4403米ブク粟ブク
参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
昔あったのです。
米ブクと粟ブクは、とても仲の良い姉妹でした。
米ブクは死んだ母さんのの娘で、粟ブクは今の母さんの娘でした。継母ママハハは何時も
米ブクをいじめ、粟ブクばかりを可愛がっていました。
ある日、継母は町へ出かけることになり、米ブクと粟ブクをよんで、
「風呂に水を一杯汲んで風呂を沸かし、水瓶二つにも一杯水を汲んでおくように」
と言いました。米ブクには古い漏る手桶を与え、粟ブクには新しい手桶をやりました。
米ブクの水瓶は、いくら水を汲んでも一杯になりませんでした。粟ブクは、自分の新し
い手桶を貸して、仲良く水を汲み、水瓶も一杯にして、風呂も沸かしました。そこへ継
母が帰ってきて、
「粟ブクよ、米ブクに手桶を貸したね」
「米ブクよ、粟ブクの手桶を盗ったね」
と、ひどく怒りました。
その晩のことでした。
継母は、
「米ブクが居ると、何時までも粟ブクと二人だけで暮らせないので、米ブクを山奥へ捨
ててくる」
と言いながら、箱を作っていました。米ブクはびっくり仰天して、米ブクの処へ行って、
「姉さん、ご免して下さいな、オレの家の母さんはな、鬼と同じようなので、言い出し
たらどうにもなりません……。姉さん、箱の隅に小さな穴をあけておくので、その穴か
らこの花ッコの種を落として行って下さいな、きっと赤い花が咲くので、その時、赤い
花ッコを目印に、きっと助けに行くからね」
と言って、粟ブクは花の種を米ブクに渡しました。
暗くなった頃、米ブクは箱に入れられ、継母に、ずっとずっと山の奥に連れて行かれ
ました。けれども、花ッコの種ッコをしっかりこぼして行きました。
それから暫くして、粟ブクは山に向かって行きました。小さな赤い花ッコは、ずっと
続いて咲いていました。
「米ブク姉さん……!」
と叫ぶと、赤い花ッコが、
「こっちだぇー、粟ブクー」
と揺れました。
山の奥の小高い所で、赤い花ッコは止まっていました。そこを掘り返すと、米ブクが
出てきて、二人は泣いて喜びました。
「あんな鬼のような母さんの処から逃げましょう」
と、粟ブクと米ブクは、手を取り合って山を越え、町へ行って幸せに暮らしました。
意地悪ばかりしていた継母は、誰にも相手にされず、一人で淋しく暮らしました。ど
っとはらぇ。(大欠)
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