JR常磐線・綾瀬駅西口を降りて、徒歩2分。ここに「オーエンジャイ」というタイ料理店がある。聞くところによると、「オーエンジャイ」とはタイ語で「和」とか「環」とかいう意味らしいが、正確なところは知らない。 そんなことは置いとくとして、この店、ちょっとした有名店なのである。何が有名かというと、タイ料理を食べながらキックボクシング(ムエタイ)を観られるというのだ。 |
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実はこの店では、毎週土曜日夜8時から「キックボクシング」の試合が行なわれるのだ。「どうせ食い物屋でやる見世物でしょ?」などと思っている貴方、ちょっと甘い。出場選手は、現役バリバリ。日本チャンピオンから明日を夢見るグリーンボーイまでが凌ぎを削る。本場タイからの選手が出場することもあり、まさに「プロ」の興業にくらべて、なんら遜色のない試合が見られるのだ。通の中には「後楽園ホールよりレベルが高いんじゃないか?」と言う人がいるほどなのだ。 こんな試合が、ほんとにあなたの目と鼻の先で行なわれる。選手たちの血と汗と涙が、あなたがすするトムヤンクンに入ってしまうほどだ。もし、後楽園ホールでこの距離で試合を見ようとすると確実に1万円以上はとられてしまう。実にお得なスポットなのだ。 |
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では、土曜日のオーエンジャイのイベントを観戦するにはどうしたら良いのだろうか? 天下の人気スポット「オーエンジャイ」。確実に席を確保するには予約が必要だ。 とりあえず、あなたのお手元に電話を用意していただきたい。もちろん、携帯でもPHSでもオーケーだ。そして、3620ー2581をダイヤルする。そうすればしばらくすると「はい、オーエンジャイです」と誰かが出るはずだ。このとき、日本語を解さないタイ人が出て、ちょっと苦労したり、待ったりするかもしれないが、気にすることはない。マイペンライ(タイ語で「大丈夫」の意味。タイ人は何があっても、「マイペンライ」と気にしない)だ。 話のわかる人が出てきたら、「●月●日の試合を観に行きたいで〜す。人数は●人で〜す。名前は●●で〜す。連絡先は××で〜す」 |
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これで予約完了。あとは、当日ちゃんと来れば問題なし。予約しておいてブッチしても、訴えたりはしないが、うそつきは泥棒の始まり。ちゃんと来ようね。。。 さて、気になるお値段だが、座席料として2000円。立ち見だと1500円がかかる(料理別)。上述のように、後楽園ホールでのプロ興業の値段を考えたら、これは破格の安値なのだ。 |
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いよいよ観戦だ。8時試合開始だが、遅くとも7時30分には入場していただきたい。予約なしで来るお客さんもいるため、遅れて来た場合は、席がなくなっている可能性もあるので注意したい。 座席についたらまずビールでもグイッといって、血のめぐりを良くしたい。やはり、燃えるのにはアルコールも必要だ。そうこうしているうちに選手入場式が始まる。選手それぞれ事情があるため、この段階で出場選手が全員そろっているとは限らないのだが、一応その日の出場選手はチェックできる。 |
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競馬を喩えに使ったが、キックボクシングのルーツである「ムエタイ」はギャンブルだ。客はどちらかの選手に、ときには生活費までを賭ける。したがって、選手も命がけなら客も命がけ。贔屓選手の攻撃が当たるたび「オーイ」と大声を上げ、選手を、自分を鼓舞するのである。 だからといって「オーエンジャイ」で賭けをしちゃダメである(まあ、やるなら内緒にね)。犯罪になってしまう。でも、どちらが勝つかを友人と予想しあい、徹底的にそちらの選手を応援する。実況・解説つきなので、そちらも参考にしたい。 もちろん攻撃が当たれば「オーイ」の歓声を上げ、応援する選手のホームスタジアムの雰囲気を作り上げるのだ。これが一番、簡単で確実な盛り上がり方だ。 |
実況・ダイナマイト延藤(右)と解説・野崎(左) のコンビ。現在は、ガッツ致死末などが担当。 |
そして、期待どおり贔屓選手が勝ったら、儲けた金で(賭けしちゃいけないんでした……)選手にチップを上げたら選手は大喜びだ。試合終了後、お酌の30分くらいは確実だろう(昔はわりばしに1000円札、時に1万円札をはさんで選手に渡す客が大勢いた)。ロマンスが生まれることだってあるかもしれない。 |
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このような濃密な時が終わるのは約PM10時。翌AM3時まで営業している。たいてい選手立ちは、オーエンジャイで試合後の食事をするので、しばらく待っているといろいろと話ができるかもしれない。 |
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