STUDIO REHEARSALS 83/**/**・Bearsvill Studio,
NY
![studiorh.JPG](../m_image/studiorh.JPG)
DISC 1
1. UNTITLED TRACKS 2. SLEEPLESS :
instrumental 3. THREE OF A PERFECT PAIR #1
4. THREE OF A
PERFECT PAIR #2 5. MAN WITH AN OPEN HEART #1
6. MAN WITH AN
OPEN HEART #2 7. INDUSTRY 8. NUAGES #1 9. NUAGES
#2
10. MODEL MAN 11. UNTITLED TRACKS 12. UNTITLED GUITAR
TRACKS
DISC 2
1. INDUSTRY 2. DRUM
TRACKS 3. UNTITLED TRACKS 4. SLEEPLESS :
instrumental
5. LARK'S TONGUES IN ASPIC Pt. III 6. MAN WITH
AN OPEN HEART 7. DIG ME
8. THREE OF PERFECT
PAIR 9. MODEL
MAN
音質:B1+
評価:全編に渡りヒスノイズがあります.正直,音質良好とは言えませんが,各人のパフォーマンス自体は明瞭に録音できているので,無音部以外はさほど気になりません.ライブでも正規のスタジオ録音でもないリハーサルという性格上,かなりdullな雰囲気が支配的です.ただ,つまらないかというとそんなことはありません.
このCDを聴いていると多くのファンから’80クリムゾンが敬遠される理由が,音楽性とは違った点で見える気がします.’70も’90もクリムゾンといえば緊張感あふれる演奏がその持ち味で,聴く方も身を乗り出して聴くことが前提になっているように思います.楽曲も演奏もそれだけの真剣さを要求するような鋭さをもっています.それは例えば「ISLAND」のような美しい静かな曲でも,根本にある精神は同じだと思っています.
しかし,’80クリムゾンの音には身を乗り出して聴くことを,ある種拒むような面が感じられます.
オリジナル・アルバムだけを聴いていると,ダンサブルになったり,軽いノリのようなリズム面が強調されてクリムゾン本来が持つ(とファンが偶像視する)緊張感・真剣味が削がれているように感じがちな’80クリムゾン.が,ライブでは想像以上にパワフルかつアグレッシブだったことが再認識され,認識が少し変わるでしょう.
さらに,このリハーサルCDを聴くとまた認識が変わります.つまり,身を乗り出して聴くのではなく,音に包まれ,身を任せて,音そのもの,ひいてはその音楽に浸るような聴き方こそふさわしい,そう感じてくるのです.
オリジナル・アルバムを聴いているだけでは,音に身を任せるという感覚が,軽いノリのダンス・ミュージックと共通しているように感じられ,評価を下げる要因になった気がしてなりません.しかし,このCDから感じられる気だるい雰囲気を伴いながらも,決して世俗に堕したわけでない音楽を聴きながら,フッと連想したのはタンジェリン・ドリームでした.わたしはタンジェリン・ドリームは大して聴いていないので,一面的な感想かもしれませんが,ある種の共通項みたいなものを感じます.
彼らはけっしてお手軽な音楽をやっているわけではないのです.むしろ,安易に過去の遺産にすがっていない分,プログレッシブ&アグレッシブ.
以上のように,わたしにとっては非常に価値のある内容ですが,もちろん誰にでも奨められる物ではありません.コアなクリムゾン・ファンこそダメかもしれません.しかし,この文を読んで,何か感じることがある方は一聴してみてください.
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