FIFTH AGE BOXED SET レヴュー

それからのドラゴンランス

(まず、伝説以後のストーリーから)

カオスウォー

戦記(竜槍戦争)/伝説(ブルーレディー戦争)から30年近く経ち、またしても、世界は善悪の天秤が揺らぎはじめる

トルバルディンは門を閉ざし、エルフがElvish Civil War にうつつを抜かしている間にアンサロンに新たな騎士団が誕生した

アリアカスと海神ゼボイムの子、アリアカンは新たな騎士団を設立した。暗黒の女王タキシスに仕える、タキシス騎士団である

タニスとキャラモンの警告にもかかわらず、ソラムニア騎士団は取り合わなかった。悪は自ら滅びる、そう信じきっていたのだ

タキシス騎士団に住処を発見されたイローダ族はグレイジェムを使って、住処を守ろうとするが、その前に、レイストリンの娘と目される、ウーシャをダラマールのもとへ送り出す

タキシス騎士団の進撃が始まる、カラマンはあっけなく降伏し、大司教の塔での戦いでは、ソラムニア騎士たちの奮戦も空しく敗北する。パランサスは降伏するしかなかった

一月後、アンサロンの大部分が、タキシス騎士団の手中に落ちた

一方、イローダ族は魔法の島を封鎖するためにグレイ・ジェムを破壊した

しかし、グレイジェムには、何故か神々の父、カオス神が閉じ込められていたのだった

封印を解かれたカオス神は、クリンの破壊を始める。海に亀裂が走り、干上がり、異形のものたちが、大司教の塔を本拠地に据えるタキシス騎士団に襲い掛かる

詳細はつまびやかには出来ないが、この戦いの最終段階で、カオス神は撤退する

だが、それは、父神の子供である、諸神の退場をも意味するものだった


かくして、第4の時代「絶望の時代」は終わり、新たに第5の時代、フィフス・エイジ/The age of the Mortalsが開幕した


夏の炎の末期に、ケレンドロス(スカイア)は愛するキティアラの魂を求めて、アビスへ赴いたが、神々の撤退ゆえか、すぐにキティアラの魂は消失する。再びアビスへ赴こうと、パランサスの上位魔法の塔へ向かうが、パリンの予知夢を信じた暗黒の魔術師は、塔を破壊して、いずことのなく去ってしまう(以後の所在は不明)

カオス神の置き土産であろうか、世界に数匹のビッグドラゴンが誕生した

赤のマライストリクスをはじめとする巨大なドラゴンは、ドラゴン・オーバーロードと呼ばれる

これに、ケレンドロスが加わり、ドラゴン・オーバーロードたちによるのクリン制圧が始まった


30年間の素描

1、3つの騎士団

スティール・ブライトブレードの育ての親、サラ・ダンスタンは、スティールの遺業を受け継ぐための新たな騎士団を創設した。レガシー・オブ・スティール、<中立>の騎士団である。アンサロン大陸には、3つの騎士団が存在する事になった

ソラムニア騎士団にも、変化が訪れる。古のように、女騎士が加入した。そのなかには、パリンとウーシャの娘、リンシャ・マジェーレもいる

タキシス騎士団は新たなヴィジョンを確立した、暗黒の女王はいずれクリンに帰還する、その時までに、再びアンサロンを制圧しなければならない、と。しかし、現在は2つに分裂している模様

2、新たなる魔法(1)

神々は退場した、夜空には、3つの月はない。魔法は失われたはずだった。魔法の物品はそれでも効力を失ってはいなかった

しかし、新たな魔法が存在したのだ。パリンは偶然にいくつかの魔法を発見した。そこで、ソレース近郊にアカデミーを設立して、新たな魔法の研究を始めた。新たな魔法は、自分自身の力を引き出して使うとされているが、詳細は、未だ不明である

3、新たな魔法(2)

赤のマライスがケンダー郷やバリフォール付近を制圧する戦いで、リヴァーウィンドは戦死した。悲嘆にくれるゴールドムーンは、何らかの顕示をうけて、新たな癒しの技、ミスティックを使うようになった

ゴールドムーンはアバナシアの北東の新海のシャルシー島に、シターデル・オブ・ライトを設立し、そこで癒しの技を伝える

4、それぞれの種族

マライストリクスにケンダー郷を蹂躪されて四散したケンダー族は、「恐怖」という概念を持つに到った。彼らは、「アフリクテッド(悲嘆にくれる)・ケンダー」と呼ばれるようになる。エルゴス島の東側のハイロウが主な居住地である

クオリネスティーはドラゴンオーヴァーロード・緑のベリル(ベリリンスラノクス)の支配下にあるらしいが、いっぽうで、トルバルディンとの交易もおこなわれている

シルヴァネスティーは、第二大変動後の混乱を避けるために、シルヴァン・ヴェイルというシールドを張ったが、不運にも、ヴェイルの内側には、カイアンブラッドベインが存在した。当然、彼の支配するところとなった。しかし、新たな中立の騎士団レガシー・オブ・スティールはヴェイルの抜け道を発見した

5、30年後

アンサロン大陸は、ドラゴン・オーバーロードの占領下にある

世界には新たな英雄が必要だった


フィフス・エイジのゲームはここから始まります


セットの内容

BOOK ONE

フィフス・エイジをプレイするための、サーガ・ルールの解説書です。サーガ・ルールはドラゴンランス以外にも仕える汎用ルールという体裁ですが、今のところ、他作での使用の話は聞かれません

BOOK TWO

クリンの設定書です。天地創造から、第二大変動歴31年までの歴史、フィフスエイジの詳細な設定が描かれています

HEROES OF NEW AGE

シナリオです

FATE DECK

ダイスを使わない代わりに、カードで判定をおこなうというのがサーガ・ルールの全容です。そのための、カードをフェート・デッキと呼びます。デッキといっても、マジック・ザ・ギャザリングの様なものではないのでご注意を

地図

アンサロンの地図です。フィフスになってからの変更は、夏炎戦争の際の亀裂のなごりの、アンサロン大陸と、ドラゴン島の間に位置するドラゴントゥース諸島でしょうか

チャート


サーガルール概要

名称

AD&Dではゲームマスターはダンジョンマスター、プレイキャラクターはキャラクターと呼ばれていましたが、サーガルールではそれぞれ、ナレーター/ヒーローと呼ばれます

ステータス

Coordination

Agility - Suit of Shields - Dodging/shield use.
Dexterity - Suit of Arrows - Fine work/missile fire.

Physique

Endurance - Suit of Helms- Stamina/armor.
Strength- Suit of Swords - Physical power/melee weapon

Intellect.

Reason - Suit of Moons - Intellectual power/sorcery use. (Mention schools.)
Perception - Suit of Orbs - Using your senses/scouting. (Mention acute senses.)

Essence

Spirit - Suit of Hearts - Strength of will and emotion/ mysticism use. (Mention spheres.)
Presence - Suit of Crowns - Ability to command respect and lead others.

8つの能力が、ヒーローの適正をあらわします。それぞれマークが決められています、例えばストレングスは剣のマークです。サーガルールでは職業という概念はないので、能力次第では、武器も魔法も使用可能といえます。ただし、ヒーローにはそれぞれ向き不向きというものがあります

8つの能力はABCDXというランクわけがなされています。例えばReasonのABは魔法使用可能、CDでは魔法の概念は理解できるが、Xでは魔法はさっぱりわからないといったようなものです

その他

Hand

所有できるフェートデッキの枚数をあらわします。始めのプレイでは、3.4枚しかありませんが、クエストをこなしていくと枚数が増えていきます。レベルと言う概念の無いサーガールールでは、アクションの際に高い数値のカードを出さなくては成功はおぼつかないので、枚数が多いに越したことはないのです

Wealth

金銭の概念の甘いサーガールールでは、Wealthは社会的地位をあらわすにとどまります

アクションの決定

フェートデッキを使って行われます

まず、ヒーローが、行動を起こすときには、ナレーターは、その行動がどの能力を使うのかを知らせた上で、難易度を決めます(ヒーローに難易度は知らせてはいけません)

ヒーローはその難易度以上の数値を用意しなければなりません。例えば、ドアを蹴破るのに必要な能力は、ストレングスで、難易度は8だとします(ヒーローが難易度を知ることはないと思いますが)。ヒーローのストレングスの数値が7だとするとすると、手持ちのなかのフェートデッキの数値は1あればいいということになります(でも難易度自体を知ることがないので、ヒーローはどうしても成功させなければならないときには、大きい数値のカードを用意しなければなりません)

ヒーローは手持ちのデッキカードを一枚提示して、そのカードをすてます。そして一枚、カードの山から補充しますが、その際に、そのカードを表にします。カードに書かれているマークが、行動に必要な能力ならば、さらに、先ほどの数値に、ボーナスとして新たなカードの数値を加えます。この数値が難易度を上回れば、取り合えず、その行動は成功です

しかし、引いたカードにドラゴンの絵が書いている場合は、Mishap(不運)となり、行動は失敗に終わります。ヒーローは何らかのペナルティーを受けてしまいます

アクションが戦闘であろうが、平時の行動であろうが、このやり方が基本です

魔法や飛び道具の使用の際には、難易度の設定がやや複雑になります、使用範囲や持続時間といった要素を加えることになります

戦闘では、カードを使用することで体力の回復も可能です

カードの別の使い方

何かのチェックをするときにもカードが使用されます。カードに絵・マーク・色などが描かれていますが、これをチェックに使用することもあります。一枚カードを引いて、そのカードに書かれている情報を、チェックの基準にするのです


余談

サーガルールについては、私は懐疑的です。なぜ、AD&Dのままでいかなかったのが、正直、納得が行きません。キャラクターをヒーローと呼ばせるあたりからも、わかるかもしれませんが、大味な展開しか期待出来ません。ヒーローが何らかの行動をとろうとすれば、カードで判定ですから、プレイ自体は単調なものになりかねません。また、戦闘でディテールを彫り込めないのも不満です。戦闘自体には時間はかからないと思いますが、せっかく過去のTRPGが作りあげてきた細かな戦闘や、様々な魔法は、サーガルールにはありませんので、すぐに飽きてしまうかもしれません。また、ナレーターは長文を朗読することを強いられ、その際にプレイヤーがただ聞いているのが、ドラマティック・アドベンチャーだと標榜するのも、なんだかなあってかんじです

現在のところ、FIFTH AGE(サーガルール)には、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社がTSRを買収する以前と以後の2系統のモジュールが存在します。以前のものは、SC31から34年前後までのモジュールです

1997年にTSR社がWotCに買収されてから、ワイス&ヒックマンがドラゴンランスのデザインチームに相談役として迎えられるのですが、その際のミーティーングで新たなプランが作られました。AD&Dとサーガルール双方で使用可能な混合(ハイブリッド)モジュールです。現在では、新たなモジュールがカオスウォー、フィフスエイジとも発売になっています。ただし、AD&DではベテランのDMがマスターをしなければ、事実上無理ではないかと思われます、あまりにも、サーが風の記述なので、他のAD&Dのモジュールとは違いすぎて、そのままでは使いずらいものと思われます

フィフスエイジの新しいモジュールは、バトルラインシリーズと呼ばれています、これは、フィフスエイジの中心ストーリー「ウォー・オブ・ソウルズ3部作(2000春〜)」に基づいた戦史プランに則ったものです

未だ謎が多いフィフス・エイジですが、その中で最大の謎はシャドウ・ドラゴンとシャドウ・ソーサラーでしょうか

シャドウ・ソーサラーは金属のマスクを顔につけていて、声が金属音ですので性別不明。やけに第二大変動以前に詳しいのですが、全ては謎です

シャドウ・ドラゴンは、クリンでは希な種で、ドラゴン・オーバーロード並みの実力を持っていると思われます

もう一つの謎は、ゴールドムーンでしょう。彼女は現在90歳ぐらいですが、10代にしか見えないとのことです。それが意味するところは、ゴールドムーン自身にもわかりません

NEW AGE 3部作

フィフス・エイジでは長編は、NEW AGE 3部作(Jean Rabe)という作品が出版されています。ゴールドムーンの呼びかけに答えたダーモン・グリムヴァルフをリーダーとする新たなヒーロー達(ぷらす、パリン、ゴールドムーン、ついでにギルサナスもかな)が、ドラゴン・オーヴァーロードとの最初の戦いをする3部作(笑)です。ここで、ギルサナスとシルヴァラのその後か語られます。この作品の最後でマライストリクスは「これが始まりなのよ」とおっしゃっていますが。結局のところ、本当に始まったばかりなのです

最後に/ウォー・オブ・ソウルズに向けて

様々な謎は、今後、解き明かされるのでしょうか。ダラマールはどこへ行ったのか、死んだはずのタッスルホッフは、なぜ、ソレースを訪れるのか? 「最良の時代かも」と言ったフィズバンの真意は? フィフス・エイジの本当の意味とは

すべては、これからなのです


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