更新:2021/07/09
このページは、主に金銀発売より前までの、インターネット上におけるポケモンサイトの歴史を追うものである。
ただし、製作者自身が日常的にネット接続できるようになったのは1999年の4月からである。
それ以前にも塾のパソコンから接続したことはあったが、利用できた時間・期間はごく限られていた。
そのため、現在WebArchiveから参照できる情報や、あるいは記憶や印象に基づいている部分を多く含む。
突っ込みや情報提供については歓迎する。twitterだと素早く反応できると思う。
なお原則として、人名(ハンドル)は敬称略としている。
製作者の守備範囲により、どうしてもゲーム攻略に偏った内容になってしまうのはご容赦いただきたい。
諸事情につき、現存しないサイトはURLのみの紹介としている。
WebArchiveには残っている場合も多いので各自で調査のこと(直リンすると消えることがあるので…)。
任天堂公式サイトがこの年の6月21日に開設されていたことが確認できる。
(アーカイブにおける最古のログが1997年で、そこに開設一周年とある)
「ポケットモンスター赤・緑」の商品紹介ページもこの頃には既に存在していたと考えられ、現在でもそのままの形で残っている。
個人によるポケモンサイトがこの頃に存在していたかどうかは不明。少なくとも現状では確認できなかった。
なおニュースグループのfjにおいては、後述するhiwasaさんが1996年中に「ミュウの作り方」を投稿している。
もっともシンプルな「(外見のみの)ミュウを作る技」を最初に投稿したのが1996年5月20日、
それを発展させた「本物のミュウを作る技」を投稿したのが同年11月25日のようだ。
ちなみに当時のログはGoogleグループにてアーカイブ化されている(「Pocket Monsters」での検索結果)。
とはいえ、いずれもミュウの公式公開よりも後の話である上に、サイトでも語られているように反応もいまいちである。
また同サイトでは、インターネットではないがパソコン通信(ニフティ)の一部フォーラムで多少話題になっていたらしいことも触れられている。
ポケモンセンターのソファでハマる件についてなのだが、時系列的にはいつのことかは不明。
後述のひめはじめさんのインタビュー記事によると、少なくとも秋頃には掲示板やチャットを使い、
ポケモンファンの子供たちが交流する風潮があった模様。
ただしログがすぐに流れてしまう性質のもので、情報として整理・蓄積されていたサイトは存在しなかったようだ。
(そして、そのことがサイト開設の動機となったとのことである)
書籍『ポケモン・ストーリー』において「ミュウを出す裏技」が、公式公開前の1996年春の時点でネット上で公開されていたかのような記述があるが、
上記の事情を考えると正しくないと思われる(掲示板やチャットで話題に挙がった可能性は否定できないが)。
この件についてはブログ記事「初代ポケモン セレクトバグとミュウの「発見」」も参照。
1月29日、ゲームフリーク公式サイトが公開される。
同年の下半期ごろにはポケモンコーナーである「ポケモンセンター下北沢本店」をオープン。
現在では閉鎖されているが、開発資料の公開や、読者からの質問に直接答えるコーナーなど貴重な情報が見られた。
URLは以下の通り。アーカイブからの発掘は各自で行うこと。
http://www.gamefreak.co.jp/POKEMON/INDEX.HTM
個人によるファンサイトが生まれたのもこの年だと言って良いだろう。
前述のように、これ以前にもネット上でポケモンに関する話題が無かったわけではないようだが、
本格的な「ポケモンサイト」が誕生して情報が蓄積され、ファン同士の交流が活性化したのはやはり1997年だと思われる。
この頃は、小中学生がパソコンの使い方を練習するついでに自らの好きなものを紹介するスタイルのページや、
あるいはアニメや声優がきっかけでポケモンを知った、アニメファンの大人によるサイトが多かったと思う。
この年には初の公式大会が行われ、64マリオスタジアムの番組内対戦コーナーも盛り上がっていたが、
当時の参加者自身はこの頃のネット上に足跡を残していない。少なくとも今となっては全く確認できなかった。
97年と98年の大会参加者は、自分が知る限り1名を除いて今日のインターネット上からは風のように姿を消している。
大会に付随したオフ会が開かれて、参加者同士のネットワークが縦横に走るようになるのは2年ほど待たねばならない。
また、「ミュウを作る方法」を始めとする各種バグ技がインターネット経由で拡散したのも基本的にはこの年以降である。
セレクトバグに関する基本的な情報はネット以前に雑誌ファミマガで公開されていたというのは前述のブログ記事のとおりだが、
情報交換が活発化したり、詳しい大人の視点でまとめられたりしたのは1997年以降の出来事である。
・ポケモンだいすきクラブ(ひめはじめ/ひめにゃーす) http://pokemon-daisuki.com/
Yahoo検索で「ポケモン」と入れると真っ先に出てきた、誰もが認める当時の最大手サイト「ポケモンだいすきクラブ」。
というより、このサイトがあったからこそ「ポケモンを専門に扱うサイト」というジャンルが誕生し、
多くのファンが自らのサイトを公開、リンク集や掲示板を通じた交流ネットワークが形成されたと言っても過言ではない。
いわばポケモンサイト界のパイオニア的存在であった。
1997年1月公開(ソースは、後述のサイトログの自己紹介より)。
なお、現時点で発掘できた最も古いURLは→ http://www.t3.rim.or.jp/~pokemon/
現在は同じ管理人による、MOTHERシリーズのファンサイトとして再利用され、アーカイブを掘ってもそれしか出ない。
その次に古いと思われるのは→ http://www.maccentral.or.jp/pokemon/
下記のインタビューで紹介されてるのもここ。3度目の引越し先であるとのこと。
比較的長く使われており、古参には馴染みの深いURLではないだろうか。
後述のサイトからすると、大学サーバ→ベッコアメ→リムネット→MacCentral→独自ドメインと移転を繰り返したようだ。
いわゆるバグ技の類は、ネット上では基本的にここを中心にして広がったと考えて間違いはない。
遅くとも1997年中にはかなりの情報が集積されていたはずである。
一方で投稿に頼っていたためにお世辞にも質の良い情報とはいえず、それゆえに後述するhiwasaさんが本格的に調べる動機になったとのことである。
インターネットマガジン1998年9月号 No.44において、顔出しでインタビュー記事が組まれている(We Love Internet People)。
現在ではpdf化されて上記リンクから誰でも閲覧可能。
余談。ひめはじめ氏は遅くとも1995年にはネット上で活動を開始している。
本業は放送作家で、ウェブでは「Gallery Man-hole! 女性器の想像図100人展」というアート企画(95年10月より)でも知られている。
書籍『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』においては、ポケモンを差し置いてそちらのほうで紹介されている。
URLは http://www.st.rim.or.jp/~hime-ft-/ (注:現在では上記企画は削除済み。アーカイブで2004年以前を掘ろう)
なおこのURLは1999年までしか辿れないので、だいすきクラブと共に旧アドレスからリムネットに移転した可能性があり、
そこからだいすきクラブの旧URL(ひいてはだいすきクラブの最古の姿)を探れると思ったのだが、リンクを辿ってみても旧URLらしきものは確認できない。
・ポケモン文化マラソン専門学校(ストラタ・ストライク) http://www.hcom.co.jp/~matsu/superpoke/illusthome.html
伝説的なポケモンサイト。当時は大人気だったようだが、活動期間が短かった上にろくにログも残っておらず、
当時の閲覧者以外にはその偉大さが伝わりにくいと思われるサイト。
僕がネット上で活動し始めた頃には既に無かったが、各地のリンクで名前を見る機会は多かった。
ポケモンサイトの第一次ブームの波に乗れなかったというコンプレックスは今となっては思い出である。
・hiwasa's game page.(hiwasa) http://www.geocities.com/TimesSquare/Castle/5553/
「個体値」「努力値」の名付け親であり、ミュウの作り方を始めとするバグ技の研究も熱心で、後の時代に多大な影響を与えたサイト。
逆アセンブルによるデータ解析ではなく、改造ツール経由の人力調査だったという点はもっと知られるべき。
アーカイブにも残っているがミラーサイトを探したほうが手っ取り早いかも知れない。
また、任天堂スペースワールド97のポケモン金銀体験記もシステム面に深く切り込んでいた。
後述する「おぶりー工房」の体験記とともに、製品版とは異なる旧バージョンを偲ぶ貴重な資料である。
ミュウの話をしたので念のため触れておくが、
この時点では「タマムシシティでミュウを釣る」「fifth法(特殊エンカウント)」といったバグは全く知られていなかった。
特に「ミュウを釣る」というのは1999年以降、主にライトユーザーを中心に広まった情報なので、時代も層も異なる。
広く知られたのは1999年以降で、後述する解析サイトである#z80さんの「Pokemon Analysis」の掲示板でもトピックが立ったのだが、
当時の住民はほとんど関心を示さなかった(もっと簡単確実にミュウを「作る」方法が知られていたため)。
どうもこのバグ技は、「ポケぱー」こと「THE!ポケモンぱーふぇくと攻略」が主な拡散源のような気がするのだが確証はない。
少なくとも「ポケモンだいすきクラブ」に掲載されていたことはない模様である。
この件に関してはブログの記事として別途まとめたので参考までに(情報提供歓迎)。
ともあれ、世代によっては初代を代表するバグ技となってしまった「ミュウを釣る」であるが、ネタにする場合は時代考証には注意すること。
間違っても1996年の出来事としてこのバグ技をほのめかすようなことが無いように(僕みたいに面倒くさい古参に突っ込まれるぞ)。
・まつだじゅんのホームページ(松田純) http://www.urban.ne.jp:80/home/jun/
ポケモンサイトというより「小学生が作ったサイト」として有名で、当時のPC誌などでも紹介されてた記憶。
当時のリアル小学生の生の声が気になるならアーカイブを掘ってみよう。
リンク集は圧巻。現在でもアーカイブで各地のサイトを巡る場合はポータルとして極めて有用。
なおサイト自体はなんと1995年からあるようだが、ポケモン関連コンテンツは97年にできた模様。
・ポケモンクラブ(ひらちゅー) http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~so043965/
WebArchive経由で発掘できた最古のページ。
当初はプレイ記録の紹介がメインだが、後に攻略データなども整備される。
・おぶりー工房(でめりん) http://www2.tky.3web.ne.jp/~deme/
旧URL→ http://www2s.biglobe.ne.jp/~demerin/
イラスト系サイト。ゲーマー視点での考察記事などもあった。
ポケモンショックの折には打ち切り反対の活動(個人サイト管理人、バナーによる意思表明の推奨)を行ったりも。
このサイトを語る上で特に重要なのは任天堂スペースワールド97のポケモン金銀体験レポートである。
イラスト入りのレポートは貴重で、製品版には採用されなかった没ポケモンの姿を後に伝える資料になった。
特に「ホノオグマ」や「クルス」といった没ポケモンのイラストは各所で転載・模写された。
公式イラストと誤解されているのも見た覚えがある(それだけ絵が上手いということ)。
昨年末の重大事件により、ポケモンファンは暗い雰囲気で年を明かした。
金銀もこの頃には発売しているはずだったのに相次ぐ延期に加えて続報が途切れていた。
この年で更新が途切れたサイトや、97年時点で存在していたはずなのにアーカイブですら掘れないサイトがかなりある。
一方、大きな出来事としては「ポケモンスタジアム」の発売が挙げられる。
公式大会は前年に行われたが、実際にそのルールで対戦が成立する機会は少なかった(Lvを揃えるのも大変だった)。
ポケスタの発売によりゲーム内でルールにあわせて戦える相手ができたというのは非常に大きい。
これによりポケモン対戦が加熱。本格的な考察がなされるようにもなった。
これに関連し、対戦攻略のための常軌を逸した育成法や非道な戦術に対して、ロールプレイの点から疑問を呈するという、
現在ではちょっと考えにくいタイプの意見が目立ったこともある。
ポケモンはゲームの駒である前に愛すべきキャラクターだという認識を物語る、当時ならではの声かも知れない。
・不思議なホームページ(ペコキチ) http://hccweb1.bai.ne.jp/pekokichi/
あくまで1コンテンツという扱いだが「やるぜポケスタ」と題したページがある。
もともと門外漢(しかしゲーマーとしては筋金入りのベテランである)が、1から98カップを考察するという内容。
その考察の道筋は、今日的にも対戦攻略としての資料として極めて重要だと思われる。
世界を駆け回るビジネスマンでありながら今なおゲーマーであり、日記の更新頻度も高い。
余談だがサイト自体は97年に開設しているので、見方によっては最古の現存ポケモンサイトといえる。
・グリフィンアイランド(サトチ) http://www2u.biglobe.ne.jp/~endo-c/
1998年10月10日オープン。
当時から現在に至るまで、継続的な管理がなされているポケモンメインのサイトという意味では最古だと思われる。
小説風プレイ日記が売りで、以前オフ会で見せていただいた資料では手書きでマップなどをまとめており、
家庭用ゲーム黎明期からのベテランゲーマーの風格を感じさせてくれた。
・Wind Load(ゲイツ) http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Icho/4308/index.html
98カップの出場ポケモン33種類を3グループに分けた「マリオスタジアムルール」の解説をしていたサイト。
ルール自体も今となってはほとんど知られていないので、その解説というだけでも貴重である。
・民営ヨシダジム(けろりん/水玉螢之丞) http://www.vc-net.ne.jp/~kerorin/index.html
旧URL→ http://www.vc-net.or.jp/~kerorin/index.htm
ポケモンカード関連では最初期のサイトだと思われる。ゲーム関係では著名なイラストレーターの水玉螢之丞氏がご夫婦で運営。
「めざせ!ポケモンカードマスター」という書籍でも紹介されていたようだ(なにものか氏情報)。
(僕が当時カードにはあまり興味がなかった上に、ポケカに関する部分はアーカイブでも掘れないので詳細はわからない)
名物企画に「みないでピカチュウ」というものがあり、これはお手本を見せずにピカチュウの絵を描かせるというもの。
漫画家やイラストレーターをはじめとする大物が名を連ねていたと記憶している。
この年は、悪名高い「ポケモン同人誌事件」で幕を開けた。
一部とはいえネット上のポケモンサイトにも少なからぬ影響を与えた。
この時、ある有志が個人によるファンサイトのガイドラインを任天堂に求め、回答が得られたという一件がある。
しかしガイドラインは必ずしも周知されていなかったし、違反しても罰則が適用されたという話も聞かない。
今となっては完全に過去の話なので、興味のある方は適当にぐぐって…と言いたいがもはや発掘困難だろうから、
こちらに全文を掲載した。
おそらくは同人誌事件に端を発して、この頃からネット上において公式とユーザーの距離感が広がった気がする。
具体的には、公式側が個人サイトに言及する機会が大幅に限られるようになった。
それ以前では公式の関わる雑誌や書籍で紹介される機会も多かったのだが、
このような事件の後ではファン活動を表立っては公認できず、かといって潰すわけにもいかないので「黙認」しかできなくなったのだろう。
99年から本格的に活動を始めた僕は、98年以前のサイトのお祭り感との断絶をうっすらと感じる機会が多かったような気がする。
明るい話題としては、この年の夏ごろについに「金銀」の具体的な情報が公開されて大いに沸いた。
・Pokemon Analysis(#z80 & teamPA) http://members2.cool.ne.jp/~z80/pokemon/
本格的な解析サイトにしてマニアの溜り場だったところ。現在もミラーサイトがある。
hiwasaさんの解析が改造ツールによる数値の書き換えと確認による人力調査だったのに対し、こちらはプログラムを逆アセンブルしていた模様。
当初はおおっぴらにリンクを貼ったりすることが憚られるような、裏っぽい雰囲気が強いサイトだった。
「教えてボード」という無記名かつ短文ツリー型の掲示板も盛り上がっており、ディープなネタが飛び交っていた。
(現在ログは公開されていないが、個人的に保有している)
・タマムシ学園(JUN) http://www2u.biglobe.ne.jp/~jun-easy/index.html
ダメージ計算なども前提とした本格的ポケモン個別解説の元祖と言ってよいだろう。
主に、当時の公式ルールであった99カップをメインに、ポケモンスタジアム2での挙動を前提にした内容である。
ただし対等な相手というよりは、無知な相手に対してガチ育成の底力を見せてやれ!的なノリが見られる。
まだまだネットに繋いで育成資料を噛み砕いて理解できるということは一種の特権だった時代なのである。
活動期間は短かったが、掲示板も賑わっており当時多くのトレーナーが訪れたはずだ。
・ポケモン情報サイト「palette」 http://park3.wakwak.com/~pokepale/
グッズ発売やテレビ放送、イベント開催などの情報が過去から現在に至るまで網羅されている。
公式サイトでは検索性も悪い上にすぐに消えてしまう情報が多いので、資料として大変重宝するサイトである。
今までに何度となく休止と再開を繰り返しているが、現在でも高頻度で更新を続けており、
過去の情報も閲覧可能な状態で残してくれている。ポケモンファンに対する貢献度が極めて高いサイト。
・翔のページ(かける) http://www2u.biglobe.ne.jp/~kakeru/
このコンテンツの製作者のサイト、すなわちここのトップページである。
ネットをはじめたばかりの頃、「自分にしかできないコンテンツを作りたい」と思って開設。
当時の高校生が本名(爆)を使って勢いで始めたサイトが20年以上残っているというのは、ポケモンに限らず我ながら稀有な事例だと思うのだがどうか。
それにしても当時は新参者のつもりだったのに、気が付けばポケモンサイト界の生きた化石となってしまった。
メニューへ戻る