かなえたい夢の端で


南アフリカの政権が交代した。
連邦の支配下にあった虚弱な政府が打倒され、これにより、アフリカ共同体と南北統一され、連邦よりでなくかといってプラントよりでもない中立政権を発足させた。
点在していた中立国の中で、最も巨大な国。
「おめでとう、そして皆の尽力に心から、礼を述べたい。」
政府を立ち上げた11人の代表の中心で一人の女性が大統領の手を取り頭を下げている。
代表の何人かには、彼女をよく知るものがいる。その中の一人が泣いている彼女を見て穏やかに笑っている。ずっと彼女の、子供の頃から護衛してきた男だった。

肩ぐらいの髪を後一本きゅっと結んで、礼服を着るとより男性的な凛々しさが際立つ。
金髪の髪だけでも人を振り向かせるほどなのに、高貴な身分を思わせる振る舞いと並みの男子より頼もしい眼差しに女だと解って落ちこんだ令嬢が何人いることか。
でも、その心意気に打たれたら彼女を慕わないものはいない。
「まだまだ、これからですよ。アスハ代表。」
彼女がどれほど、この国の為に動いていたか。
自国に大西洋連邦からの圧力、実際に戦闘まではならなかったが宣戦布告まであった。
その度にシェルターに国民を避難させ、世論の批判を浴びていた。
あくまで国を作るのはおまえらだと小さい彼女に何度言わせたか。もっとどうしたら言いか多角的に考えろと。
ずっと、これが正しいのか自問自答しただろう。
その度に、彼女の周りにいるものが、彼女を助けていた。
「この国の者たちに平穏を与えてやってくれ。」
「解っています。見ていてください。この国の行く末を。」
「大変だったらまた手伝ってやるからな。」
「カガリ様は、いつもそうやって我々を甘やかす。それにそんな引越しの手伝いみたいに簡単に。」
「ああ、そっちの手伝いをしてもいいぞ、今度、子供生まれるんだろう?。」
額を大統領は押さえて笑っている。

こんこんと部屋がノックされた。
大統領がノックに返事をする。

「北アフリカザフト軍駐屯地区の特使の方がお見えです。」
「ああ!通してくれ。」
大統領が、その男を歓迎する。この国には少ない白い肌の男。女のような端正な顔立ちと第一印象と彼の親が彼を冷たい人間だと思わせるが、付き合いだすとどんどん人間味溢れる男で、好感が持てる。
「急にお伺いして申し訳ありません。連邦の撤退のお祝いとこちらの支援の完了の御報告に参りました。」
その彼の持つ、称号や地位、そしてコーディネータである彼は、多分ここにいる誰よりも様々な能力に長けているが、あくまで丁寧な物腰で、代表達に挨拶した。
「ザラ特使、今はそんなに堅くならなくていいんじゃないか?、アークエンジェル時代の仲間もここにいるんだしな。」
バシッと、大統領は、まだ目を真っ赤にしているカガリの背中を叩いて前に押し出す。
痛いぞ・・とカガリが唇を尖らせている。
そんな大統領とのやり取りに口元を緩ませ、そうですね、と肩をすくめた。
優しい穏やかな笑顔。ザラの名をどれだけ枷になっただろうか、本人しか知らないだろう。だけど、少なくともここにいる代表達は、そのザラとは違うと、この控えめな笑顔がそれを信じさせる。
「祭典後、本国から通達があると思いますが、ザフトから貴国の軍に今のザフト駐屯地区を返還することになりました。その引継ぎをキサカ代表と行いたいのと、その段取りをいくつか組んできたので、ご確認ください。」
「ありがとう、君と、キサカに任せていれば、かなり安心しているんだがな。軍の方は。」
とんでもないと、その特使は自重気味に笑う。
いつ、何が戦争の火種になるかわからない。
アフリカの憎しみの連鎖は断ち切った。
だが、どこで、どうやっても繋がってしまうのが、人の欲望。
「ザラ君も、引継ぎが完了すれば、プラントに戻るんだろう?明日の祭典はゆっくり、楽しんでくれ。カガリさんもドレス着るって言ってたしな。」
ぽんと代表の一人がカガリの方を叩く。
「言ってないぞっっ!そんな事!!」
というか、ここ2年ドレスなど着ていない。正装にドレスとか着ると明らかに姫扱いされて鬱陶しいから着なかった。
「いえ、明日は私も、祭典の警護に周ります。テロも考えられますので。」
「じゃあ、なおさら、カガリ様の護衛ね、何があっても彼女だけは守って欲しいから。」
議員の一人、カガリとは気の合う女性だった。
「・・・・・。」
昔を思い出す。そんな風に、そう思って彼女を守っていたことがあった。
「ノエルさん、アスランにそれを言うなよ。普通に困るぞ?こいつは。」
「アラー、つめたーい」
「そうよー、アスラン君の礼装見たい女の子いっぱいいるんだからねー。」
もう一人の女性議員が追い討ちをかける。
何も言ってないのにアスランが非難されている。いや、考え込んで何も言わないから非難されるのだが、アスランがどんどん困っている。
大事なものとしなくてはならないことを計りにかけると途端、動きが鈍るのが彼の欠点だ。ザフト仲間からは鬱陶しがられる性格だが、慣れるとからかいがいのある性格だ。
アスランとカガリの関係を知る由もないのに、ノってくるので、もうこうなったら止まらないのはカガリもアスランもよく知っている。ハイハイと、カガリはアスランの背中を押して、部屋を出た。もちろん出る時は二人とも一礼して。

こんな、楽しいテンションだから、カガリも、アスランも諦めずにお互いオーブの代表として、プラントの融和穏健派の代表として支援してきたのだ。
もちろんぶつかり合うこともあった。お互いに、政治で奇麗事を並べても、世論も財界も利益が無ければ動いてはくれない。どうしてもそういう意見をいわずにいられなかった。だが、聞かないよりも聞いて意見は交わしたほうが言い。方法が浮かぶこともあればいまだ解決されない問題もあるが。
「あ・・と、明日本当にドレス着るのか?」
廊下を歩いていて、アスランがいきなりもう終わったと思った話題に触れてきた。
「着ない。」
ていうか、作ってもいないよ最近は、と付け足した。
「・・・でも、余計なお世話でなかったら、明日の祭典出来れば参加して欲しい。大西洋連邦のデイヴィット氏が来ることになっている。次、おまえが行くのアメリカ大陸だろ?」
大西洋連邦の本拠地。いくらか、緩和されているとは言え、コーディネータが安易に闊歩できる国ではない。
「出来れば、おまえに会わせたいと思っていた。」
何かあったら彼を頼れということだ。
最近モルゲンレーテと親密にしている車メーカーの社長だ。
斬新なデザインとモルゲンレーテの技術が結びついて人気のスポーツカーを生み出した。
「運転する話なら構わないんだが、何回会っても私は理解できない難しい車の中身の話なんか気が合うんじゃないか?」
気を使わせないよう、軽く言う。
出来ることはしてあげたい。カガリは他の人よりも強い人と会える身分がある。それを大事な人に使う姿勢は変わらない。
アスランは考える姿勢をとった。割とすぐ結論が出る。
「・・・・すまない、お言葉に甘えて挨拶だけはさせてもらうよ。」
彼にも協力してくれる仲間がいて、彼らを出来るだけ危険にさらすわけにはいかない。
「そうか」
カガリも嬉しそうに笑う。
出来ることがあるというのは嬉しいことだった。
「じゃ、明日な」
議事堂のエントランスでカガリはアスランと分かれようとした。大統領の屋敷に泊まる予定になっている。アスランはこのまま駐屯地へ戻ると思っていた。

「カガリ」

久し振りに名前を呼ばれた。
コトンと、カガリの気持ちがはねる。
それはアスランも同じで、久し振りに名前を呼んで、心拍数が上がっているように思えた。
「今日、一緒に食事でもどうかな。」
アスランがそんなことを聞いてくる。
カガリにこの後の予定は無い。この国の政権の成立が嬉しくて色々切り上げてきたら早く着すぎた。確かに観光でもしようかと思っていたのだ。
もしくは島国ではありえない広大な台地をバギーかなんかではしりたいなとか。
でも彼と食事に行くのは正直嬉しい。彼とはずっと政治的なやり取りの話をすることばかりだった。たまには人間の会話がしたい、そう笑いあったこともあった。
「一緒に行く彼女がいないなら、いいぞ。」
「いないよ、そんなの。」
慕うものはたくさんいるのだろうが、彼にそんな余裕は無い。そもそもモテるなんて思ってないかもしれない。
「そっか、じゃ、行こうかな。」
「じゃあ、1時間後、迎えに行くよ。」
「よろしく。」
お互い手を振ってカガリとアスランは別れた。







その辺で服を買ったのか、軍服から復刻版のジーンズに風とおしのよさそうな白いシャツを着ていた。

アスランはバイクを止めて大統領の屋敷の門の前でカガリを待つ。
少しの時間もずれずにカガリがやってきた。
流行の丈のパンツスタイルでこちらもラフにローズピンクと黒のキャミソールを重ねて着こなしている。前髪はピンで留めていて、軽く上げていた。
これにスニーカーを合わせていたら、昔のまんまなのだが、淡いピンク色のミュールをはいている。
「お待たせ。行こうか。」
そしてアスランのヘルメットを取る。
「それは、変わんないんだな。」
アスランが穏やかに笑い返す。
行きはカガリが運転する。初めはカガリのストレス解消なのだが。なんだか決まり事になってしまった。
カガリも、アスランと一緒なら大丈夫だろうって思っていたから安心して運転していた。
カガリが前に乗ると続いて後部座席アスランが座る。
ぐぅうんと、エンジンをかけた。



カガリが楽しそうバイクを走らせたので、食事はザフト軍基地と首都との間の都市になった。昔ながらのレストランやバーが多いが、海沿いなので、オーブに似た食事が出来る。結構歴史のある都市なので趣があった。

女の子の固まりが、沸き立つ。
ザフトの軍人だった。もうすぐ任期も終わりなので観光しているのだろう。
アスランがラクスとは違う女の人といて、しかも軍にいるときには見たこともない、とても楽しそうにな顔で食事をしている。
その中の一人が強気にも声を掛けに行った。
コーディネーターの女がナチュラルの女に負けるわけにはいかないからだ。
女は自分が一番だという発想を誰もが持っているが、特にコーディネーターはそれがナチュラルに対して顕著にでる。
アスランは露骨に嫌な顔して、だけど、口では柔らかに返すから、女の子は下がらなかった。
そのうちカガリが面倒くさそうにじゃあ、後はおまえらで好きにしろと、立ち上がった。
正直こんなオープンテラスのレストランで揉め事起こして、カガリ・ユラ・アスハがこんなとこにいるというのがばれたくは無かった。
3分の2はアスランのためにした薄い化粧だが、3分の1は変装のためだ。

女の子達も、はっきりと声をカガリが発するまで気づかなかった。
流石にあたふたしている。
アスランも出来ればこの場でカガリの名を言いたくは無かった。
「・・・っ、少しは察しろ、・・・すまないが、これを支払っておいてくれ。」
食事代の現金を女の子に押し付ける。
「は・・はい、すみませんっ」
謝るのを最後まで聞かないままアスランはカガリを追いかけた。
カガリは並みの男になら負けないが流石にテロリスト相手じゃ歯が立たない。
一人にすることは当然出来ない。

くっとアスランはくっと唇をかみ締めた。
「(久し振りに話せたのに・・・。)」
そう思わずに入られなかった。





カガリを追いかけてバイクを置いてあった駐車場に向かう。
バイクの鍵はカガリが持ったままだった。
「え・・?」
そこにバイクは無くて、変わりに、駐車場の壁に行き先が書いてある。
アスランがため息をついた。
「(何、気を使わせてんだよ、俺)」
しかもこの伝言はカガリがつけていた口紅だろうか。
なんにしても一本ダメにさせてしまっている。
行き先は海岸線にあるソルジェンテというホテルだ。
まだそんなに夜は遅くないから店も閉まっていない。途中で、代わりを見つけて渡せるだろうか。
ルージュの伝言はそのままに、アスランは駆け出す。

少しでも、カガリといたいから。


カガリに似合いそうな口紅を持ってホテルのフロントに声をかける。
多分偽名を使ってるだろうと、「ヒカリ・ヤマト」で聞いてみると、当たりだった。
ボーイに連れられて、最上階に向かう。
部屋の前でチップを渡して、下がってもらった。
ノックするとこのホテルで購入したのだろうか、薄い青のリゾートワンピースを着ているカガリが姿を現す。
シャワーを浴びたのだろう、バイクで走り回って砂っぽいのも、留めていたピンも化粧も落とされていた。こっちの方が自分の知っているカガリだった。でもTPOも含め、そして、国の王として彼女が変わっていくのは仕方が無かった。
自分が好きなまっすぐなところは昔のままだからいい。
「鍵、返しにのこのこ戻るのもかっこ悪くてな。」
そう笑って、中に入れてくれると小さいバックからバイクのかぎを取り出して投げてくる。
「いや、俺の方こそごめん。嫌な思いさせて。」
「仕方が無いよ。べつにいいさ。それよりおまえどうする?。もう戻るか?それとも、もう少し話せるか?」
出来れば私はもう少し話がしたいんだが、と言ってくれる。
ホテルを取ったのも結局落ち着いてしゃべるには個室に入るしかないのだ。
お互い要人ではあるのだから。
そもそもある程度予想はしていて、オープンテラスで食べてたのもまあ服装も服装なので堅いところにも行けず試しにそうしてみようかってことになったのだ。
「話したいよ、俺は。」
「そっか」
嬉しそうに笑ってくれる。
「シャワーでも浴びてこいよ、こんな暑い国なのに走ったのか?」
「ああ・・・、・・あ、そうだ。」
ポケットから口紅を取り出す。ぽんとカガリに手渡した。
「全く同じものは無理だけど、多分色は・・近いと思う。」
「おまえ、買ってきたのかよ。」
カガリはおっきな目を見開く。大抵メイクさんが用意するのだが、ラクスと一緒に買い物する時など自分でも今だに化粧品売り場に行くのはてれるのだ。どんな顔して買ったんだか。
「いや、壁に書いたら、使えないかなとか・・・・・。・・。」
どれと同じなのか、一生懸命考えた為、あんまりその場では照れるとか無かったんだが、だんだん思い起こしてみるとかなり恥ずかしくて、アスランは、回れ右をしてシャワールームに向かってしまう。
そんなアスランもアスランだが、カガリもその照れが移ってそのまま見送ってしまう。

カガリはシャワールームの外からアスランに話し掛けた。
「・・・え・・、とアスラン、聞こえるか?」
少しして、ああ、とくぐもった声がする。
「これ・・、ありがとう。」
すごく、嬉しくて、でも照れてしまっていつも御礼を言うのが遅くなる。何か一言いってしまう。ほんと素直じゃないなあと思ってしまうところ。
「明日の式典につかわさせてもらうよ。」
冷やしたワイン用意して待ってるな、と付け足してカガリは部屋の方に戻った。





上弦の半月が海に落ちていくのがホテルから見えた。話し始めてから3時間半ぐらい経っている。
だけど話したい内容は山ほどあった。こんなにちゃんと喋れるのも実は1年ぶりだった。
カガリは昔に比べて話し方の勉強もしているのか、キラたちのこととか面白おかしく教えてくれた。
アスランがお腹をおさえてものすごく苦しそうに笑っている。
政治家として、話が面白くなければならないが、もともとまっすぐなカガリには苦手な項目だ。でも頑張っている。正直自分の方がもっと学ばねばとアスランは思っていた。
「あー、最近プラントで美味いワインがあるって聞いてるんだけど。」
「新種のシャルドネのワインの事だろ?」
まだ本数が限定されてて、地球に降りてこない。
アスランは薦められて飲んだことがあるがとても美味しかった。
母のことを覚えている人が一つその農場を持っていて現物を葡萄を見たこともある。。
結構興味のある人多いんだよ、とカガリぼやく。
カガリが言うと、ただ飲みたいと思っている人じゃなくて、それを使って産業を起こしたいって言う人たちなので、安易に返事は出来ないが。
「せめてオーブとプラント間だけでも、一般人対象の定期便を早く導入したいよなあ。」
オーブにはカグヤがあるので、やろうと思えば出来る。ただ、一箇所航路を射程距離内とする連合の軍事基地があって、どうしても、現実化しない。
空洞化している連合の撤退を打診し、協議しているところだった。
「まさかそのワインがのみたいから導入したいとか演説するのか?。」
「む?する予定。」
やめとけよ、と笑いながら言われた。
ワインを飲み終えてしまったので、もう一本開けるか?とカガリがカウンターの冷蔵庫をあさっている。
それは断って、ミネラルウォーターをお願いした。
カガリはカガリで、やはりアルコールではなくて、スポーツドリンクを持ってくる。
余計回らないか?と言ってみたが、そんな事無いらしい。
まあ、もともとカガリはお酒に強いから。
「(・・・ダメだな、今日は・・。)」
酔いのせいじゃない。自分もお酒はそんなに弱くは無い。
いつも少ししかあえないから、話をすることを重視していて、情報交換もあるし、本当にただ話がしたかったのもある。
任務への緊張と焦燥で冷たくなった身体を、暖かい気持ちを分け与える様に抱き合うことはあった。
だけども、身体を無理に重ねることは二人とも望まなかった。
辛い時、寂しい時、それは切なさだけが残って、立場を放棄したくなるからだ。
そんな時は抱きしめてくれるだけで充分だった。



アスランはカガリの頬に手を当てて引き寄せる。


カガリは小さいテーブルにドリンクを置いて、また話し始めようとしたとき口付けられた。
少し放してカガリの表情を伺う。
うつむき加減で顔を真っ赤にして困っている。
顔の輪郭は大人びてきているのに、こういうところは変わらないなと思う。
こんなに綺麗な金髪と印象的な瞳とスタイルと地位と、多分人が欲しい望みを持っているのに、高慢なところはいつだってない。
オーブを守れてるかどうかが、この人の自分の魅力の基準なのだ。
それを変わっていると言うなら自分も人のことはいえない
プラントを守りたいから。
守れなければ、自分の価値など無い。


彼女を抱え上げると、相変わらず軽い。
あんまり成長して無いから期待するなとか、笑うなよとか暴れているが、いつものことなので、聞いてはやらない。
ベッドに降ろしてカガリに唇を押し付ける。
口内に舌を入れ、何度も何度も強く唇を食んでいると、押さえられていた感情が津波のように押し寄せてくる。
息が自分のものではないみたいに速く、荒くなって。
「・・・愛している」
溢れてくる想いを耐え切れず耳元でささやいた。


誰よりも、
何にも、
国にも、神にも奪われたくない。

彼女を愛していた。



めくれた裾からのびる細くて長い足を左手で内側を辿る。
首もとのワンピースの紐を噛んで引いた。
紐が解かれると、もともとゆったりとしたリゾートワンピースなので簡単に細身の彼女の肢体が顕になる。
まだ、数えられるぐらいしか、彼女と夜を共にしていないがその度に魅力を増していると思う。
彼女にキスを与えながら、自分も服を脱いで身体を重ねると、その熱に意識が飛ぶ。
それはカガリも同じだった。シーツを掴んでいた手がゆっくりと自分の背中に回される。
深いキスを繰り返すとカガリが甘いため息が合わなくなった呼吸の狭間から漏れた。
「んっ・・・。」
彼女の豊な胸に触れるとカガリが違う声を上げる。
ふわふわしてさわり心地がいい。彼女をベッドに横向きにして自分は彼女の背中に回る。
背面からそれに触れて、カガリの脚を自分の脚を絡めた。
白い背中からうなじまで舌を這わせると彼女が逃げるように身体をそらすが、それを自分の身体で押さえつけた。
初めは柔らかかった胸の中心が触れていくうちにぷっくり尖ってくる。
それを攻め立てると、自分が期待した甘い、いい声で鳴いてくれる。
自分に身体を寄せるようによじって、柔らかい肌が触れてくるのがたまらない。
「・・・・・ここも、早く欲しいか?」
「あっ・・」
下着の上からの中心を左手でなぞった。
既に愛液が漏れていて、布を濡らしている。
指を押し付けなぞるとさらに溢れてくる。
カガリは応えられずにいて、与えられる刺激に声を殺して耐えている。
身体をむきなおさせて、キスして唇を濡らした。
「アスラっ・・・」
彼女の胸の実を含む。くちゅくちゅと厭らしい音が彼女の羞恥心を煽っていて、興奮する。
「あっ・・・あ・・・アスラン、ま・・」
カガリが静止をしようとした。もう耐えられなくなってきている。
舌で胸の中心を舐め上げられ逃れようと動くと、左手で触れられている秘部にカガリ自身で刺激を与えてしまっていた。
ショーツを少し捲って直に触れながらアスランが呟く。
「もう、イキそう?」
「お前っ・・・っ」
そういうこというなよっとキッとにらんだ。そんな風に言うのが普段のアスランと違う。そしてそんな彼に惹かれている自分がある。
でも目を合わせていると、この次に彼が何をするか知っているから・・・すぐ逸らした。
くすっとアスランは笑って、カガリに優しく口づける。
指をショーツの下にくぐらせ、脚から抜く。
自分は膝を折らされて、彼は屈んで、あの綺麗な顔が自分の秘所を埋めて舐めはじめた。
何度されても慣れなかった。
「あ・・・ん・・・。」
指で金色の茂みをかき分けて、丹念に舌で舐めれる度に声が止まらない。
身体を押さえ込まれて逃げられず、震えるように反抗してしまうと余計力が入って、更に強い快感が襲う。
「あっ・・・だめ・・、あぁ・・・っ・・」
アスランが強めに食むのを繰り返す。舌が生き物のように感じて自分を弄っていた。
熱に自分の秘所が反応するのがわかる。
くちゅっと唾液と愛液が混ざる生々しい音が耳にはいってきた。
こんなこと許せるのは彼だけだと、こんな風になってしまうのも、彼のせいだと。
彼が違う女にしていたらと思うと、泣きたくなってくる。
彼を自分に繋ぎとめる方法があるなら探したい。
だけど、いつだって探しに行けない。それだけは、諦めていた。
こんなにも自分は好きなのだ。だから誰が彼を思っていてもおかしくはないのに。
だから彼に深く受け入れるのは怖くて、だけど心も身体も彼を拒絶できない。
「・・・アスラ・・ン、・・ま・・って・・、おねが・・、・・・・・・・」
彼の舌が感じる処を攻めたててくる。たまらなくて、だけどもっと欲しくて身体が動いてしまう。
そんな自分に彼が笑っているように思えた。
翻弄されて自制がきかない。
意識が白濁する。
「アスラっ・・・っ・・・・あ、・・アっああああぁっ・・ぁ・・・・-------------っっ」
カガリの身体が伸びきって、愛嬌が部屋の闇に響く。

口をぬぐいながらゆっくり身体をアスランは起こした。
イカされて、だけど泣いているカガリが目に入る。
正直焦った。
彼女が感じている場所がわかってきているので、・・・・でも調子に乗りすぎただろうか。
「ごめ・・ん、大丈夫か?」
うん・・と小さく荒い息の中応えてくれる。
優しく頬にキスして、涙のあとをぬぐうとカガリがくすぐったそうに笑ってくれる。
それだけで、自分の中に広がる甘い感情はとても優しくて、戦いに明け暮れている自分を癒してくれる。
「カガリ凄く、可愛い。」
そんなことを言ったので、カガリが一気に赤面する。
だから、可愛いんだ。


ん・・と甘い、鼻から抜けるカガリの声。
またキスを繰り返して、身体を重ねる。
彼女の秘所に再び手を伸ばして、軽く撫ぜる。
指を入れて慣らしていく。
普通の恋人なら、多分そこまでやらないのかもしれないが、間隔がかなり空く分彼女が痛がるからだ。
「っ・・・」
指を3本挿れようとした時、カガリが痛そうにした。
「あ、・・と・・・ごめん。」
カガリが首を振った。
「私の方こそ・・ごめん、・・その、時間かかって。」
「平気だよ。」
それは他の誰ともしてないと言うことだ。カガリが自分でするわけがないし、身体を重ねるたびに安心する。
そんな風に思う自分は汚い男だと思う。彼女の傍にいて守ってやらないどころか、時には敵対することだってあったのに。
彼女の心がいつ変わってもおかしくは無かった。
でも、もう結婚はごめんだといつも笑って、たくさんあるの結婚の話を断っている。
そして俺は、プライベートに戻るといつもと変わらない君が迎えてくれる。


キスして、挿れることを伝える。
仰向けになって、膝を折らされている彼女は酷く淫らだった。それは自分にしか見せない姿。
腰を抱えて、雄を押し付ける。
ずぷっと彼女の膣内に自分の雄が入っていく。まだ狭くて、顔をゆがめた。
カガリも痛そうにしているから、途中で何度か止めながら、ゆっくりと奥に近づく。
ふと、アスラン・・と名前を呼ばれてカガリに顔を近づけた。痛いから待って欲しいかなと思った。
でも、違っていた。
「・・・大丈・・夫だから・・、」
もっと奥まで入れていいよと耳元で囁かれた。
カガリなりに、待たせているの気を使ってくれているのだと思うのだが・・、今のは・・。
「・・・・カガリ、今のは・・凄く・・・」
腰にきた。
「・・え?」
カガリが不思議そうに声を上げる。ちょっと意味が分からない。
でもアスランがキスをくれるので思考が止めさせられた。
深めのキスを放すとカガリが大きく息を吐く。その瞬間、アスランは一気に奥まで挿入した。
カガリが、悲鳴を上げる。

痛みの声とは違う、切ない甘い声。


意識が飛ぶように、理性がかき消えるように。
腰を抱え上げて、つながりを何度もカガリに押し付ける。
止まらなかった。いつも、カガリが気持ちよくなるよう考えているのに。
自分が気持ちいいように、カガリを抱く。
脚の角度を高く上げて突くと、彼女がいっそう高い声を上げて喘ぐ。
其処を追うように攻めて、何度も貫いた。
「ココがイイのか?」
そう呟いて、彼女の羞恥を煽った。彼女は返事も出来ずに快感に耐えている。
一回引き抜いて体勢を変えようとする。繋がりを解いたときカガリが酷く淫らな声を上げた。
彼女の足を折って、自分の前でうつ伏せにさせた。
「えっ・・ちょ・・・アスランっっ。・・・・・あっ。」
雄を掴んでカガリの秘所に再度挿入した。
何度も突かれたあとなので、ゆっくり入れる必要はなくて。
「ああぁっ・・・ん・・・。」
一気に挿れられてカガリが自分の雄をきつく締め付けてくる。
その膣内の快感に酔う。
「・・・・カガリの中、凄く・・気持ちイイ。」
カガリは自分が取らされている体位に困っていて、それに追い討ちをかける。
ヌプッとゆっくり引き抜いてもう一度つくと、身体をよじって逃れようとする。
「・・逃がさないから。」
腰をしっかり掴んで何度もゆっくり抜き差した。
彼女膣内が震え、たまらない快感が登ってくる。
「あ・・、アスラ・・ン・・。」
甘いため息の中で彼女が自分の名前を呼ぶ。
ゆっくりされて、最奥が焦れているのか、甘い声は与えられる断続的な刺激にもう一度イキたがっていた。
「たりないか?」
「あっ・・・っっ。」
激しく突くのに切り替える。
奥まで濡れた彼女の中はどこまでも自分の快感を呼び起こした。
繰り返し繰り返し、攻め立ててみると、高い声で鳴く。
思考が、お互いの事しかなかった。
気持ちの中でも身体も互いを呼んでいる。
アスランはまたカガリの身体を仰向けにした。繋がったまま廻されたので、その刺激がカガリにたまらない声をださせる。
脚を高く抱え上げ、激しく最奥を突く。
カガリもアスランに合わせるように腰を動かした。
「アス・・ランッ・・」
「カガリ、っ」
意識が登っていく。お互いを求めて思考がぐちゃぐちゃにになっている。
ただ純粋に相手を求めていた。
この人がいい、この人でなければ嫌だと、
いつも世間にも自分自身にも隠している気持ちをぶつけるように。
今ならそれを受け入れてくれる、受け入れられる。
あまりにカガリの強い締めつけにアスランの雄は膨張して限界に達する。
カガリも、何度も貫かれていつ達してもおかしくなかった。。
「・・オレ・・もう・・っ」
アスランの雄が痙攣した。カガリがそれに合わせるように締め付けてアスランを追う。
「あぁああああっ・・・----------っっ」
膣内に熱が放たれるのが解った。
熱くて、溶かされていく。
このまま、消えてもいいと思うほど。








カガリの髪をまどろみの中梳いていた。
腕の中で、彼女が彼に気づかれないよう指を折って何か数えている。
「カガリ・・その・・大丈夫か?。」
大丈夫といわれて大丈夫としか言わないのが自分達なのだが、それでも聞く。
「あ・・うん、大丈夫だ。」
屋敷にいたときは必ずつけていた。
そういうことは真面目なので、理解していたし、流石に避妊具がなんであるか知らないなんてそこまで初心でもなかったがその前にその行為自体初心者でどっちにしてももそれを気にしてはいなかった。
第2次大戦後、会って身体まで重ねる余裕のあるとき、彼はつけなくなった。
彼の場合、持ってないとかそういうわけじゃないだろう。

数えてみて、ちょっとやばいかな、
と思う。
ただ、長い大戦の中、ナチュラルとコーディネーターの間に子供が出来る例は少なくて、上手く受精するかどうかもわからない。
「(子供できたら、喜ぶかなあ。)」
素直に喜びそうで、カガリは笑う。
アスランが不思議そうにカガリを覗き込んだ。
「・・・愛している。」
仰のいて、キスした。
アスランは目を見開いて驚いている。
魂を、くれるかのような甘いキスだった。
唇を放して、カガリが自分に腕を回してくれる。
「すごく、嬉しい。アスランが、ここにいてくれて、・・・一緒にいられて嬉しい。」
その言葉は、他の誰でもなく、彼女にこそ言われて一番嬉しい言葉。
世界の為にある彼女がやすらぎを望むのは自分だと。
「俺も、とても嬉しいよ。」
カガリを抱きしめた。
彼女が回してくれる腕はいつだってあったかい。
朝起きたら、一緒にいられることを。幸せに感じて。



唇を重ねる。
ふたりを阻む世界はここに無くて。
相変わらず、認められない恋だから、夢の端でしか会えないけれど。
それを諦める二人ではないから。




かなえたい夢の端で

かなえたい夢の橋で














きっと将来はこんな感じな二人。ってイメージでかりかり。
っても2年後程度だけど。
というかこういうアスランが好きだーと思って書いてる。

ちょっとテレビのアスランとは違うかもです。
だからそれはごめんなさいです。
なんか私はどうしてもアスランに理想を押し付けてる。だってカガリが好きだから、ちゃんとした男であって欲しいもん。
アニメージュ6月号表紙みたいなアスラン、大好きなんだよー。


なんかデスティニーはアスランが失敗ばかりしていて、ちょっと物足りなかった。
議長に君の望みをかなえるための力だと渡されたセイバーと地位。全く活用していなかった。
男子3日会ってなければ克目して見よって言葉あるだろう。・・ぜ・・ぜんぜんそれじゃない。
失敗もあたりまえだけど、もっと頑張って欲しいよ。ルナじゃないけどさ。
まあ、あと2話アスカガがなかったら、私はアスランを見限る。見限ってもしょうがない脚本だ。
ただ最低だと思う。


あとはちまきさんの漫画かサイドストーリーに神頼み。
それでもでないならアスランを見限る。
最後まであきらめないけどさ。。