1999.10.31 club Heaven

横浜征徳会主催興行


 行って来ました、NJKFヤングファイト! でも、行った先はいつもの後楽園ではなく、もちろんオーエンジャイでもなく、横浜「クラブ・ヘブン」。「クラブ」と聞いても、ピンとこない私、フィニート。スポーツクラブとキャバクラの区別くらいはわかるが、横浜「クラブ・ヘブン」と金町に新しくできた「クラブ・ゴールド」の区別はつかない。ちなみに「クラブ・ゴールド」は、5000円飲み放題、歌い放題、おねえちゃんは水着らしい。「らしい」というのは、わしは行ったことがないからである。ホントよホント。

 さて、何の地図ももたず、「山下公園の近くらしい」という予備知識だけで赴いた今回。石川町の駅を降り「とりあえず人の流れについてきゃなんとかなるだろう」といういい加減な気持ちで歩いていたら、当然のごとく中華街で迷子状態。30分くらいさまよって、やっと山下公園に。
 「おお、ここがよく週刊現代で『盗撮! 真夏のカップル恥態現場』などというグラビアによく登場する山下公園か!」などという妙な感慨にひたっていた。だが、その感慨も束の間。よく考えると、ここからどうやって行っていいのかまったくわかんないことに気づき、すでに会場入りしていた知人に電話。ようやく目的地についた。

 「クラブ」というと何やら豪奢なイメージを抱いていたが、ここは潰れた工場の再利用みたいな外観。

「何がクラブだ! 何がヘブンだ!」などとつぶやきながら、中へ入ってみると、そこは「暑い、暗い、狭い」。ところ狭しとイスが置かれ、うかつに動けない。照明が暗いので、どこに何があるかよくわからない。収容人員は300人くらいかなぁ。

秘密クラブみたいだ
これが外観!

2階になっているのです

これが内観!
地下プロレス会場みたいだ。

 そうこうするうちにイベントが始まった。まずは、ちびっこによる空手の演舞だ。7〜8人くらいいただろうか? 「こいつらの父親、母親、親戚とかみんな来るだろうから、それだけでチケット30枚くらい売れるんだろうなぁ。商売うまいなぁ」なとと妙なところに感心した。ただ、底辺の拡大っちゅう意味では、こういうイベントも大切だろう。今まで、キックはこういうことやらなさすぎた。

 その次は、「タッグマッチ」が行なわれた。覆面つけたちびっ子2名2組出てきたときは「何が始まるんだ?」と狼狽したが、マススパーを交代でやったような感じだった。レフェリーの征徳会の会長さんの奮闘ぶりが光った。ちなみに征徳会の会長さんは、「たまちゃん」こと玉城会長と一敗一分の戦績を持つ、凄い選手だったらしい。カーロス楠本はビデオで観たことがあるそうだ。観てえ。

デカ対チビという組み合わせだった
ちびっ子も大熱戦だ!

 そんな前座が終わって、ようやくキック興行が開始された。

 始まってみて、この会場を見直した。狭いスペースにギュウギュウ詰めにしているが、その分、ライブ感は満点。選手の友達が3人くらいで騒いでいるのが「大歓声」に聞こえるから、選手としてはやりがいがあるのだろう。後楽園の興行などだと、3回戦はどうしても白けてしまうが、ここならそんなことはない。キック観戦歴が浅いお客さんなら、こちらのほうが迫力があっておもしろいかもしれない。もちろん、オーエンジャイのほうが面白いのは言うまでもないが……

 この日は、エキシビジョンの松浦以外は北星勢の出番はない。他のジムの人をあれこれ言わないようにはしているのだが、「まあ、オーエンジャイに出たことある人(ただしわしの記憶に残っている人)ならいいだろう」ということで、オーエンジャイ戦士徹底ひいきレポートを送ることにしよう(もうだいぶ記憶が定かでないが…)。

【第1試合】
○稲田陽一(小国) 1RKO 小林輝彦(横浜征徳会)×

「トレックを成敗する」とオーエンジャイに乗り込んできたが、返り討ちにあった稲田。しかし、プロデビュー戦は見事であった。ローとパンチでガンガン来る相手にたいし、ミドルで落ち着いて対処。相手の勢いが止まったところに右ストレートでダウン。最後は、怒濤のヒザで勝負を決めた。一番大事な勝負度胸も良さそう。次はトレックにリベンジしてくれ!
ところで、本掲示板でどこぞのギャルが稲田選手の素性を聞きまくっていたが、その後ロマンスは生まれたのだろうか。その彼女は会場に来ていたのだろうか、気になる。
もういっちょところで、稲田選手、伊原ジムの菊池選手に似てません?

【第3試合】
△桜井伴保(ウィラサックレック) 判定 山岸弘成(建武館)△

本掲示版での「ali」さんの書き込みにもあったが、勝ち星なしが続いているウィラサックレックジム。北星とウィラサックレックは姉妹ジムみたいなもの(ウィラサックレック・神田川・ウォンパサー会長談)なので、ぜひそんなジムの不名誉を払拭してもらいたいものだ。そんな期待を背負って、桜井が出陣した。オーエンジャイでの試合を見る限り、気持ちの強さがちょいと足りないと思われる桜井。しかし、この日は別人。1Rからガンガン前に出ていき、相手を追いつめる。しかも、相手は首相撲できない。「こりゃあいただきだろ!」と思ったら、2Rからなぜか失速。3Rは逆に押され気味で結局ドロー。残念。

【第4試合】
○竹越義晃(小国) 判定 佐藤毛無丹(キング)×

オーエンジャイホームページ・ウォッチャーらしい竹越選手。掲示板にも匿名で書き込んでいるらしい。しかも32歳らしい。これは応援しないわけにはいかない。
試合は、毛無丹(この名の由来は?)がキングらしくローとパンチでガンガン前進。竹越はガードを固めて、右ミドル、ワンツーで応戦。距離の取り方がうまく、自分のペースに相手を引き込むところは、さすが人生のベテランといったところか。タイなら文句なく勝ちだが、日本だったらドローがありうるかな、とも思ったが、順当に判定勝ち。嬉しい初勝利を挙げた。
試合後、フィニートに「ホームページ観てます」などと嬉しい報告をしてくれた竹越選手。ぜひ、オーエンジャイでキャリー宇佐美と「オーバーサーティー足立区フェザー級王者決定戦」が観たい!!

わしも初勝利は嬉しかった
勝利のポーズ

【第6試合】
○杉浦磨(名古屋JKF) 判定 増井哲史(小国)×

オーエンジャイで実力者・高田耕芸と大接戦を演じ、その存在をアピールした(といってもオーエンジャイの客にだが)増井。相手は、名古屋JKF及びてらかわよしこ女流画伯期待の杉浦。こりゃあ楽しみだ。
杉浦はワンツー、ローを矢継ぎ早に決めてくる。キックファンなら誰でも「鈴木秀明そのまんまやないけ」と思うほど、そっくりなスタイルだ。増井はシンサラワットのようにはいかなかったが、それでも機を見て繰り出す、フック→ローのコンビネーションは秀逸だった。しかし、離れての闘いでは、手数の多い杉浦が若干有利。増井もそれを感じたのか、首相撲勝負に持ち込む。技術的には互角だったが、3Rに入って、増井のスタミナが切れてきた。マウスピースを吐き出して踏ん張ったが、手数の相手を黙らせる圧倒的な攻撃はついに出なかった。「ドロー」でもいいかな、とも思ったが、判定で及ばなかった。


【第7試合】
○栗山和也(横浜征徳会) 判定 滝口浩太郎(一心館)×

この両者は、二人ともオーエンジャイ戦士だ。どちらを応援するわけにもいかず、冷静に見ることにした。もともとトリッキーな動きをする栗山だが、この日の動きのトリッキーさはさらに磨きがかかっていた。滝口はスタイリッシュな綺麗なスタイルの選手だが、栗山のペースに引き摺りこまれ自分の試合ができない。首相撲で何度もこかされた。ダメージを食らうような攻撃はなかったが、試合の主導権はつねに栗山。判定も栗山に凱歌をあげた。
……と思ったら、一心館の会長?がリングに乱入!
「これは相撲じゃないんだ! どんなダメージがあるんだ! このジャッジはおかしい!」

とまくしたてた。まあ、言いたいことはわかるけどさ、首「相撲」なんだっちゅうの。やっぱあれだけ試合を支配されたら栗山選手の勝ちよ。必死でなだめていた小森次郎氏の姿が印象的であった。

【第8試合】
×シンゾウ・バーンソンホン(ウィラサックレック) 1RKO 高橋誠(名古屋JKF)◯

何を隠そう、シンゾウの本名は徳重信三である……ってそんなこたあどうでもいいか。シンゾウは前夜緊張して1時間しか寝れなかったらしいが、開始早々得意の首相撲の展開にもっていく。対する高橋も真っ向勝負。シンゾウは「(いつも相手がつきあってくれないので)嬉しかった」そうだ。
これはいい勝負になるぞ、と思った矢先、もつれあって倒れた後、シンゾウが起きない。レフェリーが「ダウン取るよ」と言っても起きない。セコンドが「立て!立て!」と言っても横をちょろちょろ見るだけで何が起こっているのかわからなそう。ようやくカウント9くらいで立とうとしたが、よろけて立てず、テンカウント。
後で本人に聞いても「わからない」。セコンドに聞いても「わからない」。わしも「わからない」。
本人の額にできたたんこぶだけが真実を知っているのだろう。

【第9試合】
×松本耕作(横浜征徳会) 1RKO 押川童子丸(キング)◯

フィニート最期待の押川選手。試合前、顔を合すと「こんにちわ」と直立不動。「頑張ってね」と声をかけると、「はい」と直立不動。なんて、腰の低いやっちゃ。対する松本選手も、技術の高い好選手。これは注目だ。
しかし、勝負はあっけなかった。押川強い。蹴ってもすげえ殴ってもすげえ。あっという間に、フックでダウンをとる。そして立ち上がった松本に対し、今度はヒザがグシャ。松本の痛がりようにレフェリーは即、試合を止めた。
試合が終わって、我々北星勢を見つけた押川は「ありがとうございます」とまたまた直立不動。それを見た井上玄斗が「はじめの一歩みたいっすね」と一言。そうだ。まさに、押川童子丸は幕の内一歩だ!

【第10試合】
×小瀬泰志(ウィラサックレック) 判定 發田隆治(横浜征徳会)◯

すんません。この試合、松浦さんの準備で見てませんでした。

【スペシャル・エキシビジョン】
大谷浩二(横浜征徳会) 判定 松浦信次(東京北星)◯

エキシビジョンなのに、なぜか計量通知が送られてきたときから嫌な予感がしていたが、何やらよくわからんエキシビジョンとなった。

松浦は「会長がさあ、2Rぐらいやりゃあいいよって言うからさぁ」と気楽な気持ちで来たのだが、渡されたグローブは何と8オンス。8オンスっていやあ公式戦と同じよ。ウエルター級だったらちょっと当たっただけで倒れるぞ(ちなみにオーエンジャイでは16〜18オンス)。

「こりゃああまりにもひどい」と思ったフィニートは玉城会長の許に「会長、8オンスはまずいでしょ!」と言いにいったら「いいんだ!」と言われて、引き下がるしかない始末。

松浦もすでにあきらめたようで、「しょうがねえ、やる気出すか!(笑)」と滋養強壮剤をゴクリ。


松浦さんっていい味出すんです


そうして出陣しようと思った直前、グローブが10オンスに変更されることに。「それだってでけえよ」しかも、「どういう風にやっていいのか全然聞いてない」そうだ。

さて、そうこういうことで、ちょっと遅れめに試合が始まった。重く鋭いミドルを打っていく松浦。すごい切れ味。客席から「やっぱ違うな」という声が聞こえる。オーエンジャイ的にはミドルは多少重く蹴ってもダメージが残らないからOKなのだが、大谷は「?」と予想外の強い攻撃に戸惑い気味。2Rからは、ローを返していく。オーエンジャイ的にはローはダメージが残るから×なのだ。「ロー蹴ってきたよ」と今度は松浦が戸惑い気味。

結局、消化不良のまま終了。こんなのやらすんなら、ヘッドギア、足パット付きで本気スパーでも見せたほうがよっぽど良かったのになあ。まあ、これ以上言うのはやめとこ。

……ということで、レポート終わり。最後が良くなかったが、それ以外はいい興行だったと思う。試合数が多くなるのなら、大歓迎だ。

やる気なさそう?
ただ、目をつぶっただけですが

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