らくがき帖〜音楽編


7.PFM 東京公演 5月11日 CLUB CITTA

 勢いに任せてついに川崎まで来てしまいました.しかし,大阪でお見かけしたような方をクラブ・チッタでも見たので,遠征組は他にも確実にいるハズです(笑) また,イタリア人にとっては東京と川崎の区別はついていないようで,正式名称も東京公演で統一されているため,以後東京公演と表記します.

 まず,開演に先だってネットで知り合った方々にご挨拶.初対面とは思えないほど楽しくお話させてもらっている間に開演時間となりました.いちおうグッズ売場も覗いてみましたが,CDの種類などは充実していましたがすでに持っているし,パンフレットも入手済みのため今回お買い物はなし.

 続いてセット・リストですが,入り口付近に「今日は2部構成で,途中10分休憩あり」との張り紙があったので,“これは!?”と思っていましたが,予想通り大阪とは変更がありました.

1.ハンスの馬車
2.Liver of life
3.幻の映像
4.ペニンシュラ
5.Out of roundabout
6.La rivoluzione
7.Suonare Suonare
8.プロムナード・ザ・パズル
9.Four holes in the ground

(10min. 休憩)

10.何処で...何時
11.Il banchetto
12.ドルチッシマ・マリア
13.Maestro della voce 
14.Si puo fare
15.Mr.9 till 5
16.Altaloma 5 till 9

e-1.The world became the world (Impressioni di Settembre)
e-2.Celebration

 大阪より5曲追加されていて,大阪でやった曲はすべて東京公演でも演奏されています.しかし,大阪との違いは単に演奏曲数にとどまらず,細かな構成・アレンジも変更をうけていて,全体の印象はかなり違ったものになっていました.
 大阪では1日2ステージという(時間的)制約のため‘80年代以降の曲がすべてオミットされていたので,アレンジ,全体の構成を含め非常に’70年代に近い印象を受けました.それに比べ東京公演は歌モノの比重,ノリ,アレンジ等,‘98年のイタリア国内での公演を収録したライブ盤「www.pfmpfm.it」と非常に似た雰囲気で,これが現在のPFMの姿をいちばん正確に伝えているのでしょう.

 まず,1曲目“ハンスの馬車”は大阪とほとんど同じアレンジ.しかし,器の大きさがぜんぜん違うせいもありクラブ・チッタのほうが音響はだんぜん良く,この東京公演に何よりも期待していた“いい演奏を,いい音で”という願いがかなって大満足.
 2曲目は大阪ではアンコール曲だった“Liver of life”.この曲は大阪と東京でもっとも印象の違った曲で,ホールの響きの良さと相まって曲本来のもつドラマ性・叙情性をたっぷりと堪能することが出来ました.大阪では“Celebration”>拍手の嵐>アンコールと雪崩れ込んだために,想像も出来なかったほど攻撃的な“ど迫力”の“Liver of life”が聴けました.どちらか一方選択するならば東京版のほうが感慨深いでしょうか.ただし,大阪での"Liver of life“は滅多に聴けないヴァージョンでしょう.

 “幻の映像”と“ペニンシュラ”は同じ選曲,配置.ただし,音響の良さはこの2曲でもっとも印象的で,プレモーリ(発音はプレモリーが正解?)のキーボード・プレイはうっとりするほど魅力的.ムッシーダのギターも今日がいちばんの出来でした.

 その後曲順が少し怪しいのですが(演奏順に関しては烏天狗さんから情報いただき,セットリスト訂正しています),大阪では後半に演奏されていた“プロムナード・ザ・パズル”が早々と演奏され,“La rivoluzione”という最新アルバム(「: Serendipity」)からの曲と‘80年代の曲“Suonare Suonare”も演奏されました.
 “La rivoluzione”はパワフルかつヘビーな曲で,“Suonare Suonare”もかなり明るくキャッチーな歌モノのためディ・チョッチョはステージいっぱいに動き回り,とてもプログレ・バンドのコンサートとは思えないほどノリノリ.さらに,“プロムナード・ザ・パズル”でのパントマイムもステージが広い分,かなりオーバーアクション気味でした.

 休憩後の2部でもアルバム「Suonare Suonare」からの曲を2曲演奏した上,“Il banchetto”もフュージョン色の強いアレンジでかなり現代的な音.大阪に比べて歌モノの比重が格段に高いためディ・チョッチョはフロント・マンとして大活躍だった半面,ドラマーとしては大阪での切れっぷりに及ばなかったのが残念.それでも,第1部の休憩時間の段階から「ディ・チョッチョ(のドラム)はすげぇぜ!」と言う声をアチコチで聞いたので,この日も超一流のドラミングを聴かせてくれたのは間違いありません.それだけ大阪で聴いたディ・チョッチョのドラミングが圧倒的だったということです.

 ノリノリの“Si puo fare”でメンバー紹介.このへんも「www.pfmpfm.it」を彷彿とさせます.さらに“Mr. 9 till 5 〜 Altaloma  5 till 9”はこの日がいちばんまとまりがあり聴き応えがありました.ムッシーダのプレイはクラシカルなパートでも,jazzyなパートでも絶品.この日は3日間でも出色の出来でしたが,今日の演奏の中でもいちばんの聴きどころでした.

 そしていよいよアンコール.1曲目は大阪ではやらなかった名曲“The world became the world”.これで「幻想物語」から「甦る世界」までの主要な曲はほぼ網羅したのではないでしょうか.たしかムッシーダのMCでは“The world became the world”と紹介されたはずですが,イタリア語で歌っていたので”Impressioni di Settembre”と表記するのが正しいかもしれません.さらに,わたしにとっては最後の最後になる曲“Celebration”.何回聴いてもその輝きを失わない永遠の名曲.「もう立つしかない!」とスタンディングで手拍子でした.もちろん最後は感無量でしたが,大阪ではメンバーと間近に握手できたのに比べてちょっとモノ足りなかったりして...(<我ながら贅沢^^;)

 ホールの音響はクラブ・チッタのほうが良いし,演奏自体もプレモーリとムッシーダはこの日がBEST.とくにプレモーリの奏でる旋律,響き(とくに高音)は繊細な部分が際立ち,美しく叙情的なスタジオ録音の再現という面でも格別でした.ジヴァスもはっきり断言できるほどではないものの,この日がいちばん楽しそうに演奏していました.しかし,ディ・チョッチョはフロント・マンとしての比重が高く,ドラマーとしては(とくに最後のあたりは)少しバテ気味だったように思います.だって,東京での“Celebration”より大阪での“Liver of life”のドラミングの方がダイナミックなほどでしたから(笑)

 あと,わたしたちの周りの人はかなりテンション高かったのですが,比較的後ろで見ておられた方の話では,もっともっと盛上がって欲しかったという声も聞こえました.個人的には大阪の2日目がもっとも盛上がったように思います.
 大阪と東京はいろいろ違いがあって単純にどちらが上,あるいはどちらがお奨めだったとは言い難いのですが,あえて言うなら5月9日の大阪が(わたしの参加した3公演の)Best Liveでした.

 数年前までは夢想だにできなかったPFMの再来日公演.あまりの興奮のため,はじめて関東の公演まで追っかけるほど色めき立ってしまいましたが,本当に夢のような1週間でした.“往年の大物”の再結成公演はともすれば懐かしさのみが先行し,内容は二の次三の次ということもしばしば.しかし,今回のPFMはそんな不安を一蹴するパフォーマンスを披露してくれました.
 さらに現在のPFMは一時的な再結成でなく,コンスタントにnew album(いわゆるプログレではないが力作,佳作)を作り,イタリア国内のツアーも精力的にこなして,本腰をすえてPFMとしての活動を行っています.その点で“次回”の来日を期待しても罰は当たらないでしょう.
 とりあえず,最終日5月12日の公演は某BS局の録画収録ありとの噂.上手くいけばBSで拝むことが出来そうです.さらにDVDでの発売...と期待は膨らみます.
 何はともあれ,関東方面のPFMファン,プログレ・ファン,洋楽ファンのみなさん,次回PFM東京公演でまたお会いしましょう!


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