ライブ・レポート〜翻訳編
PFM live in Milano, Club Alcatraz, November 11,
2002 (<原文へのリンクです)
イタリアのCDショップ,「btf.it」(かなりプログレ系,というかマイナー寄り?)のweb
siteに掲載されている,2002年11月11日ミラノにおけるライブ・レポート(英語)です.烏天狗さんが情報教えてくださいましたが,掲示板に書きこまれた「“誰か”完訳してくれないかな」という甘言にノせられて,いちおう全訳してみました.
かなりエモーショナルな文章だし,毎日英語を駆使しているわけではないので,誤訳やニュアンスのおかしい部分もあるでしょうが,全体の雰囲気は伝わるかと思います.間違い等はお手数ですが,指摘していただければ幸いです.
ちなみに,普段のわたしの文章と区別する為に,一人称は“おれ”にしてみました.どうもショップ店員が書いてるようなので,評論家然とした文体よりも少しくだけた訳にしました.違和感あったらゴメンなさい.
(以下 日本語訳 by
CTL)
PFM live in Milano, Club Alcatraz, November 11, 2002
おれはPFMの“セレブレーション・コンサート”と銘うたれたコンサートを体験してきたので,ちょっと時間もらって,このパワフルなイベントについてみんなと感動を分かち合いたい.
最初に言っておきたいのは,セットリストは“Live
in
Japan”として2枚組みのCDに収められた,この春の東京公演に非常によく似ていたということだ.だからあまり違いのない点については触れないことにする.
コンサート第1部は,Franzから2000人,ひょっとしたら2500人かも,の聴衆にコメントがあったように,"Photos
of ghosts"からの曲が中心だった.
満員ではなかったが,Club
Alcatrazは巨大なディスコ兼ナイトクラブなので,たくさんの客が入ってるのには間違いなかった.
ショーは午後9時過ぎに始まった.最初のハイライトは,FranzがDemetrio
Stratosに捧げた"Maestro della voce"をいい雰囲気で演奏し終えたあとにやってきた.
Peter
Hammillがステージに登場.Franzやバンドの他のメンバーに暖かく迎えられたのだ.
Peterは“Sea of
memory"を歌ったんだが,これは完璧だった.繰り返すけどまさに完璧.この曲はPFMの持ち味にぴったりだし,Peter
Hammillは情熱と力強さを込めて歌い上げるので,すべてが自然にまじりあって最高のデキだった.
その直後,このコンサートの最高の瞬間が訪れた.なんとPeter
Hammillが"Impressioni di
Settembre"をやると宣言したのだ.再び素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられた.バンドのメンバー達は興奮し,観衆は酔いしれた.
PFMといっしょにステージに立ち,この名作をイギリス訛りのイタリア語の歌詞で歌い上げるHammillを見ても,奇妙な感じはまったくしなかった.それどころか,まるで長い年月友情を育んでいたかのような,あるいは酔いしれる観衆たちとこの瞬間を分かち合うことが約束されていたかのような,すばらしい,愛情溢れる瞬間だった.
(PFMが)数曲演奏したあと,Mauro
Paganiの番が回ってきた.最初,彼は陸に上がった魚のようだった.少なくともおれにはそう感じられた.(そう感じたのは)Lucio
Fabbriがコンサート全体を通じてヴァイオリンを演奏し,その出来があまりにも素晴らしかったせいもあるだろう.
Mauroはフルートを奏でながら,ゆっくりとその夜の雰囲気に溶け込んでいった."Dolciccima
Maria"では,彼のファンタスティックなフルートが,この曲に特別な感触を添えてくれた.
この瞬間,“完全無欠の”PFMがステージに並んでいた.左から,Fabbri,
Djivas, Franz, Mauro,
Franco,そしてFlavio.6人はいっしょに演奏するのを,彼ら自身楽しんでいる様子がはっきりとみてとれた.
宝石のように煌く瞬間だった.おれはカメラを持っていなかったけれど,コンサート全体の様子はプロのカメラが3,4台違った角度から撮影していた.だから,そのうちビデオ・リリースされるか,TVでオン・エアーされそうな気がする.
Paganiがその場の雰囲気に溶け込んだころ,Lucio
Fabbriと共にくり広げた"battele of
violins"もマジカルな魅力があった.ソロとデュエットを次々と演奏する二人の顔には,純粋な喜びが浮かんでいた.みんなにも観衆の感極まった様子がはっきりと想像できるだろう.
さらに素晴らしいことに,Cristiano
De Andreが最後のゲストとしてステージに現れた.Franzは彼の父Fabrizio De Andreの歌"Il
pescatore"を,彼らが心から愛し,心の奥深くに根ざした,PFM自身の曲と同じぐらい思い入れのある曲だと紹介した.
ともかく, Fabbri,
De AndreそしてPaganiという3人のヴァイオリンニストが勢ぞろいした.De
Anderが素晴らしい歌を披露し(歌詞がちょっと怪しかったけれど...),Franzがそのあとを引き継いだ.びっくりするほどイカした演奏だった.ここがもうひとつのハイライトと言っていいだろう.
"E'
Festa"はまちがいなくメインのアンコール曲だった.ステージ上の全員が心から楽しんで演奏していた.そしてライトは消えてしまったが,完全に興奮し盛上がってしまった群集は立ち去ろうとしなかった.なので,パーティーにオマケのアンコールが追加された.
PFMはステージに戻ってきて,最後のアンコール曲"Bandiera
bianca"を演奏した.Franzはこの曲について,「Franco
Battiatoが自分たちの曲に新しい息吹を吹きこんだことを知ってしまった以上(Battiatoの最新作"Fleurs
3"に収録されている"Impressioni di
Settembre"をチェックしてほしい),おれたちもBattiatoの曲に取り組まなくっちゃならないんだ」と言っていた.そして彼らはそのBattiatoの名作を,PFM独自のリズムと情熱で,みごとに作り変えてしまった.それはこの素晴らしいショーの幕切れにふさわしいものだった.
Franzは白いスカーフを振り回して,所狭しと飛びまわり,観客は大興奮だった.この光景を見て,もしPFMファンが白い旗やタオルやシャツや,それ以外にもハンカチでも何でも,とにかく白い布切れを持ってきて,いつもコンサートの最後に振り回し始めたら,かなり興奮する幕切れになるんじゃないか?,と考えてしまった.
それはまるで,“あんたらには参ったよ,燃え尽きるほど楽しんだよ!”と言っているかのようだが,同時に30年間バンドが情熱の炎を燃やしつづけたことへの感謝の徴とも言えるかもしれない.TVでスペイン・サッカーを見ていると,観客が気に入らない時にやる"panuelito
blanco"というのがあるが,昨夜はまったく違う意味だった.それは,いつ,いかなる時にも,最高の演奏を続けてきたメンバーたちに対する最大級の感謝だった.
おれたちは皆,歴史的な夜を経験した.PFMは2時間半も演奏し,終わったのは真夜中少し前だった.彼らはみな最高の状態で,目一杯真剣にプレーしていたし,彼ら自身が楽しんでやっていると感じられた.
Djivasはいつものようにガツンっとパワフルな演奏だったし,Franzも野生的な魅力に満ち溢れていたのはいつもと同じだったが,Fabbriの素晴らしい演奏にはまったく驚かされた.(まあ,一番驚いたのはPeter
Hammillがまるで昔からそこにいたような雰囲気で,PFMと並んでたことだけどね.)
来年みんなも,今回の記念すべき日には及ばなかったとしても,PFMの素晴らしいコンサートを体験するかもしれない.PFMファンの同志よ!"Live
in Japan 2002"という2枚組みCDを聴いてみてくれ.君たちもおれと同じ思いを感じてくれるだろう.
おれの知る限りでは,PFMはPeter
Hammillとイギリス,ロンドンのClub
Asoriaとロッターハム(ウェールズ),で再び共演する予定だ.さらにPFMのツアーとしては,メキシコのBajaProgやチリでも2回ショーを行うなどいくつか予定がある.
昨夜の唯一の不満は音質が“(いわゆる)クラブ・レベルの音”だったことだ.はっきり言って,素晴らしい演奏に見合うレベルではなかった.
が,昨夜のことはずっと記憶に残るだろう.ありがとう,PFM!
Marco / BTF
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