らくがき帖〜音楽編


8.IL BALLETTO DI BRONZO 大阪公演 9月15日 PATAPATA DE LA SALSA 

 PFMに続いてイタリア・プログレのライブですが,音楽性は全然違います.案の定(?)聴衆全体の雰囲気はPFMとはだいぶん違いましたが,PFMの大阪公演でお見かけしたような方々をチラホラ見かけた気がします.たぶん自分もそう思われてるかもしれませんが(笑)

 開場から開演まで2時間という長さが気になりましたが(今回の唯一の不満),整理番号順の入場なので開場時間前に会場着.予想通り暇を持て余し気味なので,会場限定,メンバーサイン入り,日本公演特製パッケージ包装の「YS」を”パンフレットの代わりだから”と自分に言い訳しつつ購入.
 座席は正面のテーブルがすでに埋まっていたので,キーボード側でGianniかぶりつきを目指す.いい加減待ちくたびれた頃に照明が落ちてメンバーの入場.

 set listですが,新作のタイトルはMCで聞き取れなかったのでともかく,聞き覚えのない曲,聴き憶えあるけど曲名に自信のない曲などがあり不完全です.「TRYS」(再結成後のライブ盤)の収録曲が大部分だと思いますが,「YS」収録曲以外は好き嫌いの差がけっこうあったので,ほとんど聴いていない曲があるため悪しからず...

1.?
2.脳への侵略 
3.ヒステリーのキーボード 
4.テクノエイジ
5.ヴィットリア夫人 
6.キッチンの情事 
7.新曲(タイトル不詳,製作中のニューアルバムより)
8.Optical Surf Beat 

(20min. 休憩)

9.YS
(1) イントロダクション 
(2) 第1部 
(3) 第2部
(4) 第3部〜 EPILOGO / エピローグ

e-1.キッチンの情事 
e-2.? 

 さて,いよいよ生BRONZOの始動.Opening numberから「TRYS」でもった印象そのままにかなりソリッドで攻撃的.Gianniのキーボードは出だしから”さすが”と感じさせてくれます.ただ,休憩前の演奏はGianniを含めやや押さえ気味.
 MCはもちろんGianniですが,”イタリア語で話したいけど,ここにいる人で分かる人いないだろうから英語で話すよ”みたいなことをしゃべって,以後ほとんど英語でおしゃべり.内容も単なる”ありがとう,来日できてうれしいよ”みたいなものだけでなく,興味深いものも多くけっこう饒舌でした.(来月再来日して日本のミュージシャンたちとコラボレーション・ライブをするという情報,新作はニューアルバムからでこの日本公演ではじめてやる,みたいな話もありました)
 Gianniはステージ・パフォーマンスも派手で,途中客席を回って観客の腕にスタンプを推して回るというイタズラもしていました.そして,前半は”休憩後「YS」をやるよ”というコメントから,ノリのいい「Optical surf beat」で締め.
 さっきも書きましたが,Gianniのキーボードは存在感抜群ながらやや押さえ気味の印象.他のメンバーもあまり強烈な印象は残りませんでした(けっして下手という意味ではない).したがって,休憩時の評価は”保留”.これは連れもまったく同じ感想だったようです.

 やはり「YS(英語のコメントでは「イース」と発音していました)」を聴かなければはじまらないと思いつつ待っていると,照明が落ちるとともに,不気味かつ妖艶な色香を秘めたあの女声コーラスがかかりメンバー再登場.そして待ちに待った「YS」の全曲演奏が幕を開けました.「YS」のジャケット写真などのスライドが映し出されるなか,”あの”名曲が甦ります.
 まず結論...”素晴らしい!!!” 
 「TRYS」で演奏された「YS」も(オリジナルとは若干質の違いはあるものの)魅力的なものでしたが,生で聴いた迫力は別格.もちろん”生”というのが評価の大きな部分を占めると思いますが,演奏内容も当時からずいぶん進化しています.もちろんGianni以外のメンバーは替わっているせいもあるでしょう.が,それと同時にGianniのパフォーマンスもライブ盤で聴く以上に”切れ”や”凄み”を感じさせてくれました.オリジナルよりも遥かに硬質なイメージはそのままに,何ともいえない”凄み”も加わり,3ピース・バンドとは思えない分厚い音.リズム隊も休憩前とは気迫が違います.
 Gianniのキーボードからは洪水のように”音”がほとばしり出るにもかかわらず,素晴らしく鋭利なナイフのように”切れ”を秘めています.”切れる”って表現するとぶつ切りの音のようなイメージを持たれるかもしれませんが,実体は全然別.どんなに音が溢れ出ても,その一つ一つがピシッとした輪郭を持ちけっして冗長にはならないという感じ.ボキャブラリーが貧困で表現に困りますが,文句ナシの迫力があったということだけは断言できます.まさに至福の「YS」全曲演奏でした.

 アンコールは曲に関するエピソードを紹介したのち,再度「キッチンの情事」をGianniひとりで演奏.その後メンバー紹介をして2曲目に突入.途中,リズム隊のソロ・パートになるとGianniがいったん退場.どうするつもりかなと思っていると,トランセクシャルな怪しい仮面と変装で再登場し,ビラを会場内に撒き散らすというパフォーマンスを披露してとうとうお開き.

 「YS」の全曲演奏という夢が実現し,今回のライブは文句ナシの大満足.さらに,演奏内容も申し分ないもので期待以上でした.ただ,もし再来日することがあれば「YS」以外の曲の充実を期待したいですね.このへんはオリジナル時の代表作が「YS」しかないという点で不利な点ですが,なにしろ現在活動中のバンド.これからの進化と再来日公演に期待しています.


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