鹿友会誌（抄） 「第七冊」

△和歌及漢詩 ○霜ばしら集　　　路すゐ 　雪もふらで異郷の空に初春と　語らふ窓に霰たばしる 　落魄の人をかくまで泣かしむと　知らば寒月心して照れ。 　かざすべき甲手のなきをば恨みけり　雁鳴き渡る霜しろき夜。 　工業界に身を投ぜんとて 　右手に筆左手に槌を握りつゝ　十字架負ひて世に戦はむ。 　 ○題しらず 　道遠み世の波風のわれに強し　それよ御神の高きみ心。 　 ○（漢詩）　　　阿部驢水 　月夜感懐 氷輪照徹露華清、碧落無雲雁影横、去国多年落魄。不禁今夜望郷情。 　遇成 破窓風冷客愁長。窓外雁声又断腸。夢醒却悲親舎遠。何日昼錦返家郷。 　送青山兄之台湾 離愁別恨奈難留。雲海茫々万里遊。借間他時能記否。品灣曾掉月明舟。 　秋雨懐青山兄在台湾 江東多病臥柴扉。旅雁鳴来人未帰。秋雨蕭条秋欲暮。可憐別後尺書稀。 　京城逢晩秋 荒涼秋労洛陽城、今夜初旺夜雨声。枯葉一枝吹不落。通宵欹枕客魂驚。 　 　驢水、未習詩之、今始試之、文字滅裂、誤謬寔多、唯祈諸兄雌黄。

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