2001年12月24日 クリスマス小説
++++クリスマスキス++++
真っ白な雪が世界を覆う。
彼等のいるこの地も一晩で銀世界へと変わった。
僕はいつもよりも早起きをして
まだ誰も傷つけていない生まれたての別世界に立った。
見上げれば薄い雲の層に、はらはらと舞い降りる雪。
そして雲の中をかき切る様な飛行機雲。
天より贈られしその氷の結晶は、彼の白い頬に堕ち形を変える。
指でなぞる、この時だけの宝石。
それは、まるで、涙の如く・・・
僕の知らない間に世界が動いた。
僕の知らない間に世界が壊れた。
割れる地、降り注ぐ炎、救いを求め泣き叫ぶ声、生存者を探す虚しい響き。
胸が痛かった。
それでも僕は君の傍にいようとしたから。
此処は安全だけれども
君が消えることはないけれど
母親を亡くした子供も、夫を亡くした女も、
君の前ではすべて忘れられる僕は一体誰なんだろう。
神が怒り、天使たちがラッパを吹く。
裁きの時は来たり。
この地に蠢く伝説と、古代より受け継がれし習慣と、
矛盾し、戸惑うこの季節に、彼らは出会い、花を育てる。
ただ悲しい時を過ごす中で、厳かに、クリスマスがやってくる。
この年の終わりも、世界の終わりとならぬよう、
人々はせめてもの幸福な言葉に目を向けて。
今年はホワイトクリスマス。
君へのプレゼントは何にしようか。
柄にもなく考えては取り消して考えては取り消して
楽しくて思わず顔が綻ぶ。
僕が何を差し出したら、
君はまた笑ってくれるかな?
僕が何を言ったら、
君はまた抱き締めてくれるかな?
僕は生まれたてのちっぽけな雪だるまにキスをする。
ありったけの願いを込めて。
肩の雪を払うより早く彼は最後の地へと急ぐ。
まだ雪はやまない。
けれど何時しか太陽が顔をのぞきはじめていた。
まだ見ぬ春を届ける為に。
まだ世界は堕ちているけれど
今宵だけは皆が幸せでありますように。
お別れが近いならもう一晩ひきのばして。
すべての想いを届けるよ。
『いと高きところに栄光 神にあれ』
僕は君に一番に『おめでとう』と言うよ。
それが最期になろうとも、君にだけのキスをして。
世界で最高のクリスマスを、今、祝おう。
メリークリスマス
END
***管理人から***
クリスマスおめでとうです。
何かしらプレゼント作りたがりの管理人の考えた末のクリスマスプレゼントです。
宗教色濃いのはやっぱり私がミッションスクールに通ってる所為でもあり、
ゼノギアスが何処かしら舞台にしている所為でもあります。
イメージとしては雪原アジトの辺りでしょーか。
・・・やっぱりどうして私としてはバルビリーナなイメージですけど、
適当にナニに置き換えても結構で御座います(笑)
ただ2001年、悲しいニュースの多い一年でしたが、今宵だけでも沢山の人が幸せなクリスマスを過ごせたらと願いを込めて・・・
緋野ソラコ。