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Bob Berg Randy Brecker Dennis Chambers Joey Defrancesco "The JazzTimes Superband" (Concord) |
アメリカのジャズ・マガジン「ジャズ・タイムス」の創刊30周年を記念して結成されてスペシャル・ユニット
「ジャズ・タイムス・スーパーバンド」の作品が、コンコードよりリリースされました。 この種の企画モノでは、とかくその内容が保守的になりがちですが、この企画では、結構コンテンポラリーな面子が顔を揃えており、企画モノ嫌いの私でも、そそられます。参加メンバーは、作品タイトルにクレジットされてる面子に、ゲイリー・トーマスや、ジョーイ・デフランチェスコらとの共演で知られるポール・ボーレンバックのギターを加えたクインテット編成となっています。 サウンドの方は、ジョーイのハモンドB3を中心にしたオルガン・ジャズですが、面子が面子ですから、「ブルージー」「ソウルフル」…などというようなオルガン・ジャズの定番の雰囲気とは一線を画するものとなっています。ひとことでいえば、60年代後半のオルガン・ジャズをタイトにしたような感じと言えるでしょうか。その雰囲気の違いの素は、デニ・チェンのタイコです。オルガン・ジャズといえば、リズムが結構ルーズでレイド・バックしていますが、デニ・チェンがルーズなタイコをたたくはずも無く、タイトにキマリまくるドラムが、サウンドにピリカラ風味をプラスしています。最近ちょっと精彩を欠くボブ・バーグのテナーも、ここでは、マイク・スターンとのバンド時代を思わせるソリッドなプレイを聴かせてくれます。特にアルバムラストに収録されている「フリーダム・ジャズ・ダンス」でのアグレッシヴなプレイは聴きモノです。いつもは、ジミー・スミスに傾倒しまくりのジョーイのオルガンですが、ここでは結構コンテンポラリーで、一瞬ながらマイルス・バンドに参加していたという、その経歴を裏付けてくれるようなヒップなプレイを披露しています。ジョーイのペダルのベースもファンキー&グルーヴィーです。意外といっては失礼ですが、ギターのボーレンバックのプレイにも感心させられました。ジャズ・ギターの本流を基本としながら、ジョン・スコばりのアグレッシヴなプレイやモーダルなバッキングを聴かせてくれるなど、もう何枚もリーダー作をリリースしている中堅所のミュージシャンですが、これからの活躍が期待できるギタリストです。最後にランディのトランペットですが、特別どうこう言う所は無いものの、貫禄のプレイはさすが…といった感じです。 収録曲は、メンバーのオリジナル中心で、スタンダードものは、ロリンズの「オレオ」エディ・ハリスの「フリーダム・ジャズ・ダンス」の2曲です。個人的には、これらのスタンダードを斬新なアレンジで聴かせてくれた2曲と、ボブ・バーグのDENONレーベル1枚目「短編集」収録の「フライディ・ナイト・アット・ザ・キャデラック・クラブ」が印象的でした。 お気軽な企画モノ・セッションの割には、なかなか中身の濃い作品です。「芸達者」な参加のメンバーの「一発芸」もちゃんと楽しめますから、メンバーの中に好きなミュージシャンがいれば「買い」の作品だと思います。 2000 6.5 Update |
★★★★ |
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Dave Santro "Standards Band U" (Double Time) |
クラーク・テリーやディヴ・リーヴマンらとの共演を経て、近年は、ジェリー・バーガンジとのコラボレートが目立つベーシスト、ディヴ・サントロの新作が、ダブル・タイム・レーベルからリリースされました。 この作品は、昨年リリースされた、スタンダード・ナンバーばかり演奏した「スタンダード・バンド」の企画の続編となっています。参加メンバーも、サントロ(b)ジェリー・バーガンジ(ts)トム・メリロ(ds)と同じですが、ピアニストだけが、前作のブルース・バースから、スロヴェニア出身で、ジョン・ヘンドリックスなどとの共演歴を持つレナート・チッコにチェンジされています。 「スタンダーズ・バンド」と名打つだけあって前作同様、「恋とは何でしょう」「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」「テンダリー」「ザ・ソング・イズ・ユー」「飾りの付いた4輪馬車」など、スタンダード・ナンバーばかり8曲収録されてます。ジャズメン系スタンダードではなく、歌モノ系スタンダード中心です。 歌モノ系のスタンダード中心とはいえ、バーガンジのテナー中心のセッションだけに、甘口のラウンジ・ジャズではなく、アプローチもそれなりに、コンテンポラリーなものとなっていますが、バーガンジの演奏の中ではやや甘口かな?とも思います。ジョー・ヘンダーソンの領域に1歩近づいた円熟したプレイといえば、少し誉めすぎでしょうか。10年ほど前の、ブヒブヒいわせながらアグレッシヴにブロウしていたバーガンジも捨てがたいですが、ここでの円熟したテナーも素晴らしいと思います。今回から参加したピアニストのレナート・チッコですが、ブルース・バースほど硬派ではなく、ややコンサバなプレイです。バーガンジとやりあうには、もう少しガッツが欲しいところです。サントロとメリロのリズム・セクションですが、ベースのサントロは、可も無く不可も無くといった所。まぁ、サントロのベースは終始安定したプレイで地味ながらそれはそれでいいと思いますが、問題はメリロのドラムです。ワンパターンというかメリハリが無いというか…全く面白みがありません。サックスのバーガンジーは好調、ピアノも悪くない…なのにいまいち盛り上がりに欠けるのは、この退屈なドラムのせいかもしれません。 Tの時にもコメントしましたが、政治で言えば「中道やや左寄り」のジャズです。
バーガンジーのスタンダード集として聴けば、まずまずの作品ですが、ディヴ・サントロのリーダー作としては、リーダーとしての存在感は希薄と言わざる得ません。でも、ちょっとモーダルなスタンダード集としては、日本人にも分かりやすいワン・ホーン作と言えるでしょう。 2000 6.7 Update |
★★★☆ |
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Lyle Mays "Solo〜Imprpvisations For Expanded Piano" (Warner Bros.) |
パット・メセニー+ライル・メイズ=パット・メセニー・グループ。パット・メセニー・グループのブレインともいえるキーボード奏者ライル・メイズの新作である、この作品を聴いて改めて、こんなごくあたりまえのことを改めて感じました。 ピアノ・トリオ作だった93年の「フィクショナリー」以来のとなる新作は、ピアノ・ソロ作となっています。少しシンセサイザーによるサウンド・メイクを施したパートもありますが、基本はピアノ・ソロです。収録曲はすべて、メイズのオリジナル。プロデュースは、パットとグループのベーシスト、スティーヴ・ロドビーがプロデュースを担当しています。 内容ですが、「ゆらぎ」を感じるメロディ(=歌)の断片の連続ともいえるピアノ・ソロが中心です。雰囲気としては、ジャズ度は限りなくゼロに近く、下世話なジャンル分けをするならば、「ヒーリング・ミュージック」にカテゴライズさせるような内容でしょう。全10曲中2曲目と10曲目の曲以外は、沈み込むような暗めの曲ながら、いい意味でテンションが低いため、結構寛げる雰囲気ではあります。 パット・メセニー・グループの音楽とは、パットの成分とライルの成分が化学変化のようなものを起こして出来たんだなぁ…ということを改めて感じました。パットだけ取り出してもあの音は出ないし、ライルの音楽だけでももちろん出来ない。ライルのソロ・ピアノを聴いて思うのは、パット・メセニー・グループの音楽を因数分解して出てくる要素のひとつじゃないかな?ということです。ですから、パット・メセニー・グループの音が好きだからといって、この作品が気に入るとは限りません。しかしこのアブストラクトな音像の中に、パット・メセニー・グループの音楽を形成する上での重要な要素が含まれていることは間違いありません。 個人的には、ライル・メイズはジャズ・ミュージシャンだとは思っていないので、前作の無理やりジャズ・ピアノをやらせたような無味乾燥とした作品よりは、楽しめました。楽しめたというより「癒された」と表現した方がより的確かもしれません。決して万人向けじゃないですが、ライル・メイズというミュージシャンの本音というか本質が正面に出た真面目なソロ作品といえるでしょう。 2000 6.18 Update |
★★★☆ |
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Steps "A Collection" (NYC) |
マイク・マイニエリとマイケル・ブレッカー中心のジャズ・ユニット(当時、表向きはノン・リーダー・グループだとコメントしてましたが…)ステップスの日本コロンビア原盤のセカンド作「ステップ・バイ・ステップ」(79年)とサード作「パラドックス」(80年)を2枚組みにした作品が、マイニエリのレーベルNYCからリリースされました。 昨年同じく、NYCレーベルよりリ・イシューされたステップスのファースト・アルバム「スモーキン・イン・ザ・ピット」では、5曲もの未発表曲が追加され話題となりましたが(特にマイケル・ブレッカーが、たたみかけるようにブロウするジョー・ヘンの「レコーダミー」がカッコ良い。ガッドのタイコも最高!)、今回のリ・イシューでは、「パラドックス」収録の「ジ・アレフ」の別テイクのみ(ただ19分もある!)の追加となっています。なんでも「ステップ・バイ・ステップ」のマスターテープを、日本コロンビアが紛失していたとかいないとかで、「ステップ・バイ〜」からの追加トラックがゼロとなってしまったようです。 ステップスのメンバーですが、「ステップ・バイ〜」の方は、マイニエリ(vib)マイケル・ブレッカー(ts)スティーヴ・ガッド(ds)エディ・ゴメス(b)ドン・グローニック(p)。「パラドックス」では、ドラムが、ガッドからピーター・アースキンにチェンジしています。 この2枚の位置関係は、1979年12月15日と16日のピット・インのライブの直後(もちろん、これが「スモーキン〜」)、17日に東京のスタジオで収録されたのが「ステップ・バイ・ステップ」、翌1980年の夏、当時、ブレッカー兄弟が経営していたNYのジャズ・クラブ、セブンス・アベニュー・サウスでライブ収録された作品が「パラドックス」です。NYC盤の「スモーキン〜」と今回のリ・イシュー盤「ア・コレクション」の2作品(計4枚)で、1979年〜1981年までのステップスの全貌が分かるという訳です。(「スモーキン〜」のライブでの未発表テイクがまだあるらしいですが…) それらの内容の素晴らしさは、もう紹介され尽くしていますが、「ステップ・バイ・ステップ」と「パラドックス」の2枚を聴き比べる上で、ポイントとなるのが、ガッドとアースキンというドラムの違いでしょう。16ビートの感覚による4ビート/アコースティック・ジャズというカッコ良さという点では、ガッドのタイコに勝るものはありません。スコン・スコンとオカズがきまりまくるリズムは、たまりません。これぞステップス!という感じです。じゃあ「パラドックス」のアースキンはどうか?というと1983年にアメリカでもリリースされ好評を博すことになる「ステップス・アヘッド」(この作品からグループ名を「ステップス・アヘッド」に改称。)の1枚目(タイトルも「ステップス・アヘッド」)に通じてゆく、シンセサイザーなども少し使ったコンテンポラリーな浮遊感のあるサウンドには、あの空間を活かす彼のタイコが必要だったのでしょう。とにかく昨今の後ろ向きなジャズからは、感じることは出来ない、勢いというかパワー、スピリット…をリリースからほぼ20年たった今でも、十二分に実感できるはずです。ジャズ・フォーマットでのマイケル・ブレッカーの凄いものは、これらのステップスの3作品と、チックの「スリー・カルテット」だと、個人的に思っています。マイケル・ブレッカー・ファンは、絶対にイッとかないといけない作品です。 最近買ったCDの中で、2度3度…と繰り返し聴くのは、こんなリ・イシュー盤で、新譜で繰り返し聴くのはイチローの打率よりも低いと思います。これはやはり耳が保守化というか退化しているからなのでしょうか?。まぁそれはさておき、マイク・マイニエリが自分の過去の仕事に誇りをもって手作業でまとめあげリ・イシューしたこの「ア・コレクション」と「スモーキン〜」は、芸術作品を平気で使い捨てにするメジャー・レーベルでは決して実現出来なかった素晴らしい「いい仕事」です。特にこの時代を全く知らない世代の人に、是非一度聴いて欲しい、純粋にカッコいいだけのジャズです。「カッコいいだけのジャズ」、意外とこれが最近ないんだなぁ…。 2000 6.18 Update |
★★★★☆ |
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David Murray Octet "Octet Plays Trane" (Justin Time) |
最近、ブルース〜R&Bテイストな作品が続いていたデヴィット・マレイですが、今回のジャスティン・タイムからの新作は「ジャズ」。それも直球勝負のコルトレーンものです。 参加メンバーですが、「オクテット」の通り8人編成。マレイ(ts.bass-cl)クレイグ・ハリス(tb)D.D.ジャクソン(p)ラヴィ・ベスト、ラスール・シディック(tp)ジェームス・スポルディング(as.fl)マーク・ジョンソン(ds)ジャリブ・シャヒド(b)。この面子、結構キテると思いません?。 収録曲ですが、全6曲中1曲をのぞいて(1曲はマレイのオリジナル。)当然ながらトレーンの曲となっています。1曲目「ジャイアント・ステップス」2曲目「ネイマ」4曲目「インディア」5曲目「レイジーバード」そして6曲目には「至上の愛〜Part 1」!!まで登場します。イヤイヤ選曲はヒネリ無しですが、興味をそそられるセレクトだと思います。 さてさてどんな風に料理してるか?という所ですが、WSQっぽい管楽器全員によるインプロヴィゼーション的なテーマの後、マレイのテナーやバス・クラのソロ、またメンバーのソロ、そしてテーマみたいな構成となってます。特に、アップテンポの「ジャイアント・ステップス」や、かなりフリーキーで混沌としたメンバー全員の即興演奏からスタートし、グシャングシャンの後、あのリズムへと突入してゆくスリリングな「至上の愛」などなど…かなり面白いものとなっています。1曲の演奏時間も7分半〜15分を超えるものまであり(ちなみに「ジャイアントステップス」は13分57秒、「至上の愛」は何と15分20秒!!。)さながらNYのクラブで、デヴィット・マレイ・ビッグバンドを聴いてるような興奮を味わえます。サイド・メンでは、トロンボーンのハリス、ピアノのジャクソン、アルトのスポルディングが特に良いソロを聴かせてくれます。リズム・セクションも、マレイのサウンドのコンセプトを理解した、メリハリのある演奏で、サウンド全体を生きた(=活きた)ものにしています。黒くダークに暴れるジョンソンのタイコが良いですねぇ。 この作品は、60年代のインパルスや70年代のフライング・ダッチマン、また80年代後半〜90年代初期にかけては、ソニー傘下のレッド・バロン・レーベルで活躍し(マレイもこのレーベルには多くの作品を残してます。)、死去した名プロデューサー、ボブ・シールに捧げたものとなっています。そんな性格の作品なので、やや後ろ向きな匂いが無いとはいえませんが、コルトレーン=シールのインパルス時代を基軸に、サッチモ、バード、ホーク…まで振りかえったマレイのトラディショナル・ジャズに対する想いを集大成した作品といえるのではないでしょうか。 2000 6.20 Update |
★★★★☆ |
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Scott Wendholt "What Goes Unsaid" (Double Time) |
NYで活躍する若手〜中堅トランペッター、スコット・ウェンドホルトの新作が、ダブル・タイム・レーベルからリリースされました。これまでクリス・クロスなどから4枚のリーダー作をリリースしており、今作で5枚目のリーダー作となるそうです。 彼は、リーダーとして活動の他、キャノンボールの再来と言われるアルト奏者ヴィンセント・ハーリングのグループや、サド=メル・オーケストラをベースに結成されたザ・ヴァンガード・オーケストラにも参加していました。 今回のレコーディング・メンバーは、ウェンドホルト(tp)エリック・アレキサンダー(ts)アンソニー・ウォンジー(p)デニス・アーウィン(b)ビリー・ドラモンド(ds)というクインテット。 収録曲は、全8曲中、6曲目の「セプテンバー・イン・ザ・レイン」を除くすべての曲が、ウェンドホルトのオリジナル。しかしながら、オリジナルに多い小難しいこねくり回した曲は無く、いわゆる「ジャズらしい」曲ばかりとなっています。トム・ハレルほどでは無いにせよ、ソングライターとしてもなかなかの才能を発揮していると思います。 演奏の方ですが、これだけの面子が揃っているので、もう悪かろうはずはありません。むしろ失礼ながら、リーダーのウェンドホルトはどうなの?といった所でしょうが、こちらもご安心下さい。これという個性は薄いものの、音色が美しくケレン味の無いなかなかのトランペッターです。参加メンバーの中で、際立っているのが、予想どおりというべきか、テナーのエリ・アレとピアノのウォンジーです。エリ・アレは、自分のグループでのしゃかりきになった演奏ではなく、1歩引いたというかクールになったようなパフォーマンスで、早くも風格さえ感じるものです。またウォンジーのピアノも、特にアップテンポのナンバーでは、スウィング&グルーヴしまくりで、超ヒップなものです。 取立ててここが凄い!みたいな所は、ありませんが、NYのアコースティック・ジャズの良心を感じさせる実直なサウンドです。「ジャズはやっぱりこうでなきゃっ!」とポンとヒザを打つ一枚です。 2000 6.24 Update |
★★★☆ |
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Jeff Golub "Dangerous Curves" (GRP) |
ロッド・スチュワートのサポート・ミュージシャンとして頭角をあらわし、その後、ボブ・ジェームスとの共演や、「アヴェニュー・ブルー」という自らのグループでの活動でも知られるギタリスト、ジェフ・ゴルブの新作がリリースされました。 Mesa/Bluemoon〜アトランティック・ジャズからリリースされていたここ何作かが好評で、スムース・ジャズのマーケットでも、そこそこのネームバリューを獲得しているゴルブですが、今作は、アトランティックからユニバーサル傘下のGRPへの移籍第一弾となります。 最近エエ、フュージョン無いな〜と思っていた所に、この作品を聴いたせいもあるでしょうが、かなり気持ち良いフュージョン/スムース・ジャズに仕上がってます。参加メンバーですが、ゴルブ(g)ミッチェル・フォアマン(key)ケヴィン・サヴィガー(Hammond B-3)リンカーン・ゴーインズ(b)スティーヴ・フェローン(ds)ルイス・コンテ(perc)というバンドをベースに、元タワー・オブ・パワーのリー・ソーンバーグ(tp)らのホーンや、1曲ピーター・ホワイトがアコギで参加しているといった感じで、打ち込み無しのバンド感の強いサウンドです。 収録曲ですが、全12曲中、有名曲のカヴァーが、グローヴァー・ワシントンJrの演奏で知られる「ミスター・マジック」とキング・カーティスなどの名演でお馴染みの「ソウル・セレナーデ」の2曲となっています。オリジナル・ナンバーは、ゴーインズのアコースティック・ベースを効果的に使ったラテンぽいサウンドと、70年代の匂いがメロディーとグルーヴ・ラインにプンプン漂うメロウ&グルーヴなナンバーが中心です。 ウォームなナチュラル・ディストーションで聴かせるゴルブのギターは、ルーツにブルースを感じさせるもので、キレとコクを合わせ持った魅力的なスタイルです。系統的には、ロベン・フォードに通じる所があるかもしれませんが、作品の芸風としては、ロベンほどブルース色は強くありません。 サイドメンでは、フェイザーをかけたようなレトロなサウンドのローズで、絶妙なバッキング&ソロを披露しているミッチェル・フォアマンや、コントラバス&エレベで大活躍のリンカーン・ゴーインズ、グルーヴィーなリズムの要である元アヴェレージ・ホワイト・バンドのドラマー、スティーヴ・フェローンのプレイが光ってます。 なかなか骨のあるフュージョン作品です。個人的には、特に、ラテン調の1曲目のタイトルカット、ピーター・ホワイトのアコギとの共演も素晴らしい「ソウルフル・ストラット」みたいな爽やかなメロディーの6曲目、それにゴーインズのコントラバスとのデュオからスタートするブルージーでムチャ渋のラストに収録の「ソウル・セレナーデ」あたりが気に入りました。70年代あたりからのフュージョン・ファンにもお薦めしたい渋めの1枚です。 2000 6.24 Update |
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