2001.4.28 

日本キック連盟



楠本勝也 対 佐藤ツヨシ(ピコイ錦)

日本人がタイ人に挑むとき、絶望的なまでの戦力差を感じることがあるが、この日の佐藤陣営はまさにそんな気持ちだったかもしれない。それほどまでの、一方的勝利だった。

楠本にとっては、落とせない一戦だった。タイでの勝利を機に突っ走る予定がラフレイに敗戦。そのラフレイが竹村に負けたこともあり、楠本株は不安定気味。今回、佐藤に負けるようなことがあれば、株は暴落してしまったであろう。また、会う人会う人が、「ああ佐藤? 楽勝だよ」と言ってきたこともプレッシャーになったという。ちなみに相手の研究をまったくしない楠本は、佐藤ツヨシがどの程度の選手なのか、まったく知らなかった。

私の気持ちの中でも、戦力的に楠本のほうが上だとは思ったが、勝負には何があるかわからない。実際、佐藤選手はパンチのある選手であり、下手に打ち合うと危険だな、と思っていた。その点は、タイ人トレーナー・ファーキャウも同様の指摘。「ファイター駄目! 馬鹿になるよ」と徹底的にディフェンス面をしごかれ、この一戦に挑んだ。

1R。鋭い左ジャブと左ミドルで様子を見る楠本。パンチで前に出てくる佐藤だが、楠本きっちりガードしてローを返す。開始2分ほどだったか、楠本のローに佐藤早くも苦悶の表情を浮かべる。

ローが効けばパンチが入り出す。ジャブ以外にもストレート、フックも混ぜ、佐藤を追いつめる。

2R。完璧にローが効いている佐藤にローのつるべ打ち。パンチの乱れ打ち。そして撃ち合いの中でのアッパーがヒット。最初のダウンを奪う。立ち上がった佐藤に、ローで追撃。あっという間に2度のダウンを奪い試合終了。貫禄勝ちだった。

試合後の楠本。「次は中島とやれるでしょ」。やはりタイ人狩りにうってでるには、まだ一仕事残っている。

観戦記トップへ   トップへ