◆14.安楽行品
前の章では末世に於いて法華経を弘めるには相当な覚悟が必要であり、多くの人がその覚悟を釈尊に述べました。そこで釈尊は仏の滅後に法華経を弘める者の心がまえをこの章で説かれました。身・口・意・誓願の四項目あるので四安楽行といいます。安楽とは平生の生活と変わりない安らかな心をいいます。第一にいろいろの修行をしてもこれを行じたと誇ることなく、人に対して平等な心で接し、真理を求めてゆく、その他にも地位権力者に近づかぬこと、俗悪な物に近づかぬこと等を指摘されました。これを身安楽行といいます。第二に日常の言葉についてあやまちのないよう務めること。その為には人の過失や欠点を言わず、他の人をバカにせず、そのような心を言葉に現わしてはならない。これを口安楽行といいます。第三に日常の生活での心がまえは、嫉妬の心をすてて求道を軽んぜず、すべての人々に平等を教えを説かなければいけない。これを意安楽行といいます。第四に法華経を弘めるという理想をたててこれを実現するために努力せねばならない。これを誓願安楽行といいます。以上四つを実践することが、仏の滅後に於いて法華経を弘めるための唯一の方法であると説かれました。
|