生涯にわたる発達課題と対応策
−より良い共生のために−
安心できる場所を増やすことで、一つでも多くの可能性(できる)を広げていきたい。
パニックや癇癪を起こさず安定していられる場所から場所へと綱渡りして行くうちに、自分の世界がどんどん狭められてしまうようでは、おかしいと思うから。
(2002.4.2〜)
身体操作と、非言語的コミュニケーションの問題 | できること | できないこと | |
1 | 視線・表情・身振りなどが、ぎこちなかったり硬い感じがする。 | ソーシャルスキル・トレーニング | 筋肉・神経の生来の特性なので、限界がある。 |
2 | 視線・表情・身振りなどを、他者に警戒されないためのサインとして使えていない。 | ソーシャルスキル・トレーニング | 筋肉・神経の生来の特性なので、限界がある。 |
3 | 視線・表情・身振りなどを、自己を主張するサインとして使えていない。 | ソーシャルスキル・トレーニング | 筋肉・神経の生来の特性なので、限界がある。 |
4 | 姿勢が悪かったり堅苦しい感じがする。 | ソーシャルスキル・トレーニング | 筋肉・神経の生来の特性なので、限界がある。 |
5 | 動作がぎこちない。 | 感覚統合訓練・ムーブメント訓練 | 筋肉・神経の生来の特性なので、限界がある。 |
6 | 他者から不審に思われるような、行動や態度をとってしまうことがある。 | ||
7 | 一度覚えたことがら・仕事・手順・動作を、変更できない。 | ||
8 | 一連の動作を身体で覚えることができず、次にやることや順序を考えながら行動している。 | ||
9 | 予期せぬ事態や割り込みなどで一連の動作が遮断されると、自分のやっていることが判らなくなる。 | モノトラックなので、限界がある。一度に一つずつしかできないことを、本人も周囲も認識していた方がよい。 | |
10 | 自分のするべき行動が分かっていても、要求に応じて身体を操作することに困難がある。 | 感覚統合訓練・ムーブメント訓練 | 運動能力・操作性の生来の特性なので、限界がある。 |
11 | 他者の表情・動作・行動に無関心。 | 侵入しない間接的なかかわり(同じモノを一緒に見る・同じことを並行して行うなど)を通じて共感する経験を重ね、安心できる人への愛着を形成する。 | 注意・認知・かかわりの生来の特性なので、限界がある。 |
12 | 他者の表情・動作・行動に注意は向くが、意味が理解できず関心がないような振る舞いをする。 | 絵カードなど({顔の表情と感情}{動作・動きの意味=何をしているのか?}での学習。 | 注意・認知の生来の特性なので、限界がある。 |
13 | 他者の表情・動作・行動の意味を取り違えて、間違った(奇妙な)反応をしてしまう。 | 絵カードなど({顔の表情と感情}{動作・動きの意味=何をしているのか?}での学習。 | 注意・認知の生来の特性なので、限界がある。 |
14 | 他者の表情・動作・行動に続いて起こることを予見できず、トラブルを回避できない。 | 絵カードなど({顔の表情と感情}{動作・動きの意味=何をしているのか?}での学習。 | |
15 | 複数の他者の行動を見て、暗黙の内に了解している行動上のルールを読み取ることができない。 | ストーリー性のある絵カードなどでの学習。/環境の構造化/サイン・記号・色分け・目印などで、場所・時間の区別や仕切りをハッキリさせる。 | |
16 | 普通なら見れば分かるようなことでも、情報の読み取りが悪くいちいち説明を求める。 | ソーシャルスキル・トレーニング/指導者の監督下で、いろいろなことを実地で体験(場数を踏む)。 | |
17 | 集団内で暗黙の内に了解しているようなことを明確にしようとして、ヒンシュクを買ってしまう。 | ソーシャルスキル・トレーニング/指導者の監督下で、いろいろなことを実地で体験(場数を踏む)。 | |
18 | 集団内で暗黙の内に了解していることが分からずに、危険な目に遭ってしまう。 | ソーシャルスキル・トレーニング/ストーリー性のある絵カードなどでの学習。 | |
19 | 順を追った、明確で具体的な動作の指示がないと、自分のするべき行動が分からない・できない。 | 動素分解・環境の構造化 | |
20 | 行動上のルールを理解することはできるが、状況に応じて即座に行動を調整できない。 | ソーシャルスキル・トレーニング/指導者の監督下で、いろいろなことを実地で体験(場数を踏む)。 | |
21 | 身体の大きさや動作・動線・行動に見合った物理的距離を、周囲の物や人との間にとることができない。 | ソーシャルスキル・トレーニング | |
22 | 空間に対する身体の位置や、人数に見合った空間の分配ができない。 | ソーシャルスキル・トレーニング | |
23 | 身体感覚が希薄だったり自分の外観に無関心なため、身だしなみの配慮ができない。 | ソーシャルスキル・トレーニング | |
24 | 使用できる行動パターンが限られていて、活動範囲がせばめられている。 | ハビリテーションスキル(主に生活管理)・トレーニング/いろいろなことを実地で体験(場数を踏む)。 | |
25 | 状況に応じて、声の抑揚や大きさを調節できない。 | ソーシャルスキル・トレーニング/声の大きさを数字で表示したり、ビデオに録画するなどし、自分の現況を本人にわかりやすい形で呈示する。 | |
26 | 相手の声質や声のトーン、表情や仕草に気をとられ、相手の言わんとしている事柄をつかみそこねてしまう。 |
言語的なコミュニケーションの問題 | できること | できないこと | |
1 | 言語によるコミュニケーションが、ほとんどできない。 | 身体・絵・写真・実物・サイン・記号など、本人のコミュニケーションレベルに応じた手段を利用する。 | 本人の発達を待ち、発達レベルに合わせた対応をする。 |
2 | 相手の言ったことをオウム返しするか、決まったパターンの反復的な答え方をする。 | 本人の発達を待ち、発達レベルに合わせた対応をする。 | |
3 | 見たこと・聞いたこと・思ったことを、そのまましゃべってしまう。 | ||
4 | 他者には通じない、独特の言葉使いをする。 | ||
5 | 何の説明もなしに難解な用語を使い、他者が理解しようとしまいとおかまいなしにしゃべる。 | ||
6 | どんな話題に対しても、自分のこと・自分の知っていることしか話さない。 | ||
7 | 話し始めのタイミング・話し終わりのタイミングを、いつもつかみ損ねる。 | ||
8 | 相手が期待する反応ができないばかりか、人の気持ちを損ねるようなことを言ってしまう。 | ||
9 | 状況や相手に応じた話法や言葉使いの選択ができない。 | ソーシャルスキル・トレーニング/絵本・絵カード・人形劇などを利用する。/ロールプレイングやシュミレーションなどの予習をした後に、指導者の監督下で実地体験(場数を踏む)。/地道に、いろいろな場面で指導する。/見分けるコツや目印などをつかめるように、指導する。 | 文法や語義の正確さにこだわりがある場合と、言語に関する学習障害がある場合とでは、対処法が違う。状況や相手によってパターン化できるが現場での調整ができない場合と、いついかなる状況・相手に対しても同じパターンしか使えない場合とでも違う。認知の障害があって、状況や人に関する情報の読み取りに間違いを生じやすい場合もある。 |
10 | 自分の言ったことに自分で答えたり・笑ったりして、自己完結してしまう。 | ||
11 | 言葉の表面的な意味しか理解できなかったり、比喩的表現を理解できなかったりする。 | ||
12 | その場では、人の発言に即座に対応できない。 | 言われたことを(音声も含め)そのまま記憶していて、後になって意味が解かることが多い。 | |
13 | |||
14 |
集団とのかかわり | できること | できないこと | |
1 | 特定の個人や愛着対象者としか、かかわりを持つことができない。 | ||
2 | 集団での活動には無関心で、ほとんど常に孤立している。 | ||
3 | 集団での活動には無関心ではないが、自分で決めたところ・できるところだけ参加する。 | ||
4 | 集団での活動に参加しようとするが、方法がわからずなかなか入れない。 | ソーシャルスキル・トレーニング | |
5 | 集団での活動に参加する意欲はあるのだが、入れてもらえない。 | ソーシャルスキル・トレーニング/集団の他の成員に説明し、理解を求める。 | |
6 | 集団活動での振る舞い方がわからないため、不安症・恐怖症・緘黙症・抑うつ状態になりやすい。 | ソーシャルスキル・トレーニング/環境を整備・構造化する、要求を下げるなどにより、不安要因を減らす。/本人に、状況をわかりやすく説明したり見通しを立てて、苦手場面を少なくする。/集団の他の成員に説明し、理解を求める。 | 生来の合併症や神経の特性なので、限界がある。 |
7 | 行動障害(多動・衝動性を含む)があるため、ほとんど集団行動ができない。 | 環境を整備・構造化する、要求を下げるなどにより、行動障害の引き金になる物事を減らす。/本人に、状況をわかりやすく説明したり見通しを立てて、苦手場面を少なくする。/集団の他の成員に説明し、理解を求める。 | 生来の合併症や神経の特性なので、限界がある。 |
8 | 問題行動が多く、ほとんど集団行動ができない。 | ソーシャルスキル・トレーニング/行動療法/本人の考えや意見を十分に聞いて、不安や不満を解消するように努める。/集団の他の成員に説明し、理解を求める。 | |
9 | 集団的ないじめやからかいに遭いやすい。 | ソーシャルスキル・トレーニング/集団の他の成員を教育し、理解を求める。 | |
10 | 集団での取り決めに、断固として従おうとしない・明らかに反抗する。 | ソーシャルスキル・トレーニング/行動療法/本人の考えや意見を十分に聞いて、不安や不満を解消するように努める。 | |
11 | 何らかの集団に参加・帰属することを、積極的に拒否する。 | 本人の考えや意見を十分に聞いて、不安や不満を解消するように努める。 | |
12 | 特別な技能や知識があって、社会的な役割を持っている。その限りにおいて、何らかの組織に所属できている。 | ||
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14 |
情動交流の問題 | できること | できないこと | |
1 | 他者が呈示するものに、ほとんど興味関心を示さない。 | 侵入しない間接的なかかわり(同じモノを一緒に見る・同じことを並行して行うなど)を通じて共感する経験を重ね、安心できる人への愛着を形成する。 | |
2 | 他者に対して自分が興味関心を持っているモノを示して、共感や批評を求めようとしない。 | 侵入しない間接的なかかわり(同じモノを一緒に見る・同じことを並行して行うなど)を通じて共感する経験を重ね、安心できる人への愛着を形成する。 | |
3 | 他者に関心を示そうとせず、達成感や喜びの共有に応じない。 | まずは療育者が歩み寄り、本人が何を喜びとし、何を恐怖しているか知る。人といて楽しい・安心できるという思いをした経験をすることで、始めて「共感」は成立する。 | |
4 | 他者が情緒的な共感を求めて働きかけると、拒絶する。 | ||
5 | 相手に対する反応をパターン化して、機械的に応じているだけ。 | ||
6 | 一見、他者に興味関心が向いているようだが、「聞きたいから聞く・言いたいから言う・あげたいからあげる」だけで、それ以上の動機が無く、人との係わりは成立していない。 | ||
7 | 他者からの反応に対して、一見、適切な応答ができている。が、杓子定規でマニュアル化されており、それ以上の人との係わりは成立していない。 | ||
8 | 人と係わる時に、言語の元となるイメージ記憶の再現をするだけで、人に対する要求語(〜したい・〜して欲しい)がほとんどない。 | {本人がアクションを起こす時には、テレビ・実際に経験したことの一場面で行われている会話の記憶イメージ}に基づいて行動している。人と係わる際にも、同じ方法を使っている。「こちらから係わる」という方向のベクトルしかない場面では、それ以上の人とのかかわり(ことらの発話に対して反応があることや、感情的な交流が起こること)を想定していない。これは、単に言葉の問題ではない。 | |
9 | 人との双方向のやりとりもできているが、↑のイメージ記憶の再現が始まると、収拾がつかなくなる。 | ||
10 | 人との会話は、かなり自然だが、時折、↑のイメージ記憶の再現に基づく意味不明や脱線ととられる発話をする。 | ||
11 | 人との会話は、かなり自然だが、言い放つだけで終ってしまい、そこから展開していかない。(相手に、拒絶されたかのような印象を与えてしまう。) | ||
12 | 同時にたくさんの情報を処理できないため余裕がなく、他者の存在を無視しているかのようなふるまいをする。 | ||
13 | 同時にたくさんの情報を処理できないため余裕がなく、他者に対して拒絶的な態度をとってしまう。 | ||
14 | 同時に、たくさんの情報を処理できないため余裕がないことを本人が自覚していて、相手に説明できるが、他者に不快感を与えてしまう。 | ||
15 | 一見、知識が豊富そうだが、人の言ったこと・どこかに書いてあったことを羅列しているだけ。 | ||
16 | 通常、無意味・無価値だと思われているものに、特別な意味や価値を付加する傾向がある。そのために、人との係わりが希薄になっている。 | 感覚・認知の生来の特性なので限界がある。できれば、職能や趣味に結びつけたいところ。精神的な安定を取り戻すために、必要なこともある。 | |
17 | 物の一部や機能とは関わりのない要素(音・振動・光・感触・匂い…)への固執がある。そのために、人との係わりが希薄になっている。 | 感覚・認知の生来の特性なので限界がある。できれば、職能に結びつけたいところ。精神的な安定を取り戻すために、必要なこともある。 | |
行動上の問題に成り得ること | できること | できないこと | |
1 | いついかなる状況でも一定の決まった行動をとろうとして、周囲とトラブルを起こす。 | 社会的に好ましい範囲のものに、少しずつ行動を置き換えて修正していく。 | |
2 | その場の状況にそぐわない、強迫的・反復的・儀式的・固執的な行動がある。 | 人を巻き込まないものに、行動を置き換えて修正していく。 | |
3 | 癇癪・自傷・他害・突然走る・その場で寝転がる・眠ってしまう…などの衝動的な行動がある。 | 環境を整備・構造化する、要求を下げるなどにより、混乱の原因を取り除く。/状況をわかりやすく説明したり、見通しを立てて、苦手場面を少なくする。 | 生来の合併症や神経の特性なので、限界がある。混乱が起きることを、予め知っておく必要がある。 |
4 | さまざまな要因によって、パニック発作を起こす。 | 環境を整備・構造化する、要求を下げるなどにより、パニックの要因になっていることが明らかな物事を、なるべく回避する。/状況をわかりやすく説明したり、見通しを立てて、苦手場面を少なくする。 | 生来の合併症や神経の特性なので、限界がある。パニックを起こすことを、予め想定しておく必要がある。 |
5 | 興奮しやすく、一度興奮し出すとなかなか収拾がつかない。 | 行動療法 | 生来の合併症や神経の特性なので、限界がある。 |
6 | 身体の一部または全身を使った、常同的・反復的で日常的な動作がある。 | 人を巻き込まないものに、行動を置き換えて修正していく。 | 感覚・身体の生来の特性なので限界がある。 |
7 | 感覚的・身体的に許容できない環境条件がある。 | 感覚・身体の生来の特性なので限界がある。 | |
8 | 環境の変化に抵抗を示す。安定していられる環境条件が決まっている。 | 感覚・身体の生来の特性なので限界がある。 | |
9 | 時間割や予定の変更に、対応できない。 | ||
10 | 予期しない出来事・予想に反する出来事に、ひどく混乱する。 | ||
11 | 「こだわり」が強く、人との「かかわり」を阻害する要因になっている。 | ||
12 | 自分の「こだわり」を他者に強要したり、自分の「こだわり」に反する他者の行動を許さない傾向がある。 | 自分がやっていることを、自分自身が自覚することが第一歩。ただし、信頼関係が成立していない人からの忠告は逆効果になることが多いので、要注意。 | |
13 | 自分独自の考えに固執して、決してそれを変えようとしない。 | ||
14 | 他者に対して自分が興味関心を持っているモノを示して、一定の反応を常に求める。 | ||
15 | 自分が興味関心を持っている事柄を、一方的に他者に見せたり教えようとする。 | ||
16 | 何を見聞きしても、自分のこと・自分に対する指示だと思ってしまう。 | ||
17 | 語や文の置かれた文脈を無視し、自分自身で意味づけしたり結合したりしてしまう。 | ||
18 | 論理的な推論をし過ぎるあまり、現実離れした結論を導いてしまうことがある。 | ||
19 | いくつかの行動パターンを使用しているが、状況の読み違いや失敗が多い。 | ソーシャルスキル・トレーニング | |
20 | 何かに没頭するあまり、他者の存在を忘れているような感じがする。 | 生来の注意の特性なので、限界がある。この集中力をうまく活かせば、仕事上有益。 | |
21 | 興味関心を持つ対象が極端に狭く、その内容や強さが尋常でない。 | 生来の興味関心の特性なので、限界がある。職能や趣味に結びつけたいところ。 | |
22 | 実行能力の障害があり、{企画立案→見積り→実行する}ことに困難がある。 | ||
23 | 注意の転動が激しく、課題遂行上の障害になっている。 | ||
24 | 想起パニックを起こす。 | ||
25 | 言われたこと・書いてあったことを、額面通りに受け取って鵜呑みにしてしまう。 |
適応のために有用に見えていること | 精神的な負荷への配慮と不適応への警戒が必要 | |
1 | 我慢したり感覚遮断して、感覚的・身体的に許容できない環境条件を乗り切れる。 | |
2 | 様々な行動パターンを駆使して、外見上は普通に振る舞うことができている(パターンの使用に、誤りが少ない)。 | |
3 | 相手が期待する反応をパターン化して、機械的に応じている。 | |
4 | 一定の役割や位置付けに収まって、集団に参加している。 | |
5 | 置かれた立場に応じて、自分のとるべき行動パターン(役割)を決めて対処している。 | |
6 | 置かれた場面に応じて、自分のとるべき行動パターン(キャラクター)を決めて対処している。 | |
7 | 他の成員との間には距離を置いているが、リーダーや上位者と「かかわり」を持てている。 | |
8 | 数人の援助者や理解者との「かかわり」を保って、集団内におさまっている。 | |
9 | 常時、過緊張状態にある。 | 本人は自覚していないが、胃腸症状・過食などの身体症状に現れていることがある。 |
10 | 特定の分野に興味関心を持ち、細部にわたる専門的・暗記的な知識が豊富である。 | |
11 | 「こだわり」が職能に結びつき、社会生活を可能にしている。 | |
12 | 「こだわり」が趣味に結びつき、余暇生活の楽しみになっている。 | |
13 | 「こだわり」によって、人との「かかわり」や「コミュニケーション」が可能になっている。 | |
14 | 口頭では双方向のコミュニケーションができていなくても、書面では不都合を感じさせない。 | |
15 | 記憶力がよく、そっくりそのまま覚えていることが多い。 |
周囲との関係 | |
1 | 「相手に理解を求める」と言っても、理解できる人とできない人がいることは、ここでは計算に入っていない。理解できない人や、理解しても感情がついて来ない人もいれば、理解どころか突け込んで来る人もいる。「環境を整備する」と言っても、いつもいつも整備できるとは限らない。 |
2 | 無理解と最悪の条件下に置かれてパニック・自傷・他害・癇癪・うつなどが重くなり、そのことが周囲の対応を悪くさせるという悪循環を繰り返してしまうこともある。逆に、これらの症状によって周囲や本人が窮状を察して、好転するきっかけになることもある。 |
3 | 論理的思考よりも感情に流れやすい・横並びを良しとし頭一つ出ただけで引き摺り下ろそうとする・一人一人が違っていることを前提としていない、日本という「風土」についても考慮しなければならない。日本社会そのものに、受け入れらの素地ができていないので、自閉症の概念が広まらないという側面もある。 |
4 | 他者から見えている自己像・他者に見せる自己像を重んじ生活を第一とする現代的な価値観には適わなくても、他者の視点の取り込みのない在り方をしているからこそできる芸術や科学のような分野もある。多少の摩擦は覚悟の上で、その生き方を貫くことが必要なこともある |