5R判定負け(49-50、49-49、49-48)
あっと言う間に5回戦昇格し、あっと言う間に試合が組まれた石毛。相手は内堀
清貴改め笛吹丈太郎。石毛がいまだにまったくかなわない井上玄斗を1Rで葬って
いる強豪だ。戦績も6戦6勝(4KO)。厳しすぎる相手だ。正直、石毛はびびっ
ていた。また、次々試合が組まれる状態に、ちょっと精神的に疲れてもいたようだ
。
それが1Rにもろに出た。いきなりパンチでラッシュしてきた笛吹に詰められ、
ボディーのパンチで悶絶。ダウンを喫した。もちろん効いてはいただろうが、気持
ちのダウンという要素があったということは否定できないだろう。
しかし、笛吹も1Rで疲労の表情を見せた。顔がげっそり。相当減量がきびしか
ったことを予想させる。
ちなみにニュージャパンはつい最近、前日計量から当日計量になったのだが、今
回は午後4時試合開始なのに計量は午前10時(しかも実際に始まったのは30分
後)。ふつう当日計量でも8時間以上は開けるのだが、実質5時間半しか休息がな
かったのだ。これでは、消化の時間を考えると1食しか食えない。ちょっとヒドイ
。事故が起きるよ!さて、2R以降、石毛も開き直ったようだ。マウスピースも付けず、口から血を
だらだら流しながら、反撃を開始した。特にローが入り出す。明らかに苦悶の表情
を浮かべる笛吹。しかし、倒れない。そのままの展開で試合終了。1Rのダウンで笛吹に2ポイント。その後の4Rで
石毛がいくつ取れたかがカギと思われたが、ジャッジは3名とも石毛に1ポイント
しか与えず、無念の判定負け。
しかし、本人は「目標ができた」と次に前向き。逆襲に期待したい。
石田智史 対 新美友恒(大和)
判定勝ち(50-48,50-48,49-47)
五回戦昇格以来、4戦して勝ち星なしの石田。まさに背水の陣だ。しかし、この
試合に勝てば、次の相手は弘中。その先は…空位の王座決定戦? ピンチをチャン
スに変えることができるのだろうか。
気合い十分の石田は最初からつっかけた。左にステップしての右ストレートが新
美をとらえ、開始5秒でいきなりのダウンを奪う。ダメージの残る新美に対し、さ
らに追い打ちのラッシュをかけるが、とらえきれず、1R終了。
2Rに入っても気迫十分の攻撃を続ける石田。新美をとらえるのは時間の問題か
と思われたが、新美もここから地力を発揮。パンチで石田を追いつめる場面も何度
かあった。勝敗を分けたのは首相撲。首相撲の技術では、石田が圧倒的優位だった
。したがって、ピンチになっても石田は落ちついて首相撲に持ち込みなんとかやり
すごしたのだ(客の受けは悪かったが……)。
とにかく勝ちたい石田は、格好悪くても首相撲や前蹴りで打ち合いには付き合わ
ない。そして、2年半ぶりの勝者のコールを受けた。控え室に戻ってきて、人知れ
ず涙をこぼした石田。さあ、反撃開始だ。石田選手のコメント
「勝ってホッとしています。次も必ず勝ちます」
アラビアン長谷川 対 中島 昇(大和)
判定勝ち(50-46,50-47,50-47)
試合前日、減量で瀕死状態の石毛の横でニヤニヤしながら「おなかイッパイ!」
とのたまわっていたアラビアン。それでも55・5キロという契約体重では、おそ
らく日本では負けていないのではないか?(鈴木秀明に負けたときはフェザーだし
、あと他に負けたときももっと上の体重?) 余裕しゃくしゃくといった感じだ。
この日の会場には空手の大会が同時開催されていたこともあり、キック観戦歴が
比較的短い観客が多かったように思うが、そんなお客さんに「ムエタイ恐るべし!
」を印象づけることになる。
結婚してやる気が出てきたこともあるのだろうが、日本式のスタイルや採点に慣
れてきたのだろう。タイではあまり使わなかったであろうローやバックブローなど
も積極的に使って、攻める。攻守のメリハリが素晴らしい。
前蹴りで吹っ飛ばし、ミドルで下がらせ、ときにパンチで攻める。攻勢は間違い
なくアラビアンだが、ジャッジがどう判断するのか? 「明確なダメージが欲しい
な」と思っていたが、そこはもう日本での戦いに慣れたアラビアン。「相手は首相
撲できないぞ!」という玉城会長の助言に「わかってる。それはもうちょっと後か
ら」と筋書きはできている様子。その言葉通り、相手が疲れてきた3R中盤から首
相撲からのヒザ、ヒジを中心とした攻めに切り替えてきた。しかも明確に相手を倒
す意図を持った説得力あるヒザだ。そしてその首相撲の攻防の中の一瞬の隙をつき
、中島の顎にヒジ打ち一閃。ダウンを奪う。
その後は、「いつもの」ペース。逃げに入ったアラビアンを崩すのは並大抵のこ
とではない。結局、中島寄りの観客が沸く場面は一度もなく、アラビアンの完勝に
終わった。