We can run to the end of the world

 

〜1〜

     16歳になる頃の多感な時期のバルトには全ての景色、

    そして“ヒト”が美しく見えていた。

     バルトはニサンの大教母である従兄妹のマルグレーテの様子を伺いに

    時折ニサンに留まる事も多かった。

     大教母であるマルグレーテとは従兄妹関係である事を秘めてニサンに来ていた為、

    彼にはニサン法皇区にある簡素な宿屋が与えられていたのである。

     真夏の頃である。バルトの故郷…砂漠の地、

    アヴェの日差しよりは数段と穏やかであるが、

    ニサンのそれは海の潮風を交えて非常に怠惰な気分になる。

     その年、バルトはいつも訪れている

    ニサン法皇区の彼の宿屋付近で一人の女性と出会う。

     彼と同じ色…トパーズブルーの瞳を持つその女性の瞳は憂いを帯びていた。

     バルトに映る彼女は何処となく懐かしさを投影している。

    「……なんか、俺に用か?」

    「……あっ…ごめんなさい…私のよく知っている男(ひと)に

    あまりにも似ていたもので…戦いで命を落としましたが」

     見かけぬ者であったが、一見修道女らしい女性である。

     燦々(さんさん)と照り返す陽の前に影となって立つその女は、

    バルトの姿を認めると矢にでも打たれたように立ち尽くす。

     バルトもその女(ひと)が先にしたように隅々と見渡す。

    同じ色の瞳はバルトを捉え、肩までの濃いブラウン色の髪の毛は静かに靡く。

     歳は19か20くらいであろうか? 

    その顔立ちのせいかやけに幼く見えたが、

    静かな物腰からは大人の女を醸し出していた。

    “私のよく知っている男(ひと)”それは彼女にとって大切な人だった事を思わせる。

    「俺に似た……そいつははアヴェの奴か? それともキスレブの……」

    「……」

     女はゆっくりとバルトの視線を逃れた後、

    自身の頭(こうべ)を垂れると音もなく静かに首を振った。

    「アヴェか、キスレブか…どっちの勝利…

    どっちの奴なんて問題じゃぁねぇんだ。

    何故にヒトは戦うんだ? 同じヒトなのによ! 

    俺は…お前みたいな奴をたっくさん見てきている…。

    男はよぉ、何も好きで戦ってるんじゃねぇぜ! 

    平和を…自由を勝ち取りたい為の戦いなんだ。

    そうでない輩も大勢いるがな。

    だが、その影で支えるそいつの事を想っている女(ひと)は……

    もっと辛いんだな………」

 

     その夜、バルトとその女はお互いの傷を舐め合うかの如く床を共にする。

 

     朝日がようやくこの部屋を明るくし始める。

     お互い名も知らぬ二人は一糸纏わず身を寄り添って眠っていた。

    「若、起きてる? 

     まだ早いけど、ボク、美味しいパンを焼いたから、

    若に食べてもらいたいなぁ…と思って」

     無邪気な14歳の少女マルグレーテはいつもそうしているように、

    バルトの部屋へノックもせずに入ってくる。

     しかし、マルーの思いもかけないバルトの姿。

    ベッドには無造作に金の長い髪が散乱し、

    腕の伸びた方向に見知らぬ茶色い髪をした女性らしい姿。

    「ん?…」

    寝ぼけながら上半身を半ば起こすバルト。

    「わ…か…!」

    マルーは立ち尽くす。

    「?!」

    バルトの隣にいた栗毛の蒼い瞳の女も身を起こす。

    「………!!」

    暫くしてバルトはマルーがドアに立っている事実に気付く。

    ガシャーーーーン!

     マルーが持っていた銀のトレイは激しい音をたてて床に落ち、

    マルーは勢い良く部屋を後にした。

    「大…教母様……!」

     バルトの隣の女は言葉を亡くす。

    「マルー!」

     バルトは慌てて側にあったローブに身を包み、

    マルーの後を追おうとドアを勢い良く開ける。

     が、行く手を阻む者が立っていた。

    「おはようございます、若…。今…マルー様が…! 若どうなさいました?」

     ドアの外でシグルドの声がする。

    「あぁ、シグ…朝の支度か…ちょっと待ってくれ」

     マルーと入れ替わりにシグルドが訪れた事に、

    部屋に鍵をかけてなかった事を後悔する。

     シグルドは半開きのドア越しにバルトのベッドの女性を見止める。

     その女は素早く身支度をすると、バルトとシグルドを押し退けていった。

    「おっ、おい!!」

     バルトの声も届かず…。

    バルトはほんの少し首をうな垂れてその場に立ち尽くした。

    「こういう時はちゃんと鍵をかけるのが普通ですよ、若」

     と淡々と言うシグルド。

    「…っ!! …シグ……」

    「それにしても先ほど出ていかれた女性は、

    マルー様にどことなく似ておいでしたね」

    「!!! んなわけねぇだろ…」

    シグルドにそう言われたバルトは動揺する。

    「早くマルー様の元へ」

    「あぁ……」

     バルトはシグルドに支度を手伝ってもらい、急ぎ大聖堂へと向かった。

     しかし…。

    「マルー様はバルト様にお会いしたくないそうです」

     と正門の前で待ち受けていたシスターアグネス。

    「喧嘩でもなさいましたか?」

     図星でもないが、アグネスにあまり追求されるのもばつが悪いバルトは、

    一先ず引き返す事にした。

     一ヶ月が過ぎ、ニサンに戻ったバルトであったが、

    マルーは頑なに会おうとはしなかった。

     それから約二年の月日が流れた。

    マルーはシャーカーンの罠に嵌り、再びファティマ城に幽閉されたのである。

 

     マルーが初めてバルトに対する自分の本当の気持ちに気付いたのは、

    ファティマ城から脱出する時だった。

     二人の進路を妨害するのはラムサスとミャン。

    「小僧、その娘を返してもらおうか」

     象牙色の髪を持つ気難しげなラムサス。

    「小僧だとぉ! 誰なんだ、てめぇは!」

    「その威勢の良さだけは買うが、

    貴様ごときに名乗る名を私は持ち合わせていない。

    さぁ、マルー殿を返してもらおうか!」

     ラムサスの通常ならぬ冷静さにバルトは更に気分を害した。

    「ふん、月並みだろうけどよっ、返せと言われて、

    ハイそうですかと渡すバカがどこにいるかってぇの、えっ、おっさん!」

    「その子を本当に守りたいのなら、素直に渡しなさい、バルトロメイ殿下」

     深い紫色の髪を持つ妖しく美しいミャン。

    「ほぉ…俺の事知ってるのか。

    ま、あんたみたいな美人に名前を知られてるっつーのも悪かぁねぇな」

    「若っ!」

     その時だった。

    マルーは今までバルトの事を頼りになる優しい従兄として慕っていたのだと思っていたが、

    はっきりとそれは恋なのだと知る。

     マルーは二年前のニサンでバルトが見知らぬ女性とベッドを共にしていた時には、

    まだそれに気付いていなかった。

    純真な少女には、ただ従兄が汚らわしく映っていたのであった。

     しかし、今はどうであろう? 

    バルトにその気がないにしても、ミャンに言った言葉…

    『美人』…マルーにはこの言葉が重く圧し掛かった。

     バルトがマルーを庇って必死に戦う。

    「若、頑張って!」

     後ろで応援しながらもバルトにとって、

    自分は妹のような存在なのかな……と考えるマルーはそう思えば思う程、

    従兄への恋心を初めて認識したのである。

    (美人かぁ…確かにこの女(ひと)、とっても綺麗だなぁ。

    ボクもいつかあぁなれるのかなぁ。

    うんう、あぁなりたい! そしたら若だって)

     そう考えながら照れるマルー。

 

    「さて、マルー様、こうして無事でしたのは何よりですが、何故お一人で敵陣に?」

     とシグルドに問われたマルーは理由を説明する。

    「ごめんなさい…。でもね、このあいだ町の人が噂していたんだ。

    アヴェに捕らわれた法皇府の修道女達がまだ生きているって…」

    「バカッ! 一人で助けられると思ったのか?」

     バルトにバカと言われてマルーはほんの少し唇を噛み締める。

    「思ったんだよ!!……でも…本当はママ達はとっくに……」

    「マルー様!」

     事情を知っているだけにシグルドは顔を伏せる。

    「お前っ!!」

     バルトはこんなマルーが痛かった。一番見たくないマルーだ。

     バルトとマルーがシャーカーンに幽閉されていた時は僅か6歳と4歳であった。

    バルトには解っていた。

    シャーカーンによって自分の両親とマルーの両親を失ったこと。

    しかし当時4歳のマルーには理解し難い事実であった。

    もちろんバルトにとっても一瞬にして家族を奪われ、哀しみ、不安、憎悪、

    あらゆる感情が入り乱れて酷く傷つく惨事であった。

    全てを失ったバルトに残されたのは従妹のマルーだけだ。

    せめてマルーだけにはそんな思いをさせたくないと

    幼少ながらにも深く心に刻んでいたのであろう。

    そしてバルトは心身ともにマルーを庇ったのである。

    故にマルーはその事実に直面する事なく、

    両親が生きているという微かな希望を抱いていた。

    「……だがな、マルー。どんなことがあっても一人で行くな! 

    次からはちゃんと言え! 俺達が出ていってやるから!!」

    「うん、ちゃんと言うよ。ありがとう、若」

 

    「よし! 皆行くぞ! だがくれぐれも無益な殺傷はなしだぜっ!」

     バルトの掛け声と共に、皆が動き出すアヴェ奪回作戦実行開始の朝だった。

    「今度会う時はもう“若”って呼べないね。“陛下”かな?…」

     と無邪気なマルーの蒼い瞳にほんの少し翳る不安。

    「やめてくれよ、明日がどうなろうと、“若”でいいよ、“大教母様”」

    「若こそ、もうーその呼び方はやめてよっ! きらいなの!」

    「ははは! わかったよ。

    じゃ、マルーも今まで通り“若”って呼べよ! じゃ、行ってくるぜっ!」

    「うん、頑張ってね!」

     マルーは精一杯の笑顔でバルトを見送る。

    精一杯の笑顔……マルーにはその笑顔で送るしか何もできなかった。

    「マルー様とバルト様…お二人を見ていますと希望が沸いてきますわ」

    「シスターアグネス!」

    「古来アヴェのファティマ王朝はファティマという名になる昔より……

    御兄弟や御夫婦、お二人で国を栄えさせる御世が多いのだとか。

    マルー様が、いずれは法皇府を統べる大教母様として、

    バルト様と御夫婦で王座に並ばれる日が待ち遠しゅうございますわ」

     マルーは一瞬にして顔を赤らめる。

    「ちょ、ちょっと…! 

    ボクは王妃様とか、そういうのは…興味ないよ。

    それに若とボクは一番の仲間の!」

    「マルー様がこうしてどんどん綺麗になられたら、バルト様が放ってはおきませんよ」

    「な、何言ってるんだよ。ボクと若は幼馴染で、従兄で………」

    (嫌だな、こんな事言われたら、ボク…どんどん若を意識しちゃうよ。

    次に若と会う時に一体どんな顔すればいいんだろう? それにしても、若…)

    「いずれにしても、若が無事でありますように。

    無事にまた若の顔を見れるだけでボク幸せだから

    若の無事を祈るしかボクには出来ないからね」

    「マルー様!」

 

     ファティマの碧玉。

    バルトとマルーは命に変えてもその秘密を守らねばならなかった。

    二人の両親が命にかえて守り抜いたように。

     しかし、その秘法をとうとう使わなければならぬ刻がきた。

     ギア・バーラー出現のロックを解除し、

    今まさにそれを手にしようとする一向の前にシャーカーンが待ち伏せしていた。

    「さすがはバルトロメイ殿下。だがここから先は通さんぞ」

    「くっ、貴様!」

     その時、マルーは歩兵達の隙間を拭って一気にギア・バーラーへと目指す。

    「あっ、マルー!」

     後ろでバルトの声が。マルーは無心に走る。

     赤く大きなギアはいつも見なれていたバルトのギア、

    ブリガンディアよりも不気味で且つ荘厳である。

    マルーはギアを見上げて一瞬の怯みを見せるが、

    迫る追っ手から逃げるようにしてギアのコックピットを目指した。

     マルーは操縦席に座ったが、初めてギアに乗って、

    何をどうすればいいのか途方にくれる。

    「バカ、バカ、ボク、バカだよっ。若、これどうすればいいの? 若………」

     とその時マルーの不安が過る。

    「…わ、か…の碧玉…片方しかなかったんだ……ど、どうしよう……!!」

     マルーは絶望的であった。

    助けを求めたが、バルトがここへ来れない事を知る。

    碧玉のロックを解除するには純粋にファティマ家の血を引いている者の網膜。

    だがしかし、バルトにはそれが片方しかなかったのである。

   「ボク一人で頑張らなきゃ! そうだっ。

    ボクもたまには若の役に立つんだ。若のために、若のために!」

     ウィーーーーン。

    「!」

     と突然動き出すギア。

    「!? えっ? 何???」

    「マルー!」

     マルーが混乱しているとギアの足元にバルトとシグルドを先頭に、

    中間達が立っていた。

    「若! 若、やっぱし来てくれたんだ!」

     既に碧玉の不思議については忘れていた。

     バルトはどかどかとコックピットに入ってきて

    「バカッ! また一人で暴走しやがって! 危ないから俺の後ろにいろ。

    しっかり俺に捕まっているんだぞ!」

     と固まっているマルーを抱き上げ後ろに座らせた。

     マルーは負傷し、遠のく意識の中でバルトの声を聞く。

    「くそっ! 思うように動かねぇっ!」

    「……俺は…俺は、コイツを守らなければいけないんだ! 

    コイツは俺にとって大事な…代々受継がれているファティマの…

    それに親父が命にかけて守ったものなんだ!」

 

     気が付いたマルーはバルトに抱きかかえられてギアの外にいた。

    「若っ!」

    「ったく! 俺を心配させるなよ」

    「だって、若を助けたかったんだもん、ボク。

    ……若を助けたかった。必死だった。本当は怖かったよ。

    でも、気を失っていた時、若が必死で戦っている声を聞いて、

    ボクも応援していたと思う」

     涙を堪えたマルーの瞳はバルトと同じ目線にくる。

    バルトは自分と同じ碧玉(ひとみ)の中の情熱を間近で見る。

    「……無茶しやがって! 

    俺もお前を感じて必死で戦っていたと思うよ。

    だからあのギアを初めて動かせたんだ。俺達一緒に戦ってたんだな…。

    ありがとよ、マルー。

    だが、もう絶対にこんな無茶はするな、俺を心配させるな」

    こくりとマルーは頷く。

    これ以上何かを喋ると堪えていた涙が溢れてきそうだったのだ。

 

     シャーカーンを倒したバルトは晴れてファティマ家の唯一の生き残り、

    第19代アヴェ国王バルトロメイ・ファティマとしてファティマ城のテラスに立ち、

    国民達の前に堂々と姿を現すことが出来たのである。

     しかしこの日、バルトは父の遺志により、

    王制を廃止し、アヴェ全土を共和国とした。

    少年だったバルトに重くのしかかっていた使命、

    父の遺志をようやく果たすことができたのである。

     この夜、バルトは眠れなかった。

    メイソン卿に昔話を聞き、そして同じく眠れぬシグルドとバルコニーで話すと

    “王子の寝室”へ戻ろうとしたが、その足を思い止まらせた。

    12年前、ここを去るまで使っていたベッド。

    王子の寝室。

    ようやくここへ帰ってきたというのに落ち着かぬバルトであった。

    寝室の前で踵を返したバルトの足は廊下の脇にあるテラスへと向かった。

     この城を出る前、そして出てからの12年間、

    バルトにとってあまりにもいろんな事があった。

    しかし時を経ても変わらないのはファティマ城を照らす月なのである。

    「やっぱり若も眠れないんだ」

     背後でマルーの声がした。

    振り向いたバルトのマルーを捉えた瞳は微かに動く。

    薄手の夜具にシルクのローブを羽織ったマルーが立っていた。

    16歳のマルーの初々しい体は薄い衣(きぬ)が美しく模っていた。

    「!」

     バルトはいつもの調子を崩したが、

    それに気付かぬマルーは変わらぬ笑顔で無邪気にバルトの傍へと歩み寄った。

    「ボク……さっきの若とシグの話を立ち聞きしちゃった……

    シグが若のお兄さんだったなんて…。

    だからいつも若やボクの事を命懸けで守ってくれていたんだね」

     マルーその発言にようやく調子を取り戻すバルト。

    「……あぁ…そうだな」

     感情のないバルトの返事。

    「若、嬉しくないの? 

    ボク達はもう、若とボクしかいないと思っていたのに…

    シグも……ボク達と同じ血が流れていて……」

    「あぁ、そうだな…いや、何って言ったらいいんだろ? 言葉が出てこないぜ」

     バルトには、いろんな意味での言葉が出てこないのは確かであった。

    いろんな意味…いろんな事がありすぎた、

    故に自身の中での整理がつかぬバルトであった。

    「眠れないよ…本当だったらこの城はずっと昔から若のお城だったのにね………。

    いろんな事があったね、ボク達の家は……」

     さすがのマルーもこの時ばかりはバルトの顔を見ようとはしなかった。

    本当に儚げな少年少女であった、

    バルトとマルーには耐えられがたいほどの苦痛をあじわってきた月日であった。

    「……マルー……ごめんよ」

     そう、いろんな事があった。

    王太子とは何だ? 王家の正式な跡取りとしての存在とは? 

    バルトは瞬時にそんな事を思ったが、

    今はファティマ家、王家の生き残りの親族であるマルーに対しては、

    ただの従妹である……いや、それ以上の言葉であったかもしれない。

    今のバルトには自身の気持ちさえ判らなかったのである。

    「!? 何?」

    「シャーカーンの野郎をなかなか退けれなくて……

    それに…お前の両親も……あれから12年、随分辛い思いをさせたな」

    「もう、若ったら、何を改まって! でも、ボクは一生忘れないよ。

    ボク達は辛い過去があったけど、若が身を挺してボクを守ってくれたこと…

    ボクあの時は……今よりも、何もできなかったから…若の為に何も…!!」

    「ありがとよ、マルー。

    お前がいなければ、ファティマの至宝を守れたかどうだかわからねぇ……

    お前のお陰だ……お前は一生懸命にやったさ!! 

    だがな……お前の気持ちもわかるけど、

    もうこれ以上無茶すんじゃないぜ…。じゃぁな、おやすみ」

 

     ファティマ家の至宝、ギア・バーラーを入手したあと、

    彼等はソラリスへのゲートを打破し、未知の国へと向かった。

     ソラリスでは彼等の想像を絶するような現実に遭い、

    そして、フェイとイドが同一人物である事が判明。

    その後、イドによってエテメンアンキ壊滅。

     バルト達の抵抗も空しく、世界は死に絶えようとしていた。

     地上の人々はウェルスと化してしまう“ヒト”が後を断たない。

    その“ヒト”達は助けを求めてニサンに集まる。 

     マルーは500年前の聖母ソフィアを思わせるエリィの補佐に追われる日々が続いた。

     狂ったラムサスにより天帝カイン暗殺後、

    終に神の眠る地、マハノンが浮上する。

     男達は戦いに挑む。

    これまでも常に危険は伴っていたが、

    更なる危険を避けられぬ闘いになるに違いない。

     戦力にはならないマルーは、また笑顔でバルトを見送るしかできない。

    常に不安を抱くマルーだが、バルトにそれを悟られまいと明るく振舞う。

     中間達は明日の出発を控え、ガンルームへと集結した。

    それぞれの不安や意志を抱えて。

To be continue

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