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13 からめ節金山踊り

二、旧からめ節
 
 その後旧からめ節は、段々と大成されてきたと考えられる。人前で演じ
られる機会が多くなり、歌詞もまた改められ、太鼓・三味線・鉦なども加わ
ってきた。
 しかし、前述の藩主巡見を機に、旧からめ節は、一応の完成をみたわけ
である。もし、ほかに、旧からめ節と異なる歌い方があるとすれば、それ
は、歌う人の個性の違いであると考えるのが妥当であろう。
 
 旧からめ節の歌詞は、前唄三節、踊唄十五節の十八節から成り立ってい
る。曲調は、近世小唄調のものに変化してきて、はやしは、太鼓・三味線・
鉦の三拍子である。
 
(前歌)
 一、おせや おせおせ 青ばんおせば
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    おせば 直利に近くなる
       ハァー ドッコイ ドッコイ
二、直利ァ 出てくる 坑夫は勇む
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    まして 旦那さま お喜び
       ハァー ドッコイ ドッコイ
三、直利ァ 親父の 金場を見れば
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    白(金偏+白)で山築く 富士の山
       ハァー ドッコイ ドッコイ
 
(本唄・踊り唄)
四、からめ からめと 親父嬶カカアせめる
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    なんぼからんでも からめたてゃならぬ
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて からめて千貫
    親父の借金 年賦ですませ
五、金カネが出る出る 銀シロがね黄金
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    鉄も鉛も 銅アカがねも
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて からめて千貫
    どっさり掘り出せ おくにのたからだ
六、からす鳴く鳴く 床屋の屋根で
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    お山繁昌と 鳴くからす
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて からめた黄金は
    鹿角の花だよ どんどん吹き出せ
七、田舎なれども 鹿角の里は
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    西も東も 金カネの山
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて からめた黄金は
    どっこい千両 どっこい万両
八、金の牛コに 錦の手綱
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    おらも引きたい 引かせたい
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて しっかりからめて
    握った手綱を うっかりはなすな
  
九、朝の出がけに お山を見れば
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    黄金まじりの きりが降る
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて しっかりからめて
    どっしり掘りだせ 郷土オクニの名物
十、直利ァ 出てくる お山が盛る
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    かみも こまえも皆さかる
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて しっかりからめて
    どっこい繁昌 どっこい繁昌
十一、目出た 目出たの 若松よりも
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    さかるお山の 黄金花
       ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
  ハァー からめて からめて しっかりからめて
    かねつる千年 からめは万年
十二、一に稲荷の鳥居が赤い
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    まして直利の 金赤い
       ハァー ドッコイ ドッコイ
十三、からめ からめと お山の唄は
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    お山繁昌と なりひびく
       ハァー ドッコイ ドッコイ
十四、西は台所 東は床屋
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    いつもどんどん 音がする
       ハァー ドッコイ ドッコイ
十五、赤沢山より 元山よりも
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    白(金偏+白)のとる山 田郡山
       ハァー ドッコイ ドッコイ
十六、踊り元山 唄田郡山
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    三味の引く山 赤沢山
       ハァー ドッコイ ドッコイ
十七、親父大黒 かかあ恵比寿顔
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    一人娘は 弁才天
       ハァー ドッコイ ドッコイ
十八、東尾去沢 西小真木
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    南大葛に 北小坂
       ハァー ドッコイ ドッコイ
 
 前唄は三節、踊り唄十五節、全部で十八節であった。祝宴などでは現在、
九節目(最後)に、次の唄を歌って終わることとしている。
 
九、あまり長いと 踊り子 こわい
       ハァー ドッコイ ドッコイ
    ここは良いとこ なかのきり
       ハァー ドッコイ ドッコイ

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