(あらすじ)
小村を訪れたシーク教の伝道師タルセニアンに感化されて、ヘデリック少年(笑)はシーク教に入信し、タルシニアンにシーク教の作法を教えてもらいます。古の神を信仰する母親とは対立します
ある日、姉で白ローブの魔術師のアンシラが大審問を終えて帰郷しますが、当然ヘデリックと対立します。やがて、タルシニアンはアンジェラに惹かれてシーク教を捨てますが、姉の持つダイアモンドドラゴンという魔法のアーティファクト(たぶん小さな置物)をシークの神々の贈り物だと勘違いしたヘデリックは、村人たちにドラゴンの幻影を見せ、熱狂させて、手始めに母親を殺させます(むごすぎるぅ)
アンシラとタルシニアンは上位魔法の塔に窮状を伝えますが取り合ってもらえません
***
月日は流れ、ダイアモンドドラゴンの力を得たヘデリック中年(笑)は、ソレース教区を支配し、ソレースの北、半マイルのクリスタルミア湖沿いにイロリンドン寺院を建立します
長年にわたる訓練で魔力を高めたアンシラはヘデリックに挑戦しますが、ダイアモンドドラゴンの魔法の一つ、霧の生物に返り討ちにされ、殺されてしまいます
タルシニアンは復讐のために、ミンクスという名の女性やケンダー(ケッフレヴィット・バーシストル)やケンタウロスを雇ってヘデリックに立ち向かいます。まずケンダーにダイアモンドドラゴンを奪わせる計画を実行しますが、失敗します
その後タルシニアンは単身イロリンドン寺院に乗り込みますが、ヘデリックに捕らえられてしまいます
一方、ミンクスは、ケンダーが実はダイアモンドドラゴン奪取に成功していたことを知りますが、ケンダーによってダイアモンドの中に捕らえられてしまいます。ミンクスは最後にはケンダーやケンタウロスを説得して、一同を連れソレースへ急行します
ヘデリックに捕らえられたタルシニアンは、まさに処刑される寸前でしたが、ミンクスたちが間に合って、ダイアモンドドラゴンを発動させます。死刑場は大混乱に陥り、ソレースの住民や、ゴブリン・ホブゴブリンをはじめとするヘデリックの部下は逃げ去ります
顕現したドラゴンはアンシラの亡霊と合体し、イロリンドン寺院を壊して、いずこともなく去ります。アンシラは肉親のヘデリックを殺したくはなかったのです(ついでに、いにしえの神もヘデリックの殺害を禁止していました)
このさなか、ヘデリックは、ある老人を見かけます、彼は寺院を廃すことを命令します。ヘデリックは彼がシーク教の主神ソーヴァイだと考えます
かくして、ダイアモンドドラゴンを失い、寺院を廃したヘデリックは、ソレースでいちから己の野望(魔術師を駆逐して世界を浄化し、自らが神になる)に再び邁進するのでした(そして戦記に続くのでしょう)
(了)
結局活躍したのは、反ヘデリック側の人々だけでした
戦記に関わるのは、ヘデリックがヘイヴンのエリスタンを追い落とそうとしている記述(2・3回)と、憩いの我が家亭とオティックの名前が出てくるだけです(オティック本人の登場はなし)
物語は、アスティヌスが部下たちに「ヘデリックが世界でもっとも重要な人物になる瞬間があるから、彼の過去を調べて記述せよ」と命じるという枠構造になっていますが、それほど効果的ではありません。話が一段落するたびに、部下たちが会話する場面が挿入されています
最後に。この本を読んでいて気づいたのですが、ヘデリック(HEDERIC)という名前は、HERETIC(異端者)が語源だと思われます