らくがき帖〜音楽編


Waters of Eden / Tony Levin

 ’01年4月20日のTony Levin 神戸公演に出かけるにあたり,今回のツアーの中心となるであろう彼のソロ第3(?)弾のレビューを.

 Tony Levin は’80,’90 Crimson の中心メンバーにして抜群の演奏技術をもつbass player ですが,もともとが引く手数多のセッション・ミュージシャンということもあり,日程が合わず2000年の再結成Crimson には不参加でした.当然,昨年(00/10)のCrimson 来日公演には彼の姿がなく,彼のbass が好きなわたしは残念な思いをしました.
 が,今回自身のバンドを率いての来日公演が決定したため,幸い自分の都合もついたので出かけることにしました.恥ずかしながら彼のソロ・ワークに関しては疎いので,このレビューは自身の予習も兼ねています.<申し訳ない

wt_eden.JPG - 8,438Bytes1. FROM HERE TO THE STARS 
2. PILLAR OF FIRE 
3. WATERS OF EDEN 
4. OPAL ROAD 
5. GECKO WALK 
6. UTOPIA 
7. BELLE 
8. ICARUS
9. BONE & FRESH 
10. BOULEVARD OF DREAMS

 わたし個人がイメージするプログレという範疇からはかけ離れた音楽です.Tony 自身は「ワールド・ミュージックとクラシックをルーツにもつアーシーでメロディックなインスト音楽」という表現(ラジオのDJのコメントらしい)が,このアルバムの雰囲気をよく表していてお気に入りだそうな.

 ただワールド・ミュージックというほど民族色は濃くなく,全体的にクラシックをベースに今までTony が係わってきた音楽〜ジャズ,ロック,エスニックなど〜による味付けをほどこしたインスト音楽といえます.

 Tony Levin といえばセッションというイメージが強かったのですが,このアルバムでは全て(Tony 自身が)キチッと作曲し,言葉通りメロディーの美しさが聴き所のひとつになっています.
 クラシック,美しいメロディー,インスト...とくれば,よくありがちなアンビエント・ミュージックを連想しがちですが,Tony Levin の卓越したテクニックが凡庸な作品群とは一線を画しています.テクのある人は得ですね.もちろん楽曲のデキもよく,作曲家としてもなかなかの才能を披露してくれました.
 彼がバンド・リーダーである以上当然ですが,主旋律はほとんど彼の弾くベースやチェロが担当しています.それがこのアルバムの音楽的特徴でもあります.
 クラシカルな美に溢れる曲からフュージョンっぽい心地よさをもつ曲まで飽きの来ない内容.わたしのお気に入りは,「2. PILLAR OF FIRE」,「5. GECKO WALK」,「1O. BOULEVARD OF DREAMS」.

 正直,わたしがこの手の音楽を積極的に探して聴くことは,普段あり得ません.(King Crimson のメンバーとしての)Tony Levin の名前があって初めて出会えた音楽です.この出会いは素直に感謝しましょう.ただ,これと似たような雰囲気を持つアルバムを探すかと言えば...否でしょうね(笑)


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