Grover Washington.Jr追悼特集

(Message from Tからの転載です。)

 先ごろ、NYで心臓発作のため56歳という若さでこの世を去ったソウル・ジャズのパイオニアとして知られるサックス奏者グローヴァー・ワシントンJR.。
 彼のメロウで流麗なサックスは、ジャズ/フュージョンという枠をいとも簡単に飛び越え、世界中の数多くの人の心を魅了しました。
1942年12月12日NYのバッファロー生まれ。父親もサックス奏者であったことから自然とサックスを始めたグローヴァーのブレイクのきっかけは、1967年のフィラデルフィア移住でした。チャールス・アーランドやジョニー・ハモンドといったオルガン奏者のプレステッジでのレコーディングに参加し注目を集めるようになりました。
 大ヒットした1971年のソロ・デビュー作「インナー・シティー・ブルース」ですが、ある偶然が創り出した奇跡的な作品であることは皆さんご存知でしょうか?このレコーディング・セットは実はもともと同じソウル系サックス奏者ハンク・クロフォードの為に設定されていたもので、たまたまハンクがこのレコーディングに参加できないという事態となり、その「トラ」として呼ばれたのがグローヴァーだったのです。そのチャンスを見事モノにして、それ以来、R&B系のサックス奏者としての不動の地位を築くこととなりました。
 その後1980年に「ワインライト」収録のビル・ウィザースをヴォーカルにフィーチャーした「ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス」でグラミー賞を獲得したことは、皆さんもよくご存知でしょう。

 今回は、トリビュート企画ということで、一言コメント入りのソロ作のディスコグラフィーを作ってみました。All Music Guideを参考に作成しましたが、抜けている作品や年号の間違いなどありましたらチェックして頂ければ幸いです。ジャケットが掲載されているタイトルは特に私のお気に入りの作品です。

 

1971 Inner City BluesKudu

 ソウル・ジャズの名盤。グローヴァーのサックスもさることながら、エリック・ゲイルのギターやボブ・ジェイムスのローズもたまらん…。タイトル曲以外にも、「マーシー・マーシー・ミー」「エイント・ノー・サンシャイン」と収録曲もたまらん…。グローヴァーを語るにはまずこれを聴け!。

 

 

 

1972 All the King's Horses ( Kudu )

1974 Mister Magic (MoJazz)

 デビュー作「インナー〜」に較べサウンド・メイクに凝った深みのあるサウンドが聴ける1枚。大ヒットナンバー「ミスター・マジック」以外は結構地味でディープな曲が多いが聴き応えはある。こちらでもエリック・ゲイル大活躍。フィル・アップチャーチのリズムギターも渋い。グローヴァーのサックスは少しジャズっぽい感じも。

 

 

1975 Feels So Good (Motown)

1976 A Secret Place (Kudu)

1978 Live at the Bijou (Motown )

 当時のレギュラーバンドによる白熱のライブ盤。メロウな側面がクローズ・アップされるグローヴァーだが、彼のソウルフルな熱さを実感できる唯一のフル・ライブ盤。ジョン・ブレイクのヴァイオリンが面白い。

 

 

 

 

1979 Paradise (Elektra )地味な作品です。

1979 Reed Seed (Motown) ビリー・ジョエルの「素顔のままで」カヴァーしてます。

1979 Skylarkin' (Motown)

1980 Come Morning (Elektra) 「ワインライト」の陰に隠れる裏名盤。スタッフは同じなのに。

1980 Winelight (Elektra )

 言わずと知れた「クリスタル」なグラミー受賞盤。名打楽器奏者でもあり又プロデューサーでもあるラルフ・マクドナルドとの黄金のコラボレートから産まれた名盤。ラルフの打楽器。リチャード・ティーのローズ。エリック・ゲイルのギター。スティーヴ・ガッドのドラム。マーカス・ミラーのベース。そしてメロメロなグローヴァーのソプラノ。「ジャスト・ザ〜」もいいけど、後にロバータ・フラックやビル・ウィザースをフィーチャーしてラルフ自身の名義でヒットさせた「イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ」も素晴らしい。私の棺桶に入れて欲しい1枚です。

 

1982 The Best Part Is Yet to Come (Elektra)フィリス・ハイマンの歌入りタイトル曲がイイ。

1984 Inside Moves (Elektra )こちらの歌はジョン・ルーシェン。ラルフとさよならの1枚。

1987 Strawberry Moon (Columbia) 安っぽい。マーカス・ミラーとのコラボレート曲もあり。

1988 Then and Now (Columbia) 長いキャリア初のジャズ盤。

1989 Time Out of Mind (Columbia) 凡庸。

1992 Next Exit (Columbia) 〜「テイク・ファイブ」のポップなカヴァー入り。ブラコン指向はちょい辛い。

1994 All My Tomorrows (Columbia )

 1988年の「ゼン&ナウ」の続編的アコーステック・ジャズ作。ハンク・ジョーンズ(p) ジョージ・ムラーツ(b)ビリー・ハート(ds)エディ・ヘンダーソン(tp)ら参加。ボサノヴァ・テイストも。フレディ・コールの歌を」フィーチャーした、スティーヴィーのカヴァー「オーヴァージョイド」が秀逸。アコーステック・セットがグローヴァーの繊細なサックスの魅力を際立たせた晩年の名作。

 

 

1996 Soulful Strut (Columbia)

 残念ながらオリジナル作としては遺作となってしまった作品。ヤング・ホルト・アンリミテッドのカヴァー「ソウルフル・ストラット」やピーボ・ブライソンのカヴァー「キャン・ユー・ストップ・ザ・レイン」などをアルバム冒頭にもってくるなど、より多くの人にアピールする作品で、次作を期待させるハイクオリティーなポップ盤だっただけに残念。底抜けに明るくメロウにブロウする「ソウルフル〜」を聴くと悲しくなってしまいます。

 

 

(ベスト盤やクリスマス作品などの企画モノは除いてあります。)

 グローヴァー・ワシントンJR.さんのご冥福を心よりお祈り致します。〜T

 

 

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