
悪夢はやがておわる。覚めない夢はない。
無事帰ってきたバルトに抱きしめられたときそうマルーは実感した。
次に見る夢は幸せな夢がいい。今度は二人で一緒に・・・
ぎゃーーーー。なんて話だ・・・・
ダメ過ぎるぞ自分!だめだだめだだめだーー!
今から読み返してみるとマジ恥ずかしいですわぁ〜〜!
こんなの差し上げちゃってごめんなさいですーー(>−<)
と、とにかくこれからもよろしく〜〜・・なんちて〜。
2000.3.27 朝霧サララ