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「グルーヴィン」…。
この曲のタイトルを耳にするだけで、何故か心がときめいてうきうきした気分になるのは、Tだけでしょうか?。「グルーヴィン〜日曜の午後…」という歌詞で始まる心地よいメロディーのナンバーを今回は取り上げてみたいと思います
1967年7月19日に発売されたラスカルズの3枚目のアルバムに収録されているタイトル・ナンバーがこの「グルーヴィン」。
ラスカルズは、キーボード&ヴォーカルのフェリックス・キャバリエ、ヴォーカル&パーカッションのエディ・ブリガティー、ギターのジーン・コーニッシュ、ドラムスのディノ・ダネリの4人組みグループとして、1966年、ソウルの伝説的レーベルアトランティックよりアルバム「ヤング・ラスカルズ」としてデビューを果たしました。ロックン・ロールとR&Bをミックスしたブルー・アイド・ソウルの先駆者として知られる彼らがラテンの要素を取り入れた新しいサウンドを作り始めるきっかけとなった曲がこの「グルーヴィン」です。余談ですが、「グルーヴィン」のレコーディングに参加していたベーシストのチャック・レイニーは録音しながら「この曲は大ヒットするに違いない!」と確信したそうです。1967年ポップチャート4位を記録。
それでは、数多く存在するカヴァー・バージョンの中からTが個人的?に好きなバージョンをご紹介してゆきましょう。
1968年(Tの産まれた年!)のラスカルズと同じアトランティックのソウルの女王、アレサ・フランクリンの名盤「レィディ・ソウル」。カーティス・メイフィールドの「ピープル・ゲット・レディ」、キャロル・キングの「ナチュラル・ウーマン」それに「チェイン・オブ・フール」、「エイント・ノー・ウェイ」などなど後に彼女の代表曲となるナンバーが多く含まれた名盤。「グルーヴィン」はやはりオリジナルよりもブルージーになってます。ウィルソン・ピケットなどのR&Bのカヴァーをやっていたラスカルズが逆にソウルの女王にカヴァーされたというのは、さぞ嬉しかったでしょう。
1977年。Tの好きなシンガーソングライター、ケニー・ランキンの名盤「ザ・ケニー・ランキン・アルバム」。このアルバムは全編にやわらかな風のような雰囲気が漂ようもので、フリー・ソウル・フリークにも支持されています。ジャズ・スタンダードからスティーヴン・ビショップの「オン&オン」、ビートルズの「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリ−・ウィープス」など収録のカヴァーアルバム。「グルーヴィン」は、オルガンとニノ・テンポのサックス、そしてケニー・ランキンのささやくようなヴォーカルが心地よいバージョンです。オリジナルの次に好きなバージョン。
オリジナルアルバムを載せられなくてすみません。70年代のモータウン・レーベルといわれたLAを拠点としたソーラー・レコード。ここから、ウィスパーズ、シャラマー、ミッドナイトスター、それに若き日のベイビーフェイス、LAリードことアントニオ・リードを擁したグループ、ディールらがヒット・チャートへと旅だって行きました。そのソーラーに所属していたカレッジというグループも「グルーヴィン」を1981年にレーベルの同僚ウィスパーズのプロデュースでやってます。ミディアム・テンポのAOR調のバージョンです。ちなみにこのジャケットは3枚組みのソーラー・レーベルのコンピCDのVol.2です。
ジャズ/フュージョン・バージョンも多くありますが、今回はこの2作を。まず、現在、難病と戦っているスペシャルEFXのリーダー/パーカッション奏者、ジョージ・ジンダとプロデューサー、ホウイ・モレルが企画したセッショングループ、ミッシング・リンクスのファースト作。そのタイトルも「グルーヴィン」。ベースにヴィクター・ベイリー、ドラムにデニス・チェンバース、オマー・ハキム、サックスにビル・エヴァンス、ナジー、ギターにジョン・スコフィールド、ナイル・ロジャースといったNYのファーストコールが、60年代〜70年代のR&Bの名曲をカヴァーするという企画モノ。洗練されたスムースな「グルーヴィン」です。1988年作。
NYのギタリスト、チャック・ローブと、チック・コリア+ビル・エヴァンス÷2といったスタイルを持つピアニスト、アンディ・ラヴァーンのプロジェクト、マジックフィンガーズのアルバム。1989年作。ウィル・リーのベース、ディヴ・ウェックルのドラムというリズムをバックにもろフュージョンな雰囲気な「グルーヴィン」を聴かせてくれます。以外とTも好きなバージョンです。特にチャック・ローブのギターがよく歌ってます。
最後に
Swingrooveのターゲットとは異なるんですが、Tの好きなJ−POPアーティストのバージョンをレコメンドしておきましょう。昨年ラスカルズBOX〜アトランティック・イヤーズ〜という7枚組みBOXセットの監修もつとめた山下達郎さん。91年のアルバム「アルチザン」のラストに「グルーヴィン」が入ってます。オリジナル・バージョンに敬意をはらうかのように丁寧に作りこまれたバージョンです。達郎さんのラスカルズへの思いが伝わる素敵なカヴァーです。
どのバージョンにも共通するのが、初夏の風のような爽やかさです。是非皆さんもこの気持ち良さをいろいろなバージョンで楽しんで見て下さい。もしこの曲を一度も聴いたことが無いと言う方がいらっしゃれば、まず、ラスカルズを聴いてください。カヴァーはその次です。