フュージョン名盤探検隊 

Message from Tに掲載されていたものを再掲載しています。

Vol.1

 70年代のフュージョンの名盤と呼ばれる作品はいろいろありますが、何故かまずチョイスしたのがこのディヴ・グルーシンの78年のアルバム「ワン・オブ・ア・カインド」なんです。(この作品は初めてポリドールより発売された当時は「ジェントル・サウンド」なる邦題が付けられ、ジャケットも別のものでした。)なんと言っても1曲目に収録されているフュージョンの名曲「モダージ」のカッコ良さに尽きる1枚です。ストリングスとグルーシンのエレピとのスリリングなイントロ、徐々に盛り上がってゆくグルーヴが快感なスティーヴ・ガッド(ds)=フランシスコ・センテノ(b)のリズム。グローヴァー・ワシントンJr.のメロウなサックス…。まさに「ジェントル・サウンド」と言うべきソフト&メロウなサウンドは、70年代初期のCTIサウンドの洗練された雰囲気とCTI〜KUDUの黒いグルーヴ感を絶妙にブレンドした70年代フュージョンを代表する1曲でしょう。(10.12.Update)

 

 ディヴ・グルーシンが登場した所で、彼のペンによる70'sフュージョンの名曲をもう1曲。リー・リトナー率いるジェントル・ソウツの名演で知られる「キャプテン・カリブ」。もともとはアール・クルー(g)のバージョンが初演ですが、こちらもバージョンの方はメジャーかつインパクトも上でしょう。原盤は1977年JVCで、JVCが誇るアナログ原盤に、直接レコーディングをする(つまりオーバーダビング一切なし。本当の一発録り)ダイレクト・カッティングで録音されたこのアルバムは、一発録りならではのスリルを感じさせるフュージョンの名盤です。「キャプテン・カリブ」のグルーシンによるピアノのイントロを聴くと、今だに心ときめいてしまいます。この頃のフュージョンは、一聴するとメロウなシンプルな感じなんですが、実際楽器でコピーなんぞをやりますと、ムチャ難しかったりします。ちなみに「キャプテン・カリブ」は、グルーシンのこれまた名盤「マウンテン・ダンス」やナベサダやマーカス・ミラー、トム・ブラウンらも参加したGRPオールスターズのライブ盤にも収録されてます。

Vol.2

 1978年のラリー・カールトンの名盤「夜の彷徨」です。まぁフュージョンの名曲「Room335」が入ってるCDという方が適当かもしれません。グレッグ・マシソンのエレピのイントロの後に、軽やかなジェフ・ポーカロのドラムとエイブ・ラボリエルのベースによるリズムと流麗なストリングスが入り、ギブソンES335によるカールトンのギターのメロが登場…。いや〜もうたまりません。この「Room335」という曲、実は日本のみのヒット曲なんですね。カールトンは来日時には、この曲は必ずと言っていいほどやりますが(やらないと客が納得しない?)、アメリカを含め日本以外ではあんまりやらないみたいです。このCD、ジャケットに何か書いてあるのが、お分かりでしょう。これ何を隠そうカールトン自身の直筆サインなんです。私のお宝CDのひとつです。これを載せたいために、ピックアップしたとの声もありますが…。(11.8 Update)

Vol.3

 70年代〜80年代にかけてのNYのジャズ/フュージョン・シーンを影から?支えたピアニスト、故ドン・グロルニック。ブレッカー・ブラザースや初期のステップスでの活動がよく知られていますが、晩年はジェームス・テイラーのツアーバンドのミュージカル・ディレクターを務めていました。彼の85年リリースの初リーダー作がこの「ハーツ&ナンバーズ」です。クレジットにもあるように、マイケル・ブレッカーのテナーを全編にフィーチャーしたもので、80年代前半のNYのフュージョン・シーンを凝縮したようなコンテンポラリー作です。ジェフ・ミロノフ、ハイラム・ブロック、ボブ・マン(g)ウィル・リー、マーカス・ミラー、トム・ケネディ(b)ピーター・アースキン、スティーヴ・ジョーダン(ds)クリフ・カーター(synth)ら参加。ステップス・アヘッドがファースト作でとりあげたクールなナンバー「プールス」やマーカス・ミラーのベースが映えるアーバンなフュージョン・ナンバー「ザ・フォー・スリーパーズ」、2ドラムによるウェザー・リポートみたいなナンバー「ヒューマン・バイツ」…も素晴らしいですが、最後にひっそりと収録されているピアノ・ソロによるアルバム・タイトル曲「ハーツ&ナンバーズ」は思わず涙するほどの名曲です。(サックス奏者ブランダン・フィールズもこの曲をカヴァーしてました。)ジャズ・フィールドでのグロルニックの名盤は90年にブルーノートよりリリースした「Weaver Of Dreams」。ブレッーカー兄弟、ボブ・ミンツァー、ディヴ・ホランド、ピーター・アースキンらによるギル・エヴァンスばりのアンサンブルが聴きものの作品です。(11.23 Update)

To be continued

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