△大湯環状列石第24次発掘調査現地説明会 H19.11.17
参考:大湯環状列石第24次発掘調査現地説明会資料
△第24次発掘調査の概要
1 調査の概要
調査地・対象面積 H1区 17,400u
調査面積 1,300u
調査期間 平成19年7月17日〜11月20日
2 調査の目的
@野中堂環状列石の南側に位置する「野中堂配石遺構群」と関連のある
遺構の広がりを確認する。
A万座環状列石の西側では、湧水地の周辺から竪穴住居跡が検出されている。
南東側斜面には湧水地があることから、竪穴住居跡などの遺構がないか確認する。
B縄文時代の地形の確認。
3 第24次発掘調査の成果
@検出遺構・出土遺物
配石遺構 3基
石列 1条
焼土遺構 1基
出土遺物 縄文土器破片・石器(コンテナ1箱)
B検出遺構の概要
ア 配石遺構
調査区の北西側、南側からあわせて3基の配石遺構が検出された。
これらは、西暦915年に降ったとされる「十和田a降下火山灰」の下にある
黒褐色の土の層から見つかっている。
見つかった3基の配石遺構のうち、第1号と第3号は長軸の両端に石を立て、
平らな石を置いて楕円形を作っている。第2号も楕円形の配石で、長軸の両端に
立てた石が倒れてしまったものと考えられる。
これまでの調査でも、配石遺構の下には土坑が確認されており、野中堂配石
遺構群の調査では、配石の下から甕棺が出土していた。
このようなことから、第1号配石遺構を調査したところ、配石の下から長さ
約1m、深さ30pほどの土坑が見つかった。地山をわずかに掘り込んでいて、
底は平らになっていた。
確認された土層や周辺の出土遺物から、これらの配石遺構は、万座環状列石
・野中堂環状列石が作られたのとほぼ同じ時期に作られたものと考えられる。
イ 石列
第2号配石遺構の南側で見つかった。同様の石列は野中堂配石遺構群や
万座環状列石の北側でも見つかっている。空間を区画するために作られた
と考えられる。
4 まとめ
今年度の調査では、
@野中堂配石遺構群がさらに南側にその分野を広げていること。また、その分布は石列の延長線上であること。
A万座環状列石の西側に見られるような竪穴住居跡は、野中堂環状列石に存在する
可能性が低いこと。
が確認された。
今回検出された3基の配石遺構と石列は、構築された時代からみても、
野中堂配石遺構群が作られた時期と同時期のものと言える。特に、第2号配石遺構と
石列は、野中堂配石遺構群の石列の延長方向に位置しており、野中堂配石遺構群の
一部であると考えられる。
また、検出された配石遺構の周辺や石列の延長線上も拡張して調査をしたが、
配石遺構は確認されず、石の抜き取り痕なども見られなかった。このことから、
第2号配石遺構と第1号・第3号配石遺構との間にも配石遺構は作られなかった可能性が高いとが考えられる。
5 課題
今回第1号・第3号配石遺構が見つかった調査区南側には、動かされた石が点在して
いた。周辺に抜き取り痕のないこれらの石が運ばれてくるもととなった配石遺構が、
今年度の調査区のさらに南側に存在した可能性が考えられる。また、調査区南端部
斜面では、抜き取られたとみられる石も確認されている。平成20年度、第25次
調査では、この南側が対象となっており、これらの配石遺構の抜き取り痕の有無を
確認する。
また、今回の調査では野中堂配石遺構群で検出されていた石列の
延長線上に配石遺構が構築されていたが、南側に進むにつれて、
その分布状況が変化するかどうかについても注目していきたいと思っている。
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