山の枯木のつぶやき(4) |
元祖物語り (1)ミソつけタンポ 私達の若い頃は、秋になると新米の出るのが待ち遠しくて、新米が出たと聞くとサアー、 切りタンポ会をやろうと張り切ったものだ。 その切りタンポにもいつの間にか、「ナベ」がついて、「切りタンポ鍋」として年中出まわるようになり、 すっかり季節感がなくなり、新米に期待する楽しみもなくなってしまった。 それはテレビのせいか、商売熱心のせいか知らないが、 今は色んなことが、すぐ全国に広まってゆく。 いつ頃だったか忘れたが、NHKであったと思うが、全国の「ナベ料理」なるものを紹介する番組があった。 ナンとかナベと、みんなが鍋がついている。鍋がないとできないのはわかるが、 地元では一々その料理に「ナベ」をつけているのだろうか、一度聞いてみたいものだと思っていた。 そのうちに鹿角の番がまわってきた。 花輪の旧家?が舞台だ。イロリに火をたいて鍋をかけた。 テレビでは「切りタンポナベ」といっている。 サア、その旧家の奥さん何んというか、そこが私の一番気になるところだ。 その奥さんがいった、「切りタンポ鍋をつくる」と、 私はナンジャコリャとがっくりした。切りタンポの本場、発祥の地と自負する鹿角だ、 テレビが何んといおうと、よその真似して鍋をつけなくてもいゝじゃないかと思った。 大体私達がママ(ご飯)をたくとき、ママナベ(釜)をたくというか。 ミソ汁をつくるときにミソ汁鍋をつくるというか、と一人憤慨してみたが、待てよ、と思った。 元々花輪の方では「切りタンポナベ」といっているのかもしれない、 なんといったって旧家のいうことは権威がある。田んぼもつくらない金掘りがとやかくいったところで、 はなしにならない、知らないのは私ばかりなのかもしれない。 それにしても九州の方までは聞きに行けないが、能代や男鹿の方の人達に「ショッツル」に鍋がつくかと、 と聞いてみたいと思っている。 |