鹿友会誌(抄)
「第二十一冊」
 
△亡友追悼録
○画家 小泉政吉君
 会員小泉政吉君、大正二年三月首尾克く東京美術学校を卒業するや、志す処ありて、 同年十月米国に渡航し、大に為すあらんとして、奮闘努力、年を閲すること七年、大正 八年三月二十五日不幸病を得て帰朝の途、加州バークレーに於て客死せらる。前途多望 の身を以て空しく異境に夭折す、悼惜に堪へず。次に君の死期を将に頻せんとするに当 り、親しくその病床を訪れたる在加州川村直哉君が、遺愛の人に送れる書信の一節を採 録して追憶の科となしぬ。

[次へ進んで下さい]