NJKF "VORTEX X〜旋風〜"
2003年11月9日(日) 東京・後楽園ホール

後楽園ホールは8〜9割の入り。裏ではPRIDE-GPが行われていた。

今回は久々落ち着いて観戦できる興行。メモ片手に採点してみようと試みた。おまけに、わしが提唱している0.5ポイント制の採点もしてみた。あんまし、役に立たなかったが。。。

※レポート敬称略


×ソムチャーイ高津(小国)
   対 飯田誠一(町田金子)

 1RKO(2分59秒)

これほど展開が予想できる試合もあるまい。要は、高津が首相撲地獄に引きづり込む前に飯田が倒せるかどうかという試合である。

大月晴明選手と話しながら観戦。

前回の対戦と同じように序盤から飯田がパンチで高津を押す展開。これは予想どおり。前回はここから徐々に高津ペースに。

しかし、飯田。今回はジャストミート。左フックをヒットさせ、ダウンを奪う。ここから詰めに入りたい飯田だが、やや手こずっているように見える。その様子をみた大月くんがいろいろつぶやく。まあ定石どおりのことなんだが、実際チャンスは逃さない選手だけに説得力がある。考えてキックをやっている選手だな、と改めて感心する。ま、その内容は企業秘密としておこう。

で、なかなか仕留めきれそうもないな、と思っていたが、そのあと右ストレートで2度目のダウン。最後にはパンチのラッシュでダウンを奪った。

しかし、最後のダウンは、観客としてみると、明らかに1R終了のゴングの後。レフェリングに後ろめたさは残った。

しかし、飯田の完勝には違いない。試合後は「笛吹さん、どっちの拳が強いか決めましょう」とコメント。キックなんだから「拳は……」って限定する必要もないかと思うが、興味深い対戦には違いあるまい。


×佐藤友則(小国)
   対 高橋拓也(拳之会)
 1RKO(1分4秒)

パンフレットのアンケートでは「佐藤友則圧勝」が予想されていたこの試合。拳之会・小川会長は「見てろよ!」とばかりに闘志満々。

どこの不手際だか知らないが、入場曲が用意できず、なぜか「浪花節だよ人生は」で入場の高橋拓也。拓也のぼりと雰囲気があっていて、場内は高感度大。

しかし、対する佐藤友則。ラップみたいな、要はわしが一生聞くことはない音楽に乗って、二人のダンサーととともに入場。NJKFでは、石毛がベルトガールとともに入場したが、その影響か? いいことだ。

ちなみに石毛は、ベルトガール演出の先駆け(?)である先輩・小野瀬にきちんと許可をもらってやっている。頼んだ女性もタレント。ちゃんと自腹でギャラも払っている。

で、そんなこんなで「浪花節だよ人生は」は完全に食われる。試合前は佐藤側の圧勝。

ちなみにこの試合は、隣が川津真一前王者と山本アキラトレーナーというまたもや豪華な席。耳をそばだてて観戦した。

で、試合。

予想どおりに、開始直後からラッシュをかける高橋拓也。しかし、それを佐藤、落ち着いてさばく。「長くなればなるほど、佐藤くん有利だな」と思っていた直後、目を離していたら、いきなり佐藤ダウン。そのままタンカ。高橋拓也、見事な戴冠。狂わんばかりに喜んでいたKOさんが印象的だった。

しかし、拳之会。日本チャンピオンなどで満足しない。エース藤原国崇が対ムエタイに勝ち星を挙げられない状況だが、小川会長はめげていない。次の高橋拓也の相手に「ミニフライ級のムエタイランカーを連盟に直訴してきた」ときっぱり。よ! 男!小川会長!!

拓也君、おめでとう!! でも、闘いはこれから。フライ級という戦場では、先輩藤原国崇以上のムエタイと言う試練が待ち受けている。是非、それを突破して、小川会長を喜ばせてやってくれ!!

そして川津真一はどう出るのか?


木浪シャーク利幸(小国)
   対 瀬尾尚弘(JK国際)×
 3RKO

前回の試合は見ていない。個人的に予想が難しかった一戦。

まず入場から魅せた。なんと瀬尾、筋肉マッチョボディービルダー軍団に囲まれて入場。「浪花節だよ人生は」も「ダンサー」も、みんな食われた。もうおなか一杯、サイコー!

さて、試合。

瀬尾の武器は、強烈なローと左右フック。その距離を避けるべく、木浪は定石どおり、前蹴りや左ミドルで距離をとる。「より長い武器を先に使う」というキックのセオリーを活かしている。

だが、こういった、ムエタイ的なスタイルには落とし穴がある。格好ばかり真似ているプチムエタイスタイルだと、詰められた時に対応できず、パンチの連打に沈んでしまう。よくあるパターンだ。

しかし、この日の木浪は違った。

間合いに入り込まれても慌てない。逆に大降りのフックの隙をつくように、するどく小さなアッパーで迎撃する。これまで木浪のパンチはというと、あくまで蹴りにつなげるための右ストレートくらいしか印象がなかったのだが、この日は、ボクサーと見間違えるかのような細かなアッパーやフックで、迎撃していた。

しかし、パンチだけだと駄目である。パンチしかないと、ガードされて、瀬尾得意の重いローで反撃を食らってしまう。そこを木浪は、パンチを打った後には、必ず左ミドル、左ハイをつなげた。そうして相手を後退させた。こうすれば、瀬尾はローを返せない。

これが意図したものかはわからないが、少なくともパンチは練習してきたはずだ。明らかに今までのパンチとは違う。

こうして打つ手が無くなった瀬尾にたいし、木浪は3Rでケリをつける。またもや右アッパーで機先を制し、そこからラッシュ。最後は左ハイがジャストミート。タフネスで知られる瀬尾もひとたまりもなかった。

その瞬間、新生小国ジム初の王者が誕生した。

そして、そこにはリングに駆け上がるソムチャーイ高津さんの姿が。KO負けした直後で痛々しい治療の跡もある。本当だったら人前に出たくはあるまい。しかし、真っ先に出てきて、木浪のグローブを外し、王者の儀式に備えさせている。いやあ、さすが小国の大将。ジム初の王者に感慨あるのだろう。もちろん、悔しさも。

反面、ただ喜んでいるだけの後輩諸君。気が利かない。どこも同じようなもんだ(笑)。

ちなみに個人的採点。

1R 10-10(0.5ptありだと、木浪に優勢pt)
2R 10-9(木浪に明確な攻勢場面あり)


笛吹丈太郎(大和)
   対 清野浩志(M-TONG)×
 2RKO(2分16t秒)

パンチの笛吹、首相撲からのヒジ、ヒザの清野の試合は1Rからお互い激しく攻めるも互角の展開。

首相撲では清野有利であったが、「腰が重い」「地力がある」笛吹、首相撲を物ともせず、強引にパンチを放っていく。それが徐々に清野を捉え出す。

いったん相手を下げてしまえば、笛吹のラッシュ力が爆発する。得意のパンチの連打にヒザも交えて、一方的。3ダウンで2度目の防衛を果たした。

後は打倒ムエタイですな。飯田さんもいますが。。。


後編はメイン、マンコン対桜井の一戦。お楽しみに。