並びは発売日順。書名からはAmazonアソシエイトにリンクしている。
ちなみにゲームソフト『モンスターファーム』の発売日は1997年7月24日である。
1997年9月発行
早くて薄いことに定評があるVジャンプシリーズ。『2』では特典CDがついてきたが今作には無い。
昔読んだきりなのであまり覚えてない。買い直す気もないが100円コーナーにあったら買うかも。
1997年9月発行 アスペクト
子供向けでわかりやすさ重視のVジャンプと比較すると、大人向けの落ち着いた内容。
表紙イラストはポケモンカードでおなじみの
データは非常に充実しており、ライバルモンスターの詳細のように他社の本では見られない情報も。
もっとも序文に「知っていてもそれほど意味もないものもあります」とあり、実用よりデータ重視の本である。
プレイヤー向けというより、似たようなゲームを作ろうと考えているクリエイターにこそ参考になるかも。
モンスターの技に関してはこの本が一番丁寧で、具体的な威力や命中率補正、ガッツダウン値、使用後の間合いの変化まで記載。
さらに種族ごとの固有技(合体などで誕生したときに必ず覚えている技、サブ血統で決まる)に触れているのは、地味にこの本だけの気がする。
モンスターバトルの成り立ちや、円盤石再生の仕組みといった、マクロな世界設定が解説されている。
同時期の同社の攻略本としては『ポケットモンスター図鑑』に近い雰囲気を感じる(あちらほど詳しくはないが)。
その一方で個別のモンスターに関する設定などは皆無に等しいので、後述の『モンスターファームマニア』で相互補完される形である。
探検データでは、カララギの展望台の発掘物がアルタケーキではなく本来のデータになっている。
実際のプレイでの検証ではなく、メーカーからの提供資料をそのまま使ったのだと思われる。
「合体では"2体目のサブ×1体目のサブ"のパターンは選ばれない」(実際は選ばれる)
「合体で上位技のみを継承した場合、下位技は修行で覚えられなくなる」(実際は覚えられる)
「相性が悪い合体では、稀に全能力に+15%が加算される」(実際は条件を満たした場合に能力別に30%)
等の、明確に誤りである怪情報に注意。もしかしたら開発中のバージョンではそうだったのかも知れないのだが。
他に明確な誤りとしては、レアモンスターのデータが純血のコピペになっているというのがある。
成長適性は同じだから問題はないのだが、真面目さやガッツ回復力の違いが反映されていない。
最強モンスター育成法として潜在能力を高める必要性にたびたび触れているが、ご存知のように実際はオーバーフローで役立たず化する。
他にも最初にカララギマンゴーを100個与えるという、間違ってはいないがあまりにも非効率な攻略法を提唱している。
全体的にデータは詳しいのだが、肝心なところでミスがある上に実用的な情報に乏しい。
攻略本というよりも参考資料としての価値のほうが大きいと思われる。
1997年11月発行 メディアファクトリー
ファンブック的な色彩が強く、特にモンスターデータでは設定解説から出現CD情報までかなりの情報量。
没含む設定画が乗っていたり、世界設定に触れていたり(例えばこの世界にはラジオはあるがテレビはまだ無いとか、ワカクサケンザイは材木商のネーミングライツだとか)、
制作者の趣味でモンスター別に深堀りした(特に攻略に役に立つわけでもない)記事など、読んでいて楽しい。
特にラクガキの元ネタとして、幻の怪作『がんばれギンくん』について最も詳しく扱っている書籍ではなかろうか。
モンスター情報に関しては再生CDの情報入りであり、モンスターのみならずCDへのコメントもある。
「古いシングルは中古でもなかなか売ってない」「邦楽のアルバムは値段が下がりにくい」等、当時の事情が垣間見える。
今となっては100円コーナーで投げ売られているようなタイトルですら高かった時期があったのだ。
CD全盛期の夢の跡を食い荒らしながらプレイしている現代人には見えにくい視点といえる。
誤記がやたら多く、特に増築や探検の条件については思いっきり間違っているので注意が必要。
データ面では、なぜか技に関する解説が皆無なのは単純に手落ちだと思うのだが。
また育成についても根拠のない情報が多く、例えば「成長期になったら超溺愛にすると壽命が大幅に伸びる」あたりは謎。
ただ、当時は(僕の友人たちなどが)みんな真に受けて超溺愛で育てていたような気がする。
全体的には読み物として楽しい本。特にCD探しの生の声などは、このような本でしか読めないだろう。
当時のプレイヤーの空気を味わうという意味でおすすめしたい。
1998年1月発行 エニックス
第2巻 1998年1月発行
第3巻 1998年10月発行
このような企画が通ってしまうほどには人気ゲームだったのだなと伺わせる一冊。
今(2024年)ほどには中古CDが気軽に安く買えなかった時代、出現モンスターを把握しておくというのは重要だったのだろう。
手元には第3巻がある。最初の数ページにはごく簡単なモンスターの特徴やおすすめ技があり、最低限の攻略本になっている。
巻末の索引では第1巻・第2巻のデータを引くことができる。
メイン部分は「ヒット曲」「ゲームソフト」「洋楽」「サントラ」「演歌」の5カテゴリ別に、ひたすらデータとコメントを掲載。
しかしアーティスト名では引けても、CD名(曲名)での索引が無いのが少し残念。
1998年7月発行
文字通りのSUBで、本巻に欠落していた技情報をはじめとした情報。
98年夏は、『1』を用いた大会としては最後となる第4回モンスター甲子園の真っ最中であり、予選日程やルール解説がある。
なお奥付では7月31日発行となっているが、その時点だと多くの予選がすでに終了している。
(ゆえに、実際に店頭に並んだのはそれよりもやや早かったと思われる)。
前巻では完全に欠落していた技についての情報あり。
大会で実況を務めたテクモの藤田課長(当時。2024年現在はコーエーテクモクオリティアシュアランス代表取締役社長の藤田一巳氏)インタビューなど、よりディープな情報も。
1998年9月発行 双葉社/ファイティングスタジオ
攻略本としては最後発で、ゲーム発売から1年以上経過、すでにモンスター甲子園も終わっている。
全体的に密度が濃く、少ないページ数に必要な情報がしっかりまとまっていて使いやすい印象を受ける。
全編にわたって漢字にはルビが振られており、お子様でも安心。
各ページ下部には「ブリーダーのつぶやき」として投稿コメントが。
また巻末にはジョークだらけの用語集がある。このあたりのライブ感は他の本にはない特徴。
注目すべきはバグ情報にも触れているという点。
例えば潜在能力オーバーフローの「恐怖の役立たず」の名称はこの本が由来である。
合体の隠し味による能力強化が、誕生直後に冬眠させると消えてしまうことにも言及。
モンスターを各種族別に4大大会制覇まで育てる実践例は参考になる…と見せかけて、トロカチンEX販売後を前提としている。
つまりゲーム内で30年以上の時間が経過した前提であり、クリア目的ではまず使えない。
(ただし、ピクシーとゴーストはトロカチン系を一切使わずに育てている模様)
それならばいっそオール999の手引を種族別に教えてくれればいいのだが、そこまで踏み込んでもいない。
結果として初心者に対しても上級者に対しても、どっちかつかずの内容になっているのが残念。
一応、どのモンスターでも丈夫さは最低100は確保しているなど、ちゃんとわかっている感じなのは救いなのだが。
(一方で、ライフと丈夫さの配分がおかしい例も散見されるのだが)
CD再生情報はレアモンスターが出現するもののみで、1ページに集約されている。
リンドバーグ「君のいちばんに…」(エステシャン)、折笠愛「太陽があたためた気持ち」(アオゾラ)のように、かなり後から判明した偶然の一致にも触れている。
探検について、Dランクから可能という誤記がある(実際はCランクから)。
これは『モンスターファームマニア』にも見られた誤りで、同じソースを参照してしまった可能性がある。
一方でカララギの展望台からは(設定ミスにより)アルタケーキしか出ないことをしっかり書いている。
それ以外は明確な誤情報がなく、データの配置も見やすいという点では、初心者に一番おすすめできるのはこれである。
今さら紙の攻略本が必要とされる場面も少ないかも知れないが、たとえばお子さんに与えてみてはいかがだろうか。
なお1999年2月25日には『モンスターファーム2』が発売される。
本書の中では続編を待望する声があるのだが、本屋に並ぶ頃にはすでに発表されていたかも知れない。