下の表は1-3位ドライバーのスティントごとのタイヤ・周数・平均タイムだが、ここから2つのことがわかる。トゥルーリとバトンの差はミディアムタイヤではほとんどなかったことと、ベッテルはミディアムタイヤで速かったことだ。
ドライバー |
第1スティント |
第2スティント |
第3スティント |
タイヤ |
周数 |
平均タイム |
タイヤ |
周数 |
平均タイム |
タイヤ |
周数 |
平均タイム |
バトン |
Super Soft |
15 |
1:34.964 |
Super Soft |
22 |
1:35.473 |
medium |
20 |
1:36.131 |
ベッテル |
Super Soft |
19 |
1:35.587 |
Super Soft |
21 |
1:35.982 |
medium |
17 |
1:35.743 |
トゥルーリ |
Super Soft |
12 |
1:34.990 |
medium |
25 |
1:36.167 |
Super Soft |
20 |
1:35.820 |
トゥルーリは第3スティントが遅く見えるが、これはベッテルに詰まったためだった。トヨタは第2スティントでミディアムを選んだことが失敗だった。スーパーソフトを選んでいればベッテルには抜かれなかっかもしれないし、バトンに離されることもなかった。トヨタは力負けしたというより、作戦負けの方が大きかった。
トヨタは予選でもう少し燃料を積んでよかったかもしれない。ブラウンは予選に弱いので同じ周回数なら前に出れた。レッドブルも重すぎる作戦を取っていたこともある。
ベッテルは第1スティントでハミルトンに詰まり、第2スティントでトゥルーリに詰まった。にも関わらず最終的に2位まで上がったのは、ピットイン前の爆発力があったからだった。ベッテルには歴代チャンピオンが持つエクストラパワーがある。さらに、ミディアムタイヤでバトンより速いタイムをマークしたのも大きい。
ベッテルは予選のQ1とQ2で最速だったが、Q3はあえて燃料を重くしていた。ミディアムを短くしたかったのかもしれないが、その心配は不要だった。今後、ベッテルが重い作戦をとらなくなれば、PPから飛び出して優勝というパターンが見えてくる。
さらに言うと、バーレーンの予選セクター2最速はベッテルだった。セクター2は旋回性能が問われる区間で、マシンの素性が良いことがわかる。バルセロナで強そうだ。
バリチェロは短い第2スティントで速く走りたかったのみピケに詰まったのが痛かった。第3スティントでも後半に詰まっており、すべてが裏目に出た。
ハミルトンは予選セクター1最速で、ストップ&ゴー区間でのマクラーレンの強みを見せた。これはモナコで生かせそう。KERSを生かし始めてもいる。
ライコネンは入賞したが上位争いが出来る片鱗は見せられなかった。
ブラウンは横綱相撲をとっているように見える。しかしその差はそれほど圧倒的ではない。ヨーロッパラウンドでライバルに逆転される可能性はある。
その筆頭はレッドブルだが、トヨタもチャンスは十分ある。ただしドライバーの力がベッテルほどないのでマシンで劇的な向上が必要だろう。シーズン中の開発力こそは、かつてフェラーリやマクラーレンが王座をとったときの源泉だ。
ブラウンはバリチェロが実は速さを生かせていないので、チームプレーが出来るかどうかがチャンピオンシップ争いに大きく影響するだろう。
ドライバー評価
チーム評価
レース評価
バトン今季3勝目、トヨタの夢砕く
ベッテル2位、トゥルーリ3位
ライコネン6位でフェラーリ4戦目初ポイント
スタートでグロックが前、トゥルーリ後。バトンがハミルトンを抜いて3位浮上。バトンは2位トゥルーリに僅差でピタリ付く。11,13周目に軽いトヨタが先にピットインすると、バトンは15周目のピット後にトヨタの前に出る。グロックは7位後退、トゥルーリが2位で望みをつなぐ。しかしトゥルーリは中盤に遅いハードタイヤを選んでバトンからズルズル離される。トゥルーリは2回目のピットでベッテルにも逆転され3位に下がる。バトンが2戦ぶり今季3勝目。トヨタは策を弄するが勝てない。フェラーリはライコネンが6位に入り、4戦目で初ポイント。全車完走かと思われたが、残り8周で中嶋がピットに入り唯一のリタイヤ。
トヨタ最前列独占
トゥルーリPP,グロック2番手
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