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神は気まぐれ?

◆気まぐれな神々
 ギリシア神話のゼウス神については、次のように説明される。 即ち、人間は二つの運命を持つ。自ら選択し、その結果向かえる運命。 そして、選択が不可能な運命、我々が選択できない運命とは、たとえば自然災害、事故などがある。 これらは、ゼウスの怒りであり、神々の気まぐれなのである。 神々の王、全能の神、ゼウスは、神々と人間の支配者であった。 彼の意思は「掟」であり、彼の気まぐれは「運命」であった。 その足音は雷鳴であり、その微笑みは繁栄であり、その怒りは破滅であった。 ゼウスの名は「明るく輝く空」を意味する。空と山の頂上を領域とした。 オリュンポスの山頂を玉座に、雲を天蓋に、雷電を王笏に、君臨した(ヴァーチャル絵画館)。
 
 ギリシア神話の成立した頃、地中海一帯では、人々は主として農業を営んでいた。 しかし、気候は不順であった。例えば、わが国のようにモンスーン(季節風)が 毎年規則的にやってくると、さして不思議とは思わないが、 ギリシア神話時代には、季節風(雨季)はとても不規則であった。 数年ごとにしかやってこないこともあった。
 いくらゼウスなどの神々に祈雨しても、神々は素直に人々の願いを聞き入れてくれず、 神々の勝手な思惑により、思い出したように雨を降らすのであった。
 したがって人々の間には、神々のこのような勝手気ままとも受け止められる行為 −  「神々の気まぐれ」と云う概念が定着していた、とされている。
 〔森林の思考・砂漠の思考の項参考〕
 
 やがて乾燥状態が続き、土地は砂漠化し、人々は定住型農業を捨てて、移住型の遊牧民として 放浪せざるを得なかった……。
 即ち、カインの放浪の旅であった → 『聖書の起源』土地取得伝承。
 
 ところで、聖書の神の性格について(『聖書の起源』などから推察すると)、 気まぐれと云いましょうか、嫉妬心が強いと云いましょうか、えこひいきがあると云いましょうか……。
 即ち、前述”気まぐれな神”の影響を受けているような場面に ときどき出会うような気がするのは自分だけなのであろうか?
 
* ギリシア神話
 古代ギリシアの諸民族に伝わった神話・伝説を中核として、様々な伝承や挿話の要素が組み込まれ累積してできあがった、世界の始まりと、神々そして英雄たちの物語である。古典ギリシア市民の標準教養として、更に古代地中海世界での共通知識として、ギリシア人以外にも広く知れ渡った神話の集成を言う。
 
 ローマ神話の体系化と発展を促進し、両者のあいだには対応関係が生み出された。またプラトーンを初めとして、古代ギリシアの哲学や思想、そしてヘレニズム時代の宗教や世界観に影響を与えた。キリスト教の台頭と共に神話の神々への信仰は希薄となり、やがて西欧文明においては、古代人の想像の産物ともされた。しかし、この神話は古代の哲学思想だけでなく、キリスト教神学の成立にも大きな影響を与えており、西欧の精神的な脊柱の一つであった。中世を通じて神話の生命は流れ続け、ルネサンス期、そして近世や近代の思想や芸術においても、この神話はインスピレーションの源泉であった(Wikipedia)。

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