電動オフロード講座
第2回:基本練習は「空き缶とビールびんケースと板」


 第1回では組み立てるうえで気を付けるポイントを紹介しましたが、次は基本練習編です。

 オンロード・オフロードを問わずきっちり習慣にしたいこととして、スイッチを入れたら、本格的に走らせる前に、まず直線と8の字でゆっくり走らせることがあります。きちんと直進できるか、また左右の切れ角に差が出ていないかを、これらのスロー走行で確かめるのです。もしチェック段階でずれが生じているのがわかったら、時間があればサーボを外すなどしてステアリングを組み直し、きちんと修正しておきます。時間はないけれどずれが小さい場合、トリムスイッチやEPA/ATV(左右個別の舵角調整)でひとまず応急処置を施します。もちろんあとできちんと修正することを忘れずに。トリムスイッチでも修正できない重度のずれがある場合は、潔く走行を中断して、きちんと修正しておきましょう。チェックをさぼると、重度のすれが生じても気づくことなく、マシンがあらぬ方向へとぶっ飛んで大変な騒ぎになってしまう可能性もあるので要注意。

 基本チェックが終わったら、いよいよ練習開始。下記のような備えがあれば、基本的なテクニックを習得できます。

1 パイロン
 わざわざ特別にパイロンを買う必要はなく、空き缶やボトルに砂を入れればちゃんと使えます。田宮製キットの「走行練習」見本イラストをご覧いただければわかるとおり、大きな楕円や8の字走行などの目印として使います。

2 ビールびんケース
 「酒屋じゃないんだぞ〜!」と突っ込みを入れないように(笑)操縦台として使えることはもちろんのこと、整備用テーブルやいす代わりにもなり、果てはジャンプ台の土台にもなります。実際、サーキットではびんケースを操縦台代わりに使っているところも結構あるんです。

3 板
 薄手の板でジャンプ台を作るとすぐ割れますので、多少小さくても厚手の板がおすすめ。びんケースと組み合わせて整備用テーブルにもなりますし、角材と組み合わせれば小さな板も立派なジャンプ台に変身!

4 ストップウォッチ
 デジタル腕時計の標準的な機能になっていますし、最近はストップウォッチ専用機も贅沢を言わなければ安く手に入りますので、1個用意しておけば何かと役に立ちます。

5 仲間数人
 何人かでいっしょに練習すると、交代で時間を計ったり拾い役をやったりすることで、お互いのテクニックを比べてチェックできるようになります。つまりマシン1台でも、仲間がいれば楽しさ倍増!

<基本練習その1「10〜20mくらい先のパイロン1個を回って戻る」>
 足元に1〜2mのスタートラインを引き、その10〜20m先にパイロンを1個置きます。あとはスタートラインから発進させ、パイロンを回ってスタートラインに戻るだけ。実に単純なコースですが、舗装路と違って540モーターでも簡単にスピンするため、無駄なく回るのは難しいですよ〜。しかも戻ってくるときは対面走行になるので、手元にうまく戻すのがこれまた骨の折れる作業…?最初は短く、慣れたら段々と間隔を広げて、離れたときの操縦感覚を身につけておきます。
 このコースで速く走らせるコツは、「わざと後輪をスライドさせる(テールスライド)」ことと、「逆に舵を切って(カウンターステア)スライドを止める」こと。この2つの動作は、オフロード走行の基本テクニックです。
 パイロン手前でブレーキをかけ、ステアリングを切ると簡単に横を向きます。この動作で方向転換そのものは行えますが、テールスライドも度が過ぎれば単なるスピンですから、適当なところで中断しないといけません。そこでカウンターステア、つまりスライドする方向に舵を切ることで遠心力を受け流し、スライドを止めて姿勢を立て直すのです。これらの基本動作を素早くこなせるようになれば、思わぬテールスライドにも落ち着いて対応できるようになるはずです。

<基本練習その2「10〜20mの間にパイロンを何個か並べて、ジグザグ走行(スラローム)」>
 さっきのコースで引いたスタートラインとパイロンの間に、何個かパイロンを追加して、その間を走らせます。いわばスラロームの基本形ですが、これまた舗装路とは勝手が違い、舵を単純に大きく切るだけでは、マシンが外方向へと吹っ飛んでしまいます。これは路面の摩擦力が少ないためですが、対応方法としては速度や路面状態に応じて舵の切り方を工夫する必要があります。ただし、一方では路面状態によっては「段差に足をとられる」こともあるため、地形とにらめっこして臨機応変にラインを変更することも求められます。
 この練習では、慣れないうちはパイロンの間隔を広く取り、慣れたら段々と狭くして難易度を上げます。

<基本練習その3「ジャンプ台を低く飛ぶ」>
 派手なジャンプは格好よく見えますが、着地するのが難しくなりますし、空中にいる間は加速できないため、控えめに飛んで早めに着地するほうが結果として速いことが多いのです。「その1」コースの往路途中にジャンプ台を設置して、飛んだ直後に急カーブという設定を行えば、その意味をよく理解できるはずです。また、コーナーを出た直後にジャンプする設定では、ジャンプ台への進入ラインの取り方も勉強できます。
 高等テクニックになりますが、ジャンプして空中を飛ぶ間、ステアリングやスロットルの操作で姿勢をある程度変えることができます。ここではスロットル操作を例に取りますが、空中でスロットルを開けると姿勢が上向きに、逆にブレーキをかけると下向きになります。この操作を応用すれば、月面宙返りも不可能ではありません。世界チャンプの広坂正美選手は、数年前テレビ番組でアクロバット走行を披露していましたが、その「離れ業」はこれらのテクニックの応用なのです。

 これらのパターンを軸にして練習を重ねれば、ぶっつけ本番でレースに出ても、さほど慌てずに済むはずです。一方で、慣れるにしたがって不満を抱く部分も明らかになるでしょう。経験上、モーターのパワーが上がれば、ノーマルのままでは不足する部分も増えてきますので、次回からはパワーアップの下準備について講義します。