Review

May

 

Clarke, Stanley - 1, 2 To The Bass  Cover Art

Stanley Clarke:b  “1, 2 To The Bass”

w/ Q-Tip:rap Hubert Laws:fl Everette Harp:sax Glenn Lewis,Amel Larrieux:vo George Duke:key Joe Satriani Paul Jackson Jr.:g

John Robinson Gary Brown:ds Dr.L.Subramaniam:violin Armando Sabal-Lecco Jimmy Earl:b etc・・・

ベスト盤や映画音楽集、レニー・ホワイト:dsや元ポイズンのリッチー・コッツェン;gなんかとのバンド「VERTU」、ンドゥーグ:ds=パトリース・ラッシェン:p

従えた純ジャズトリオ作などの企画モノを除けば、1993年の「East River Drive」以来!となるスタクラのオリジナルアルバム。

21世紀を迎えても、この人、やりたいことがいっぱいある?ありすぎる??ようで、いろんなスタイルの曲が入ってて、スタクラのソロアルバムらしく?

とっちらかってます、やっぱし・・・。

1曲目は、人気ラッパーをフィーチャーしたクールなR&Bヒップホップで、結構カッコいい、スタクラのエッジの効いたテナーベースのソロも渋い。

ジャケットも、なんかそんな雰囲気なんで、全編その路線?と思って聴くと・・・次には、ヒューバート・ロウズ&エヴァレット・ハープをフィーチャーした

ミディアムテンポな「フュージョン」が登場、続いては、グレン・ルイスのヴォーカルに迎えた、ダニー&ロバータの名曲「ホエア・イズ・ザ・ラブ」が・、

原曲のイメージを守ったスムースなカヴァー、ここには、ジョージ・デュークがエレピで参加・・・・。

その後は、地味目なフュージョンっぽい曲が続いて、6曲目、ジョージ・ベンソンやウェス・モンゴメリー、パット・マルティーノへのオマージュとクレジットされた

インストナンバーは、70年代チックでミディアムテンポなスムースなフュージョン、スタクラのテナーベースのソロが流麗、

次の曲では、打ち込みのリズムに、スラップを交えたファンキーなベースが踊る。

8曲目は、「Mr.チョッパーベース」ラリー・グラハム率いるグラハム・セントラルステーションのカヴァー「ヘアー」、

これは、ジョー・サトリアーニのギターをフィーチャーしたヘビーなファンクロック。

9曲目はというと、ライブ録音、スタクラのコントラバスソロ、なんだけど、やってることは、エレベと同じで、「ジャカジャ〜ン」というコード弾きや

スラップみたいなこともやってます、ブライアン・ブロンバーグの師匠?みたいな感じ。

10曲目以降は、「カーム」なゾーン、10曲目&12曲目には、スブラマニアムのヴァイオリンをフィーチャー、10曲目は、美しいメロディーのフュージョンナンバー

だけど、12曲目は、インド系のスブラマニアム参加らしい、それ風な瞑想系?、11曲目は、スタクラのアレンジ&コンダクトによる弦をバックに、おばさんが

延々としゃべりまくる少々訳の分からないもの、クレジットを見ると、クインシー・ジョーンズも制作に絡んでいるようだが・・・。

ん〜な感じで、良いように言えば「バラエティに富んだ」悪く言えば「バ〜ラバラ」な作品。

ま、全体的には、フュージョン系が多いんで、フュージョン〜ファンク系が好きなスタクラファンには嬉しい新作かな?。

今風のヒップホップもやりたい・・・唄モノのR&Bも・・・フュージョンも・・・やっぱりロックもちょびっとやりたい・・・

映画音楽制作で味をしめたのかストリングスを大胆に起用した綺麗なものもしたい・・・

そんなスタクラのワガママを、付き合いのなが〜いレーベルの「EPIC」が叶えてあげたのかな??。

200351日)

 

Fonseca, Celso - Natural Cover Art

Celso Fonseca:vo,g  “Natural”

w/ Daniel Jobim:p Robertinho Silva:ds  Jorge Helder:b ・・・

リオのバッハ海岸をバックにしたジャケット写真がまず素晴らしい。リオ・デ・ジャネイロで有名な海岸は、イパネマ、レブロンあたりだが、

バッハは、その南に位置する海岸で、あまり観光地化してなくて、落ち着ける海岸。

夕暮れには、少し寂しげな表情も見せ、その雰囲気は、まさに「サウダージ」。

リオの市街地から、ハイウェイを飛ばして30分くらいの場所かな?。海岸からすこしまた車で行ったところにあるテニスコートにはよく行ったなぁ・・・。

いや〜このCD、聴きながら、リオに少し滞在した10年くらい前のことを思い出してしまいました、いや〜「サウダージ」「サウダージ」。

セルソ・フォンセカは、ガル・コスタやジルベルト・ジルといった超がつくベテランから、マリーザ・モンチといった若手まで、幅広いMPBシーンで

重用されるギター奏者・ヴォーカリスト/プロデューサー。

カエターノ・ヴェローソのような唄とジョアン・ジルベルトのような繊細なギターによる彼のボサ・ノーヴァは、いつ聴いても本当に素晴らしい。

作詞家のホナルド・バストスと組んだ前作、前々作と同じアコースティックでボサ・ノーヴァな作品ながら、今作は、ジャケット写真が示す?ように

より空気感のある開放的な雰囲気。

ちょっと触れただけで壊れそうなくらい繊細なファースト〜前々作もいいけど、さらっと聴くには、少々センスィティヴすぎる・・・けど、今作くらい

オープンな雰囲気だと、気軽に聞けるし、より多くのファンにアピールできると思う。

「セルソ?誰?ブラジル音楽にもあんまし詳しくないしぃ・・・

でも、ボサ・ノーヴァの雰囲気は好き、カフェっぽいし・・・」みたいな人にも、十分薦められる間口の広さを持ってる。

でいて、彼の奏でるギターのハーモニーには、微妙にエッジの効いたサウンドも入ってる、この辺が、2003年産のボサ・ノーヴァのカッコよさなんだな。

ゲストには、ボサ・ノーヴァの生みの親、トム・ジョビンの息子ダニエル・ジョビンや、ミルトン・ナシメント バンドの看板ドラマーで、ウェイン・ショーターも

お気に入りなロベルチーニョ・シルバも参加してるが、あくまでも、フォンセカの音楽の一部を構成するエレメント、前作のタイトル曲

「スローモーション・ボサ・ノーヴァ」の再演でのダニエルのピアノが渋い。

ほんとは、このCD持っていますぐリオに飛びたい(でも今は、ガレオン(リオの国際線空港)=成田の直行便はないみたい。

あんまり好きじゃないサン・パウロで乗り換えが必要とか。)けど・・・そんな時間もお金も今は無いんで・・・

あんまり人のいない海岸を探して、「サウダージ」を感じに行ってきます・・・。

200357日)

 

Elliot, Richard - Ricochet Cover Art

Richard Elliot:ts  “Ricochet”

w/ Jeff Lorber Lex Rideout:key Dwight Sills Tony Maiden Robbie Neville:g Ronnie Garrette :b Lil John Roberts Michal White:ds

Brandon Fields Lee Thornburg:horns Luis Conte Lenny Castro:perc ・・・

以前、レビューで、この種のスムースジャズは、演者の力量云々よりも、作曲、編曲、プロデュースといったパッケージの良し悪しが勝負となる・・・と

コメントした記憶があるが、これを聴いてそのことを改めて実感した次第。

今作では、フュージョン職人のジェフ・ローバーとウィル・ダウニングなんかのクワイエット・ストーム系R&Bを手がけるレックス・ライドアウトを

メイン・プロデューサーに迎え、彼らのキャラクターに上手く沿ったサウンドに仕上がっている。

「スムースジャズ」とは、「ジャズ」という言葉がついているものの、実際はほとんど「ジャズ」の要素はなく、「インストゥルメンタル・ポップス」が

その実態だが、ここでのサウンドは、エリオットの男っぽいテナーをヴォーカルに見立てて演出したクワイエットストーム系R&Bを聴いてるかのよう。

以前はソプラノなんかも吹いてたが、テナー一本勝負という作戦が当たり!!。

さすが、リチャード・エリオット、タワー・オブ・パワーでリード・サックスをやってただけにことはある、確か80年代のジミ〜なTOPの作品「パワー」

(というタイトルながらあんまり「パワー」を感じなかったサイプレス盤。)の頃だったかな?。

TOPといえば、本作にも、ブランダン・フィールズ、リー・ソーンバーグといった同窓生も参加してるな・・・でもジミなホーンセクションの一員だけど。

 エリオットの作品というより、ジェフ・ローバーの作品?といった方がいいようなファンキーな2曲目、8曲目のスタイリスティックスのカヴァー

「ユー・メイク・ミー・フィール・ブランニュー」でのR&Bシンガーのような歌心満載のテナー、ラストの曲で、スライ&ファミリーストーンの名曲「サンキュー」のベースパターンを取り入れたようなグルーヴィーな曲「スライ」(そのままやんかぁ・・・。)が特にカッコいい。

「金太郎飴」状態の「スムースジャズ」はもう正直「お腹いっぱい」だけど、フィーチャーされるインストゥルメンタリストの個性が光る、

「インストゥルメンタル・ポップス」なら、本作のようにまだまだ楽しめる作品を作れる余地があると思う。

200357日)

 

Chi, Jing - Live! Cover Art

Jing Chi “Live!”

Jing Chi / Jimmy Haslip:b Robben Ford:g Vinnie Colaiuta:ds

w/ Otmaro Ruiz:key Marc Russo: sax

2001年、突如、技術系インストロック?ファン御用達レーベル「トーン・センター」よりCDデビューしたユニットのライブ盤。

デビュー盤も本作も、ベースのジミー・ハスリップがプロデューサーにクレジットされていることから、

彼がリーダー的な存在のユニットなんだろう。

デビュー作を聴く前には、この面子で、ブルース〜ロック・インストをインプロビゼイション、バリバリで演ってるのかな?と期待したが、

音的には、ブルース〜ロックのインスト中心ながら、バリバリという感じじゃなく、かなり小さくまとまった演奏で、少し期待を裏切られた気がした。

カリウタのタイコのみ炸裂してたが、フォードのギターにはいまいちキレを感じなかった、ハスリップのベースももともと超ジミなんでしょーがないけど。

今作はライブ盤、前作でのストレスを一気に解消!!するバリバリ、ガンガン系か?!!と期待して聴いたんですが・・・

あんまりホットな感じはしませんでした・・・しょぼ〜ん…。

前作は、一部の曲には、ブライアン・オーガーのキーボードやスティーヴ・タヴァローニのサックスやEWIがフィーチャーされてたものの、

基本はトリオだったが、このライブには、全編で、キーボードが参加してるんで、妙にフュージョンっぽく聴こえてしまう。

この面子で、「フュージョン」聴きたい人には、嬉しいんだろうけど、熱いブルージーなロックインストを期待すると・・・ちと違うサウンド??。

そんな中で、ひとり気を吐くのは、やっぱり、カリウタ。

Jing Chiのレパートリーは結構ジミ目な曲が多いんだけど、「キメ」や「オカズ」のパートになると、ドスドス、ドカドカ、バシャバシャ、叩くまくる、まくる!!。

どんなシチュエーションでも、全力で叩かないと気がすまない?中途半端が大嫌いなカリウタらしさ炸裂、やっぱり、この人のタイコ、カッコいいなぁ。

チックのアコースティックバンドで来日したときに、少し長めに話する機会があったが、超ファンキーでお茶目な性格にびっくり!、

ほんと、この人、キャラと実際の演奏が一致してますねぇ・・・。

ラストに収録されてるマイルスの「スターピープル」ライクな14分以上にも及ぶブルースチューン「ブルースMD」(やっぱりこのMDってMiles Davis?)で、

やっとフォードも渋〜く炸裂、マイルスバンド時代を思わせます、

元イエロージャケッツのマーク・ルッソのハイトーンを搾り出すようなアルトも登場、いや〜お懐かしい、お懐かしい…。

生真面目そうなハスリップのプロデュースが、ど〜も裏目にでてる感じがしてしょうがないな、このユニットは・・・。

せっかくこんな素晴らしい面子が集まったんだから、次作では、妙なプロデュースをせず、ガンガンにイキまくる「トーン・センター」らしい演奏を切に期待します。

200358日)

 

Scaggs, Boz - But Beautiful: Standards Vol. 1 Cover Art

Boz Scaggs:vo  “But Beautiful Standards Vol. 1”

w/ Paul Nagel:p Eric Crystal:sax John Shifflett:b Jason Lewis:ds

ポップス〜ロック歌手がジャズをやり出すと、何か落ちぶれた感じがしてしまう。ヒットチャートがすべてじゃないけど、そっちで勝負できなくなった人が

下りてくるような…リンダ・ロンシュタット、カーリー・サイモン、バリー・マニロウ~最近では、ロッド・スチュワートまでやり始めたな。

そんで、このボズの初めてのジャズ作。96年に、日本のみの企画で、「ロウダウン」「ハーバーライト」「ウィー・アー・オール・アローン」「シモン」なんかを

アンプラグドなジャズっぽいアレンジでやった「フェイド・イントゥ・ライト」という作品を出しているが、全編、ジャズのスタンダードで固めたものは初めて。

1.「ホワッツ・ニュー」2.「ネバー・レット・ミー・ゴー」3.「いつの頃から」4.「スフィスティケイテッド・レディ」5.「バット・ビューティフル」…9.「恋とは何でしょう」

10.「フォー・オール・ウィー・ノー」まで…ぜ〜んぶ、超有名なスタンダード。

ピアノトリオ+サックスをバックに、あのモコモコした声で歌ってます、2流ホテルのディナーショーの営業みたい…。

まぁ、感情のこもったなかなかの歌い方だし、雰囲気も悪くないけど…ボズ・スキャッグスがやらんでもええやろ・・・というのが正直なところ。

前作のダニー・コーチマー&デヴィッド・ペイチをプロデュースに迎えた「Dig」が、ボズのルーツのブルースフィーリングを上手くコンテンポラリーに、

そしてポップにまとめあげたなかなかの作品だったんで、この路線で行ってくれれば、ボズもまだまだ、捨てたもんじゃないな…と思ってたのですが…。

このジャズ作でも、せめて、ボズのギターをフィーチャーしたようなブルージーなものを入れるとか、「フェイド〜」のように、自己のヒット曲のジャズ・

バージョンを入れるとか、なんかひと工夫してくれてるといいのですが、ヒネりの無いスタンダードを淡々とやって、ハイ、おしまい、ではなぁ…。

これ「Vol.1」?ということは、次もこんなんなのでしょうか??。

70年代初期のブルースな頃も、70年代中期〜80年代初期のAORな頃も、90年に復帰して以降も、ずっとボズのファンだった私としては

ちと辛いもんがありますねぇ…これじゃぁ…。

2003517日)

 

Metheny, Pat - One Quiet Night Cover Art

Pat Metheny “One Quiet Night”

Pat Methenysolo Baritone Guitar

いいですねぇ〜気持ちいいですねぇ〜ほんといい気持ち…zzz…。

少し疲れたとき、ソファーに体を投げ出したシチュエーションで聴いたんで、マジでこんな状態になってしまいました。

今回は、「バリトンギター」のソロということですが、ギター弾きじゃないんで、ギターの構造上のことはあまりよく分かりませんが、

「バリトン」というだけあってか、ソロながら、低音部がよく響いてる感じ、チャーリー・ヘイデンがどこかで薄っすら弾いてるみたい。

なんで、「ソロ」ですが、ベース(=低音弦)+ピアノ(=コード弾き)+ギター(=メロディーライン)みたいに響くんで、音がすごく立体的に感じます。

収録曲では、ノラ・ジョーンズの大ヒット曲「Don’t Know Why」をやってるのが話題で、原曲の切ないイメージを上手く強調した素晴らしいものなんですが、

作品全体から見たバランスで言うと、少し「浮いてる」感じ?。

他にもキース・ジャレットの「My Song」なんかもやってますが、ほとんどがパットのオリジナルで、70年代のPMGから脈々と流れる「アメリカの原風景」な

雰囲気がギターソロでもきちんと貫かれてますが、ノラのあの曲になると、何か気分が現実に引き戻されるような違和感が少々…。

最近のPMGは、もうやることをやりつくして、今度は何をやっていいのか分からない…みたいな閉塞感があっていまいち好きになれない作品ばかりだけど、

ソロワークでは、やりたいことがはっきりしてて、その目標に集中してる感じなんで、作品の中身もPMG名義のものよりも濃いと思う。

自然体で聴けて、リラックスできて、最後には、寝てしまえる音楽とは…退屈ととるか最上の喜びととるかは??

聴く人の判断に委ねたいと思いますが…個人的には、すごく愛着を感じる1枚です。

2003519日)

 

日野賢二:b,key,vo “Hino In Wonderland”

w/ Poogie Bell:ds produce Bruce Flowers Scott Brown Don Blackman:key Masa Shimizu John Scofield:g

Terumasa Hino:tp Makoto Ozone:org Kenny Garrett Casey Benjiman:sax Don Alias:perc

Tanya Michelle Akiko:vo Nightlife:rap etc

「カッコいい新譜見つけたで」「何??」「まぁ〜聴いてみ」〜CDカチャ♪♪〜「マーカスの新譜か?」

「そ〜やと思うやろぅ?ちゃうねんなぁ〜それが…、せやけどカッコええやろ?」「ほんまやな。ところでこれ誰なん??」…。

そんな会話が聞こえてきそうなヒノテル氏の息子、ケンジ君の初リーダー作。

90年代初旬は、親父のバンド(89年の「オン・ザ・コースト」の頃)や叔父の故元彦氏が率いたフュージョンバンド「アバナイトロプス」なんかで活躍してたけど、

近年は日本のジャズ・フュージョン・シーンではあまり名前を聞くことがなかったが、NYをベースに、ジャンルを超えて活動していたみたい。

彼は、ジャコとマーカスに大きな影響を受けたそうだが、聴こえる音を聴く限り、「マーカスチルドレン」?敢えて言わせてもらえれば、ズバリ「マーカスクローン」!。

エフェクターの使い方からくる音色や、フレーズ、奏法まで、そっくり。

また、ドラム&プロデュースをマーカスの僚友、プージー・ベルがやってるんで、サウンドメイクまでそれ風。

じゃ〜マーカスを聴けばええやん?となりそうなんだけど、そ〜じゃないんだなぁ…。

今のマーカスのサウンドは、アクロバティックになりすぎたソロを含め、何か考えすぎ?みたいなところがあって閉塞感を覚えるが、

ケンジ君のそれはフレッシュで躍動感に溢れてる。

1曲目から、プージーの重いドラムにマサ清水のディーン・ブラウンみたいなファンキーなリズムギターが絡み、

ケンジ君のスラップのベースがメロディーとボトムでグルーヴィーに踊る、跳ねる、そして、ケニー・ギャレットのサックスまで登場!、いや〜こりゃ〜カッコいい!!。

2曲目には、父、日野晧正も登場、叔父の故元彦氏の名曲「It’s There」をファンキーにリメイク、ヒノテルのトランペットも80年代のフュージョン時代のようにフレッシュ。

4曲目のミック・マーフィー=デヴィット・フランクのユニット、システムのヒットソング「You Are In My System」には、ナイトライフのラップをフィーチャー、

80年代のR&Bグルーヴを、プージー=ケンジのリズムがアップ・トゥ・ディトなビートに上手くリメイク、これもいい感じだなぁ。

マーカスの「People Make The World Go Round」みたいなイントロからはじまるのは、6曲目の「Mr PC」、もちろんトレーンの名曲。

これをアフロでファンキーなムードにカヴァー、あの印象的なメロディーをスラップで弾いてます、マーカスがジャコの「ティーンタウン」を全編スラップで演った

バージョンに影響を受けたのかな?小曽根氏のオルガンも超グルーヴィー!おまけにジョン・スコのギターも心地よくウネウネ。

ジャズ・フュージョン的?には、ここが今作で一番の聴き所でしょうか。

10曲目の「Wonderland」は、フュージョン的にいい感じ、曲名の通りスティーヴィー・ワンダーに影響を受けてコンポーズしたという軽快なナンバーで、

ギャレットのサックスソロも快調。

11曲目のトコちゃん(故元彦氏)に捧げたというブルージーなスロウナンバーも渋い、ジョン・スコのダークなギターソロや、

ケニー・ギャレットと聴き間違えそう?なケイシー・ベンジャミンも快演。

マーカスに似てようとなんであろうとそんなこの関係ない!自分の好きな、そして信じるスタイルの音楽をやりたい!という芯の強さと、

親父譲りのセンスのよさを感じる作品。

ファースト作は、「マーカス大好き」を前面にフィーチャーしたガムシャラなサウンドでOKだと思うけど、次もこうだと、「これしかできないの?」となってしまうんで、

マーカス的なサウンドを彼なりに上手く咀嚼し、昇華させていかにして、自分の音を作ってゆくかが、次の課題かな?。

2003522日)

 

Rippingtons - Let It Ripp! Cover Art

Rippingtons “Let It Ripp!”

w/ Russ Freeman:g,key Dave Karasony:ds Scott Breadman:perc Bill Heller:key Eric Marienthal:sax Kim Stone:b

89年の名盤「ツーリスト・イン・パラダイス」では、波乗りをしていた「JazzCat」君もとうとうゴルフを始めてしまいました。

JazzCat」君もだんだんおじさんになってるんでしょうか…。

ま、冗談はさておき、今回の新譜ですが、ラスのクセのないギターとサックスとのアンサンブルをベースにした「スムースジャズ」で、

このユニット不変のテイスト。

「ツーリスト〜」の頃の「モロ真夏」みたいな雰囲気からは、ずいぶん、サウンドも落ちついた感じ、陰影感のあるラテン風のナンバーも多くなった。

これまではゲスト扱いだった、元チックのエレクトリックバンドのサックス奏者エリック・マリエンサルがとうとう正式メンバーとしてクレジット。

ブランダン・フィールズ〜ジェフ・カシワと続いた後は、ポール・テイラーなど小粒のサックス奏者が入れ替わりで参加していたが、

やっとラス・フリーマンと対等?もしくはそれ以上の実力のあるサックス奏者の参加に、バンド全体のサウンドもピリッと締まった感じに。

本来、打ち込みも得意なラスだが、近作では、生のバンドを重視したサウンド作りをしているが、新作ではその傾向がより強くなっていて、

実力派のマリエンサルの参加も手伝って、ライブ感のあるナチュラルな躍動感がある。

新加入のマリエンサルの他、グループ最古参となったキム・ストーンとディヴ・カラソニーの作り出すキレのあるリズムもいい。

「打ち込みのリズムトラックにソロのっけて一丁上がり」的なサウンドの多いスムースジャズの中にあって、もはや「老舗」の貫禄も漂う

リッピントンズの「パラダイス」な音楽は、やはり一味違うなぁ。

いい意味で、安心して聴き流せる上質なBGM。

2003523日)

 

THE HOWLAND/IMBODEN PROJECT

 (Keith Howland:guitar Tris Imboden,drums)

w/ Robert Lamm Bill Champlin David Garfield Jeff Babko Steve Weingart Horace Williamson:keys Marc Russo:sax Lee Loughnane:trumpet flugelhorn James Pankow:trombone Jason Scheff:electric upright bass Kevin Ricard:percussion Lance Morrison Jimmy Earl:bass

現在のシカゴのギタリストとドラマーによるプロジェクト。

同僚の初プロジェクトということで、ロバート・ラム、ジェイムス・パンコウ、ビル・チャンプリン、ジェイソン・シェフ、リー・ラフネインら、

現在のシカゴのメンバーも馳せ参じている。

サポートには、ガーフィールド、バブコ、アールといったLAのファーストコール達も参加、スタジオ録音ながら、オール生楽器なんで、ライブ感のあるサウンドとなっている。

サウンド的には、ホーランドのLAらしいドライなロックテイストなギターと、これまた、LAの青空のようなクリアで抜けのよいインボーデンのドラムを中心にした

ややロックテイストなLAフュージョン。

インストロックみたいな感じだけじゃなく、ラテンっぽいものやブルースっぽいものなどがあったりして、曲調はバラエティ豊か、

この辺は、ガーフィールドの「カリズマ」あたりのテイストに近いかも。

この面子を見ると、AORっぽいヴォーカルものも?と思いがちだが、残念ながら、歌ものはゼロ。

そりゃそ〜だわ、ここで、シェフやラム、チャンプリンが歌ったら、シカゴになってしまうがな…。

ホーランドのギターだけど、そこそこカッコいいとは思うけど、やはり、ロックバンドの上手いサポートギタリストというレベルを超えるまでには至ってない。

やはり個性という点では、同じような志向性のスティーヴ・ルカサーやマイク・ランドゥには遠く及ばないな。

なんで、本作で気持ちよかったのは、Tr.1Tr.6、Tr.10などのハード目なロックインスト系よりも、

ラフネインのトランペットをフィーチャーしたTr.2や古参のシカゴのメンバー、パンコウのトロンボーンをフィーチャーしたTr.9といった

少しレイドバック気味のラテン調のナンバーや、

元イエロージャケッツ、マーク・ルッソのハイトーンにキレるアルトをフィーチャーしたブルースナンバーTr.3

ガーフィールドが参加したミディアムテンポのファンキーで「カリズマ」もやりそうなフュージョンっぽいTr.7なんかの方が面白いしカッコいい。

ウェストコーストのスタジオ屋さん系やカリズマのファンには、マストアイテムでしょうけど、そんなに印象的な曲もないし、シカゴのファンが期待する

歌モノもないんで、それ以外の人には、あんまりアピールするものがないでしょう。

ただ、レコード会社もレコード番号もない!自主制作盤なんで、一度市場から消滅すると、入手困難盤になるのは必至なんで、

少しでも興味がある人は、とりあえず「ゲッツ!」でしょう。

ちなみに、このCD、タワレコ梅田で見つけましたんで、タワレコ系のお店では入手できるはずです。

2003523日)

 

Hiram Bullock:g,vo  “Try Livin’ It”

w/ Will Lee:b,vo Dave Delhomme Ricky Peterson:key Charley Drayton Clint ds Ganon:ds Tom Malone:horns Paul Peterson:b

 Katreese Bernes:back-vo etc

前作がギターを前面に出した作品だったのに対し、今作は、いつもの「ヘタウマ」なヴォーカルをフィーチャーした「歌モノ」。

この人のギターは、ファンキーでギャンギャンしててカッコいいんだけど、いわゆる「一発屋」、長々とソロを聴かされると、正直、少し、ダレる、というか飽きる。

自身の歌を含むヴォーカルや、サンボーンなんかのインストゥルメンツの合間に、「ギュイ〜ン、ギャ〜ン」とやるのがカッコいいんだな。

そんな意味で、今作は、大変にカッコいい。

「フュージョン」的作品を強要されたアトランティック時代や、ジャズっほいものやラテン調の作品など、自分の意思よりも、

レコード会社やプロデュースサイドの意向が優先された作品をいくつも作らされたハイラムだが、ここでは、結構好きにやってる感じ。

R&R、R&B、ブルース、ジャズ、フュージョン…すべての要素を含んだもの…「パワー・ファンク・ロック・フュージョン」とでも呼んだらいいのか…

がいっぱい詰まっている。

ウィルやデ・ガノン、デロームといったレギュラーメンバーの他に、ミネアポリスの天才、リッキー・ピーターソンが、大きく参加しているが、

これが正解。

パワーと勢いが優先し、とっ散らかるきらいのあるハイラムのサウンドを、リッキーのセンス溢れるグルーヴィーなオルガンが上手くまとめてる感じ。

全体的な雰囲気は、ロック、ファンク、フュージョンなどの要素が上手くバランスされていた「24丁目バンド」の頃を思わせるので、

ハイラムの近作の中では、一番、楽しめた作品かな。

何?「24丁目バンド」知らないの??じゃ〜まず、これ聴く前にまず、名曲「Shoppin’ Round Again」の入ってる

ファースト作「The 24Th.Street Band」を買いましょう。

2003524日)

 

 

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