競馬空振り日記。すれすれなるままに・・・ 2000年−秋

por斎藤祐司

「競馬が人生の比喩なのではない。人生が競馬の比喩なのだ」−−寺山修司−−


過去の『競馬空振り日記』 すれすれなるままに・・・

98年、毎日王冠から有馬記念 99年、フェブラリー・ステークスから桜花賞 99年、オールカマーから有馬記念

 『競馬空振り日記。すれすれなるままに・・・』をまた書くことにする。2000年もまた秋競馬が始まった。今年は新潟が改装中なので中山連続開催。そしてG1トライアル、G1のレース体系が代わって、初めがスプリンターズ・ステークス。競馬好きとしては、お金が入って来るか、出て行くか、大問題の時期だ。このタイトルは、いつも最後の所で外してしまう馬券。そう、いつもすれすれで外してしまうのが、俺の馬券だ。野球で言えば、バットがボールにカスリもしないでキャッチャーミットに収まって三振を意味する「ストライク」のコールをされる様なものだ。「あぁ、チィップなら三振じゃなかったのになぁ」
 そんな、予想上手の馬券下手の、自分自身に戒めを込めて付けたものだ。
 ♪馬で銭儲けした奴ぁないよ、分かっちゃいるけど止めたれない♪ 人に向けて書こうと思う。

 (このページは、闘牛とは関係ないと、いう人がいると思うが、闘牛は、牛と人とのもつれ合い。競馬は、馬と人とのもつれ合い。俺の中では同じ肉体表現の1つと考えている。だから、闘牛であり、競馬なのだ。)


 9月26日(火)

 木幡初広騎手が8月18日に車を運転中に死亡事故を起こし騎乗を自粛していたが、30日から福島で復帰する。これは、過失が認められなかったからだろう。また、9月7日酒気帯び運転、速度超過の道路交通法違反容疑で逮捕された安田康彦騎手に対しては、JRAは21日、9月7日から11月6日までの騎乗停止処分を決定した。

 安田騎手は事故を起こしたわけでないのに2ヶ月の騎乗停止が言い渡され、死亡事故を起こした木幡騎手にはJRAは処分を科さなかった。ファンあっての競馬。法律違反をした安田騎手には重い処分が下された。酒気帯、速度超過と言う事をやっているようでは公正な騎乗も出来にくいと言うことなのだろう。一方、木幡騎手はルールを守った上での事故という解釈だろう。この件に関しての処分は妥当だと思う。通常の日常生活の出来ない騎手は制裁を加えられるべきだ。

 さて、今週から秋のG1が始まる。第1弾、スプリンターズ・ステークス。出走予定馬についてのコメントを書いておこうと思う。(賞金上位であいうえお順に記入)

 アグネスワールド。海外G12勝馬も日本では2着まで。海外遠征後、着地検疫を済ませ、調教を始めている。ヒシアケボノの下で父がダンジグに代わりスプリンター向きになったが母の父がパワーで押すシアトルスルーの影響で溜が効かず、脚質が1本調子。坂路で順調に調教をこなしている模様で日本でのG1制覇の期待が掛かる。今週からCコースからAコースに代わるので、内側6mのグリーンベルト地帯を逃げ切れるかどうか。

 キングヘイロー。父、ダンシングブレーヴ、母、グッバイヘイローと言う超が3つくらい付いても良い良血。今年の春、高松宮で念願のG1タイトルを取っているが、鉄砲実績がないので割り引きが必要か。それと荒れた外からの追い込みはきついだろう。 ゴールドティアラ。出否未定だが所詮ダート馬。芝じゃ用無し。  トーヨーデヘアは、ゴールドティアラが出なかった場合出走予定。この馬は、マイルがベスト。朝日杯でも、NHKでも実証済み。スプリントじゃなぁ。 ジョーディシラオキ。チューリップ賞であっと言わせたが重馬場の逃げ切り。上手く逃げれれば面白いかも知れないが、前走で勝負付けは済んでいる。 シンボリインディ。この馬もベストはマイル。マイルのG1馬もスプリントは始めて。後は岡部の腕任せ。 スギノハルカゼ。スプリンターの差し馬ももう8歳。夢は所詮夢。届かぬものよ。 タイキトレジャー。函館SSの覇者もG1馬7頭も揃った一線級相手では。 タイキブライドル。オープン馬では荷が重い。

 ビハインドザマスク。これこそ夏の上がり馬。連勝で向かえた前走、ブラックホーク、マイネルラブを刺しきった強烈な末脚はG1級。中2週が続くのと荒れた馬場、外からどれだけ追い込みが効くか見物だ。福永が自厩舎の馬で2度目のG1を狙う。

 ブラックホーク。前走ビハインドザマスクの末脚に屈したがそこは鉄砲だったという理由も成り立つ。典がどんな乗り方をしてくるのかも見物。ただ、7歳馬は来てないんだよなこのレース。

 ブロードアピール。スプリント戦で期待されていたこの馬ももう7歳。今はダートの方が良いのかも。

 ベストオブベスト。香港から本気でやってきたこの馬は、今年の安田記念馬、フェアリーキングプローンに5勝3敗。陣営は、「ビジネスである以上勝負にならないような挑戦などしない。自分達の馬が香港NO1だと思ってるし、強い馬がベストの状態で出走できれば、いい結果が出せるはずだと信じている。」と、言っている。

 マイネルマックス。3歳チャンピオンもマイルがベスト。でももう7歳。 マイネルラブ。一昨年、大本命タイキシャトルを負かしたときはビックリした。その後はあまり良いところがない。一発屋だったのだろうか。 マサラッキ。去年の高松宮の覇者ももう8歳。オジンの出番は終わっただろう。 ユーワファルコン。4歳Sの覇者もここじゃ格が違うんじゃないの。


 9月30日(土)

 今年からレース体系が代わったが先ずデータから。過去10年連対馬20頭中18頭に、芝1600m以下の短距離G1で5着以内があった。また、19頭までが芝1600m以下の重賞勝ちがあった。芝1200mの重賞に限定すると重賞勝ちが勝ったのは8頭と全連対馬の半数にも満たない。年齢別では連対率は、4歳が11.1%。5歳が18.2%。6歳が17.5%。7,8歳馬は連対実績がない。1番人気は、アクシデントがあったケイアイミラクルを除くと9頭中7頭が連対している。決まり手は、差し追い込み勢に傾く。外国勢は連対なし。

 そして今日のレース結果から逃げ、先行馬に連対馬が多かったが、10Rの4歳500万条件では仮柵を取った6mのグリーンベルトを通って最後方から差しきっていたので展開次第では差し馬が来る。

 今東京は小雨が降っている。明日の天気は曇りの予報なので稍重か良馬場で出来そうだ。展開面から考えると、逃げ宣言が出ているがそんなの言わなくたってユーワファルコンが逃げる。その後を外枠から内目掛けてダイタクヤマト、ジョーディシラオキ、が行き、アグネスワールドも行くだろう。その後を、タイキトレジャー、タイキブライドル、マイネルラブ辺り。差し追い込み勢は、内からビハインドザマスク、キングヘイロー、シンボリインディ、辺りか。典のブラックホーク好位につけるか後ろから行くのか?

 上記の情報をもとにパドックを観る前の予想は、◎は、アグネスワールド。○は、ビハインドザマスク。▲は、ブラックホーク。注は、シンボリインディ。最終的には、馬体重とパドックを観てから決める。


 10月3日(火)

 スプリンターズ・ステークスは、アッと驚く結果だった。電撃の6ハロンは、衝撃の6ハロンだったと、書いたのは、マイネルラブがタイキシャトルに勝ったときだったが、今回も驚いた。江田照男騎乗のダイタクヤマトが逃げたユーワファルコンの直後に着けて直線で抜け出すと後続を寄せ付けず逃げ切ってしまった。

 ダイタクヤマトはそういうレースをしてくるだろうと思っていたが、残るとは思っていなかった。前日の夜半から降り続いた雨で渋った馬場は当日の午後になって稍重になったがターフは荒れていた。去年の暮れ中山の1600万条件、仲冬Sで3F、32.8で逃げ後続に3馬身半の大差を付け、1.08.5で勝っていたが、それの再現をやってしまった。その時も、鞍上は江田照男だった。

 これしか出来ないレースをして逃げ切ってしまう。馬の出来が良かったんだろうが、江田はもっと立派。江田は、いつも極端なレースをする。逃げるか最後方。この思い切りがはまれば、大穴が空く。ラジオ解説をしていた清水成駿が、「江田照男じゃなきゃ勝てなかったでしょう。他の騎手じゃ駄目だった。」と、言っていた。

 正にその通り。“穴男”江田照男は9年前のメジロマックイーン降着で掴んだ天皇賞以来のG1制覇。穴の基本は、逃げ馬。最低人気か、ブービー人気。抽選や滑り込みで出走してきた馬。穴ジョッキー。これら全ての条件をクリアーしていたのが、ダイダクヤマトと江田照男だった。

 検量室前に引き上げてきた江田を多分調教師だと思うがいきなり抱きついていた。江田がビックリしていたが、ジワジワ余韻に浸るG1ではなく、まさか勝てるとは思っていなかったと言う衝撃があの抱きつきに現れていたのだろう。調教師も、馬主も、厩務員も、江田に感謝しなくっちゃ。

 生産者の雅牧場の清水哲朗さんは、平取町で、競馬場に行っていた弟からTELの第一声は、「やっちゃった」だったそうだ。「もちろん応援はしていたけど、まさかの、G1勝ちで・・・。競馬場行けなくて、頑張った馬や関係者の方々に申し訳ないです。ヤマトはつい最近まで(夏の短期放牧で)牧場に帰ってきてたんですよ。それが大仕事をしてくれるとはね。」

 雅牧場にとっては、皐月賞2着のダイタクリーヴァの雪辱を果たす念願の初G1。そしてそれ以上に牧場の基礎繁殖牝馬系から出た事、育成を手掛けた父ダイタクヘリオスとの、父子G1制覇だった。「7歳のヤマトはヘリオスの初年度産駒ですからね」雅牧場は喜びに溢れていることだろう。また、今年初めての内国産種牡馬のG1制覇だった。

 関係者の表彰式では、シドニー・オリンピック柔道男子81kg級金メダリスト滝本誠選手(JRA)がプレゼンターを努めた。

 単勝配当25750円。馬連が16頭立て16番人気と1番人気の組み合わせで25700円。恐れ入谷の穴男。取った人はえ〜だろうなぁ。お粗末。


 10月5日(木)

 今週は変則で調教は今日行われたはず。毎日王冠、京都大賞典が行われる。

 予定馬が回避したりしているのでハッキリしない面もあるが、人気になりそうは馬は出てきそうだ。先ずデータから。毎日王冠は、有力外国産馬が何頭か出てくる。アメリカンボス、イーグルカフェ、マチカネキンノホシ、マチカネホクシン、ミッドナイトベット。イーグルカフェは、NHKマイルの覇者。コースは良いだろうが、古馬、距離、調子はどうなのか、気になるところだ。マチカネキンノホシは、高速馬場と距離適性に疑問が残る。マチカネホクシンは末脚勝負。が、開幕週の東京は逃げ馬の馬場。

 トウショウノアの逃げは?が付く。連勝中のトゥナンテ、ミッキーダンスは面白いだろう。

 レースとして面白いのは、京都大賞典。出る予定でなかったテイエムオペラオーが急遽出走。負けそうな雰囲気だ。チャンスはナリタトップロード。休養明けの2頭、ツルマルツヨシは、調子次第だろう。メジロブライトは屈腱炎明け。常識的に無理だろう。


 10月7日(土)

 今日は1Rから3Rまで東京競馬場に行って来た。パドックで馬を見て馬券を買っていたが岡部の乗る馬がどうも良くない。牝馬が尻尾振って歩いていたら良いことない。2R、3Rは2頭ともそうだった。1R、2Rと馬券を失敗したが、馬は見えていたので3Rは、岡部、藤沢のダイヤモンドビコーは切って、馬番で7,8,9,10を絡めて買った。8−9が来て7950円。やっぱり、馬券はパドック観てからだよ。

 明日の重賞予想は、京都大賞典は、テイエムオペラオーは、追い切りが2本で、いくら良いタイムが出たからと言って本命は打てない。◎は、万全の状態で望んできたナリタトップロード。これで負けたら仕方ない。○は、ツルマルツヨシ。休み明けも大丈夫だろう。▲は、メジロが屈腱炎明けじゃ買えないので、急遽出走してきた実力馬テイエムオペラオー。後は距離適性とか色々あって止めた。

 毎日王冠は、超1流馬が出てこない。天皇賞を睨んでマルガイが7頭出走してくる。これがポイントになりそうだ。◎は上がり馬ミッキーダンス。調子も良さそうなので、高速の東京の馬場も大丈夫だろう。○トゥナンテ。栗東で今週の坂路1番時計を出してこちらも楽しみ。▲は、関東馬マチカネキンノホシ。休み明けと高速馬場がちょっと心配。注は唯一のG1馬、イーグルカフェ。鞍上が勝春に代わったが新馬戦を勝っているコンビで何とかなりそう。それより4歳馬と言うことで心配しているが超1流馬が出ないのでこれはクリアーできそうだ。あくまでパドックを観てから最終結論。アメリカンボスは切る。


 10月13日(金)

 どうも、秋華賞はのらない。やってもやらなくても良いレース。これから考えよう。それより明日の東京の方が良いかも。


 10月19日(木)

 秋華賞はとんでもない結果になった。大波乱の秋華賞。こんな事があるのか。さんまならきっと言うだろう。「女心は判らん」と。仕事の帰りに東京競馬場に行って東西のメインレースの馬券を買って帰ってきた。秋華賞は、桜花賞馬、オークス馬が転けるかも知れないと言うのは予想していたけれど、ティコティコタックが勝つなんて想像もしてなかった。

 井崎脩五郎が言っていたけど、中一週が3回続いてきついローテンションで出走してきた馬すらいなかったのに勝ってしまう。2着に来たヤマカツスズランは、3歳チャンピオンなので来るかも知れないと考えることは出来る。それがG1馬だから。でも、ティコティコタックは重賞は勿論オープンすら出走した事すらない。

 4歳乙女は難しい。血統が母の父ブライアンズタイム。父サッカーボーイ。2000向きって言えば2000向きだけど・・・。上がり3Fが33.9秒。馬場の良い京都でスローで流れたレースでこれじゃ後続は差せない。ティコティコタックは33秒前半で上がって来たのだろう。恐ろしい上がりだ。牝馬は本当に判らない。馬券買わなきゃ良かった。

 今週は菊花賞。本来なら2強対決の筈だが、エアシャカールの松田調教助手が、「2強と言うけど、どの馬を差して2強と言っているのか。真っ直ぐ走ってくれるかヒヤヒヤ。」と、泣きが入っている。

 それでも、トライアルで、エアを負かしているのは、アグネスフライトだけ。データでは、正に2強の一騎打ちなのだが。


 10月21日(土)

 明日の菊花賞は、データや調子、枠順などを考慮して現時点の予想をした。

 ◎は、アグネスフライト。これが順当だろう。○は、考えたがやっぱりエアシャカール。▲は、関東馬トーホウシデン。注は、地方から移籍したマッキーローレル。後は△も付けれない。縦目は引かないで馬券を買うつもりだ。変なレースにならなければいいが。


 12月14日(木)

 横浜市がJRAのWINS(場外馬券売場)に対して課税する事を議会で可決した。JRAは当然理事長が反対を証明した。当然である。いくら市の税制が苦しいからと言って横暴な税の取り方に競馬ファンとして黙っていられない。競馬の馬券売り上げのは25%は、税金に持って行かれているのだ。競馬ファンはもっと税金を安くして配当を上げるように望んできた。

 今回の横浜市の取った課税制度は根拠のない悪法である。自治省が認めればこの税制は導入される。自治省は認めるとは思えないが、こんな事を許していては競馬はダメになる。馬には賞金を。ファンには配当を。正当に配分しなかったら競馬産業は衰退していくだろう。これから、JRAのHPにアクセスするが当然そのことはもう出ているのだろう。出ていないのならガッカリだ。


 12月15日(金)

 有馬記念の1週間前追い切りが行われた。ナリタトップロードの騎手が渡辺から、関東の的場均に変わった。乗り替えを決めたのは渡辺騎手の師匠、沖調教師。今年1年のトップロードの不振と、前走ステイヤーズSの乗り方に不満が爆発したのだろう。マスコミや競馬関係者からは春の天皇賞の頃から渡辺騎手を下ろさなければテイエムオペラオーには勝てないだろうと言われていたが、ようやく決断したようだ。

 追い切りは栗東に的場が駆けつけて行われた。「イメージ通り。素直で乗りやすい馬。反応も良かった。状態も良さそうだ。」と、有馬記念史上初の3連覇に意欲を見せている。「欲を言えば、もうワンパンチ欲しい」と付け加えた。東京の2400mならともかく中山の2500mなら乗り方一つで活路は開ける。」と、なにやら秘策があるようなコメントだった。

 オペラオーの原口厩務員は、「本当にナリタに的場さんが乗るんですか」と言ったきり黙り込んでしまったそうだ。他の新聞では、「少し怖いかって、凄く怖い」と言ったそうだ。そのオペラオーは昨日追い切られた。タズナを取った和田騎手は、「JCの1周前追い切りよりシャープだった」と、コメントした。

 メエイショウドトウも調子は良さそうだ。穴で期待しているツルマルツヨシはどうも良くない。マチカネキンノホシはお手上げ状態。藤沢和調教師は、「一緒に走らせたくないけど、私はあの馬(オペラオー)のファンですよ。非の打ち所のない名馬です」と、言っている。他では、キングもボス2頭も圏外。ホットシークレットが穴かも。


 12月23日(土)

 阪神のラジオ短波杯は思った通り3強の1,2,3着になった。3頭の中で1番後から行ったアグネスタキオンが直線で凄い脚を見せて3馬身差の楽勝だった。母、アグネスフローラは無敗で桜花賞を勝った“汚れなき乙女”(杉本さんが言うには)だった。父は、あのサンデーサイレンス。つまり今年のダービー馬アグネスフライトの全弟だ。今日のレースぶりを見ると来年のダービーの最有力候補に躍り出た。

 2着に入ったジャングルポケットは、3ヶ月の休み明けというハンデがあったが、キャリア1戦のアグネスに比べれば本来は有利なはずだったが、3馬身という決定的な差は今後も詰められそうにない。ただ、4コーナーでのもたつきなどは休み明けの影響に思える。3着に入った1番人気馬、クロフネは、前2走レコードで駆け抜けていたが位置取り、追い出しのタイミングなどバッチリだったが完敗だった。最後ジャングルにも交わされてお釣りもなかった。言い訳の利かない敗戦だ。

 3頭の調教過程を比較すると、ほぼ3頭が4日ごとに追い切りをかけている。内容の違いはアグネスが坂路2本の追い切りを1週前にかけ、レースの週には、坂路1本の後,DWで5Fの追い切りをかけている。ジャングルは、ずっと坂路2本の追い切り。クロフネだけが、坂路1本の追い切り。つまり1本の追い切りしかしていないクロフネが、2本の追い切りを消化してきたアグネス、ジャングルに負けたと言うことだ。これは、厩舎サイドの考え方の違いにもよるのだろうが、1本より、2本の追い切りを消化して体を作ってきた馬が良い成績を上げたことになる。

 さて、有馬記念である。データなど色々比較した。そうすると2頭しか残らない。テイエムオペラオーとメイショウドトウ。この1点でいけるような気がする。でも、ナリタトップロードも気になる。これから風呂に入って身を清め、バーボン飲みながら腹黒い気持ちを消毒し、エンヤを聴きもう1度検討しよう。有馬は競馬馬のオールスター戦。杉本さんが言うように、「あなたの、そして私の夢が走って」いるレースだ。1年の総決算。夜にバーボン飲みながら明日の夢に思いをはせなかったらレースの半分を見なかったことになる。そんなことを言ったのは、寺山だったろうか。


 12月24日(日)

 グランプリ有馬記念を見に中山に行って来た。前売りを持ってなくてもちゃんと入れるのだ。凄い人だった。パドックも一杯。でも、椅子や新聞などを敷いて座っているから立てばもっと人が入れる。どうしてああやって他人の迷惑を考えず自分勝手な行動をとるのだろう。こんな状態になってから大分立つのだろう。それでも前から2列目で馬を見れた。これは、通いつつけていたときに拾得した経験からだ。

 今年はほとんどパドックで馬を見てこなかったのでそんなに自信がなかったが、冷静に馬の状態を見ることが出来た。競馬は縦の比較と、横の比較。清水成駿が言うとおりだ。さて内枠から馬の状態を書いていく。ツルマルツヨシは、落ち着いていたが下痢糞をしていた。それと、去年の秋の天皇賞に比べて歩様が良くなかった。マチカネキンノホシは、2人引きで気合いが入っているように思えたが時々チャカついていた。途中で落ち着いたかに見えたが岡部が乗ったらうるさくなった。3番は飛ばして、ナリタトップロードは、物見したり引き手とも呼吸が合っていないような気がした。うるさかったし尻尾を振って発汗していた。5番は、飛ばして、トーホウシデンは、2人引きで首の高い歩き方だった。踏み込みは深かったので期待したが騎手が乗ると凄くうるさくなった。

 テイエムオペラオーは、引き手が口の直ぐ近くを持って周回を重ねていた。耳を動かしているのが気になったが落ち着いていた。歩様は秋の天皇賞に比べれば劣るがこれと言って悪いところはなかった。踏み込みも深かった。だだ後脚を後ろから見るとちょっと開き気味であまり良い歩様ではないと思った。

 8番を束して、ゴーイングスズカは驚いた様に引き手を引っ張って走ったりしていた。キングヘイローは、上唇と歯茎の所に鎖を付けておとなしくされていた。尻尾を振っていた。ステイゴールドも同じ馬具を付けていた。ダイワテキサスは、ブリンカーを付けて尻尾を振っていたが落ちるいていた。メイショウドトウは、2人引きでブリンカーを付けていた。やはり歯茎に鎖を付けていたがこれがずれないように口の周りにも紐を回していた。落ち着きがあり非常に良い状態に思った。この日のパドックで1番だった。

 14,15番は競馬新聞に書き込みがない。メイショウオウドウは、尻尾を振っていた、としか書いていない。

 パドックを見た段階で、本命は、メイショウドトウ。対抗は、テイエムオペラオー。返し馬を見て気になっていたナリタトップロードを買い足すことにし、マチカネキンノホシもメイショウドトウとテイエムオペラオーに引いて買い足した。

 レースは、スタートで出遅れたホットシークレット後方から行ったのでスローになった。1コーナーでぶつかってオペラオーが後方からになった。スローで後方から・・・。心配になった。向こう正面でメイショウドトウのタズナが動く、大丈夫なのだろうか。オペラオーは未だ後方のまま。3コーナーからナリタトップロードが先頭に取り付いて行き場内が沸く。ちょっと早い様な気がした。オペラオーは馬群の中へ突っ込んで行った。直線には行ってナリタトップロードを交わしダイワテキサスが先頭に立つ。その外からメイショウドトウが並びかけこの間に馬群をこじ開けてきたテイエムオペラオーが伸びてきた。3頭の競り合いをあっさり制したのはテイエムオペラオーだった。キッチリ差しきった所にこの馬の本当の強さがある。

 あれだけ馬群に包まれたら通常は抜けて来れない。和田も落ち着いていた。これで2000年負けなしの8戦8勝。重賞8連勝。G15連勝。20世紀の終わりに物凄い記録を作ったものだ。感動的なフィナーレだった。本当に良い夢を見せて貰った。パドック通り2頭しかいらなかった。どうして1点で馬券が買えないのか自分に腹が立った。度胸がないのか、勝負根性な足りないのか、ちょっと悲しくなる馬券だった。でも、良い競馬だった。


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