第1話 倉敷に出現した敏腕弁護士(一部フィクション含む)
11月19日、私は西へ向かった。なぜかを説明するためには、まず私の生い立ちを知らなくてはいけない。たいていの人は知りたくもないだろうが、まあ聞きたまえ。以前にもたぶん書いている話である。
「野崎」というのは、母方の姓である。つまり、なぜかオフ会にも出没したフィニー父は婿さんなのである。で、母親の実家は山口県下関。その先っちょにある彦島ってところである。父親の実家は同じ山口の萩。そこでやっているたいそう立派な萩焼店(写真)は、このHPのリンク集でも紹介しているとおりである。
で、その山口県。けっこう遠いこともあり、しばらく行っていない。中学のときだったか、じいちゃんの葬式に帰っていらい下関には行っていない。萩にはもっと長く行っていない。受験やら、キックやら、いつもいろいろやることがあったので、行く機会を失っていたのだ。普通、結婚したりすると行くものなのだろうが、うちは普通じゃないので行かなかった。
そんな折、飼育係が倉敷に仕事で行く用事ができた。「倉敷まで行くのなら……」と数十年ぶりの墓参りを決意したのである。
●倉敷っていえば……なんだっけ?
倉敷。キックファンならこの地名を聞いてすぐに思い出さなくてはいけないのは、拳之会である。地方ジムであるハンデを覆して、NKBのフライ、バンタム級のチャンピオンを抱える強豪ジムである。そこの小川会長(写真)にはいろいろお世話になっているので、ご挨拶に伺おうと思ったのである。
倉敷駅に着くと、小川会長が待っていた。なんと拳之会のHPを仕切っているKOさんも、一緒に来ていた。仕事は??? たしかKOさんは岡山県の「農業王」と呼ぶべきお方のはずなのだが、このために仕事を休んだのだろうか?(ちなみにこの日は金曜日である) そんなことは聞くに聞けず、われわれは小川会長の車に乗り込んだのである。
●詰め込んだら、入ってしまった讃岐うどん
「とりあえず昼飯行こうか?」と小川会長が車を走らせたのだが、何やら高速道路みたいなところに入る。そのうち橋が、海が……もしやと思った時には、そこはもう四国だった。人生初の四国上陸である。そこで鶏肉がうまいっちゅう店に入った。「昼から鶏肉?」と違和感を感じたものだが、小川会長にとっては昼飯も晩飯もないのである。「大ジョッキ」を注文しながら、私に視線を向ける。むむ、「大ジョッキ」と条件反射のように注文してしまう。次に小川会長はKOさんに視線を向ける。「KOくんは運転」といった1分後には「KOくんも飲むか?」と悪魔の誘惑をする。小川会長を「先生」と呼ぶKOさんであるが、そこは「農業王」。飲酒運転はできない、と断ったのである。さんざん肉食って、ビール飲んで、おむすび食って、鶏飯食って店を出た。あ〜腹いっぱい。
店を出て車に乗ると、小川会長が言い放った。
「次は讃岐うどん食いに行こう」
「………………」
シラフのKOさんが運転する車はうどん屋へ向かった。「山下」(写真)といううどん屋に入った。ここでももちろん「ビール」である。で、讃岐うどん屋には定番らしい「おでん」も注文する。そして「ざるうどん」、しかも「釜揚げうどん」追加である。小川会長のご立派な体格の秘密が、腹いっぱいわかった。。。
腹いっぱい食った後は、なんと観光地を巡ってくれた。瀬戸内海を一望できるところにいったり、ガラス館(写真)などにいった。いやはや、どうもありがとうございました。トイレ博物館を観られなかったことだけが心残りです。。。
その後、膨らんだお腹をへこますため、拳之会の練習場へ突入。少し汗をかき、夜の闘いへと備えた。
●謎の弁護士が出現
晩飯。胃袋飽和状態の我々を気づかってくれたのか、晩飯はまず軽く飲むことからスタートすることになった。われわれが向かったのは、倉敷の六本木ともいうべきネオン街。小川会長が行けば、ロマネコンティの最高級品がだまって出てくるといわれる高級クラブにお邪魔したのだ。クラブやらスナックの類に行くのは初めてという飼育係はなぜか大喜びだ。見た目がひじょ〜に若い、某フライ級チャンピオンは、嬉しさからか動揺していたのか道に迷ってしまう始末だ。
その日が「チャイナデー」だったという高級クラブ。「黒革の手帖」みたいなお姉さんたちがチャイナドレスで接待してくれるのだ。なぜか、一番萌えているのは飼育係である。そうこう酒が進み、ベテランらしきお姉ちゃんから、この日が初出勤という、まだ営業トークもままならない姉ちゃんに替わった。姉ちゃん、緊張の面持ちながら、小川会長にトークを試みた。「お仕事はなんですか?」。実に定番な質問である。しかし、小川会長の答えは定番ではなかった。
「おれ弁護士(^-^)/」
その後、私を指し「この人、裁判官」、飼育係は「医者」、某フライ級王者はなんと「こいつは犯罪者」と紹介された。困る新人姉ちゃん。大ウケの飼育係。いやあ、小川会長ステキ!!
そんな「(倉敷の)六本木の帝王」のトークとともに、一日目の夜が終わろうとしていた。
第2話につづく(予定)
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