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11.AFFINITY

 このグループ及びその唯一のアルバム「AFFINITY」は,内容云々よりジャケット・アート(キーフ作)がらみで語られることがほとんど.たしかに印象的なジャケット・アートですが,そんなことは抜きにしてもブリティッシュ・ジャズ・ロックの名作です.とくにLinda Hoyleの力強いヴォーカルと演奏面のキーとなる迫力満点のハモンド・オルガンは鮮烈な印象を残してくれます.ただ,このジャケットがあったからこそこれだけ有名になったことも事実.この作品に勝るとも劣らないのに知名度の低いアルバム/グループは(ブリティッシュ・ジャズ・ロックに限っても)たくさんありますから.

「AFFINITY」

affinity
1. I AM AND SO YOU ARE
2. NIGHT FLIGHT
3. I WONDER IF I CARE AS MUCH
4. Mr. JOY
5. THREE SISTERS
6. COCOANUT GROVE
7. ALL ALONG THE WATCHTOWER

BONUS TRACKS
8. ELI'S COMING
9. UNITED STATES OF MIND



 一番のお気に入り/お奨めは「2. NIGHT FLIGHT」と「7. ALL ALONG THE WATCHTOWER」でしょうか.「2. NIGHT FLIGHT」はLinda Hoyleの力強く張りのある声とインスト・パートのオルガンが素晴らしく,このグループの持ち味がすべて凝集されたような曲です.1,2曲目の力感溢れる声とは対照的な,美しく澄んだ(でも,けっしてか細くはない!)リンダのヴォーカルが聴ける「3. I WONDER IF I CARE AS MUCH」も小品ながら印象的です.他の曲もそれぞれ魅力的で,ラストを飾るBob Dylanのカバー「7. ALL ALONG THE WATCHTOWER」(これも掛け値なしの熱演)まで力作が並びます.以前再販されていたCDにはボーナス曲が2曲が収録されています.

 確かにジャケット・アートは素晴らしく,非常に印象的です.でも,ここまでジャケットの話題が先行するほど,ジャケット・アートが圧倒的かというとちょっと疑問です.まず内容/音が素晴らしいからこそ,お奨めしたい/残したいアルバムなんですけどね.

 残念ながらAFFINITYはアルバム1枚で解散してしまいます.最近になって発掘音源とか未発表トラック多数入り再発盤とかいろいろ発売され何枚かは買いましたが,特別エポックメーキングなものはないようです.




 その後,Linda Hoyleはソロ・アルバム
「PIECES OF ME」を残しています(わたしが知る範囲ではこれ1枚で引退).Lindaのヴォーカルはあいかわらず情感たっぷり.おまけにバックを固めるのはIan Carr率いるNUCLEUSの面々.知名度は低いでしょうがこちらも名作です.ただし,AFFINITYよりはブルース寄り.







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