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飲み会
せっかくの伊角さん家での研究会なのに、体調が思わしくないのが一匹。
和谷がのろのろと体を起こした。
「わりい、伊角さんせーろ丸ある?・・・。」
「あるけど・・・?。」
二人は立ち上がって、部屋を出た。和谷を廊下に待たせて、居間に備えてある常備薬箱から伊角は正露丸を持ってくる。
いよいよ顔色が悪いため、心配げに覗き込む。
「おいー、大丈夫か?和谷。」
「うー・・、くそ忌々しい・・・・、屋敷のやろう・・・・。」
薬を手渡し洗面所に案内して、トイレも借りるというので伊角は部屋に戻った。
「どうしたんだ?。あれ。」
あた
「あ、なんかな。バレンタインの、人の残りを食ったら、中ったらしいよー。」
けらけらと小宮が笑う。
「なんだよ、それ。しょうもないなぁ。」
苦笑しながら伊角は盤の前に戻った。
「なんかサッカー部の超モテる奴が学校の友達にいて、食い切れないもの配ってたらしいから。」
「配る方も配る方だけどもらう和谷も和谷だなあ・・・。」
甘い物好きみたいだけど。
「伊角さんも結構もらってたよねー。」
とフク。
「毎年のことだよな。10個は超えてるだろ?食べてるの?」
本田が付け加えて尋ねる。
「食べてるよ。」
「お返しもしてるよな伊角は。」
「だって、もらってるんだから返さないと悪いだろ。」
「律儀だなあ。俺、義理なんかぜってえ返さないよ。」
「でも和谷もそうだよな。」
「そうそう、あいつも結構モテてんのに一個も貰わないよな。」
本田と小宮が話している。
「・・・・そうなのか?。」
「割と面倒見いいじゃんか。顔もそれなりだし。それで結構モテるんだよ、あいつ。しかも本命。院生でも学校でも。でもお返しで金かかるから貰わねーらしいぜ。あいつ親の反対ぎりぎりで囲碁やってるし。そんなことに使えねえからって。」
「案外屋敷って奴もそれわかってて、頼まれてやってるかもな。」
「それで腹壊してたら世話ねーなー。」
ヒカルが面白そうにけらけらと笑った。
そんなふうに話してる中、和谷が戻ってきた。
「よーし復活・・。伊角さん薬ありがとう。」
顔色が戻ってるので、本田がぼやいた。
「何だよもう治ったのか?。はえーなあ。」
「うるせえって。薬、どこに戻しておけばいい?。」
「あ、戻してくるよ、ついでに、冷やしたアルコールの残りも持ってこようと思うし。」
「ああ、なら手伝うよ。」
部屋を出る伊角に和谷がついてくる。
「あのなあ、おまえは、飲むなよ。」
「もー、だいじょーぶだって、せーろ丸飲めば。」
堅いこと言わないでくれっ、て頼む。
そんなに簡単に治るものなのか、と鼻白んだ。
「原因がチョコレートだって?」
「まあ・・・、ちょっと食いすぎたな。」
「和谷の本命が混じってるんじゃないの?」
「まさか。」
「けっこうモテるって今みんなと話していたんだよ。」
「伊角さんほどじゃねーよ。」
「俺、学校は皆無だよ。」
「たいしたことねーって。」
「ふーん。」
でもさ、と。
「俺じゃなくってちゃんと女の子好きになったほうがいいんじゃないか」
「・・・・・。」
伊角の横で和谷の顔が一瞬強張った。
何でそんなことを言われないといけないんだろう、と。
「(何度も・・・。)」
何度も好きだって言ってるのに。
目を伏せた。
「・・・さあ、どうかなー。」
曖昧に返事した。
どう言い訳しようが、そんなことを言われてしまうくらい自分に興味がないなら、意味が無い。
無理して笑顔を作る。
「・・・・・。」
でも、これも伊角さんが悪いんじゃない。
そう言われるのも仕方がないんだ。
けどやっぱり、泣きたくなった。
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