13304オドさんが居ない
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 ひどい吹雪の夜のことでありましたね。
 俺家オラエのオド(父)さんは、酒ッコが好きな人で、何時も酒ッコを飲んで働いている
のでした。馬橇で魚屋の荷物運びをしていた時のことでしたね。『オドさん、遅いなあ
……』とみんなで待っているところへ、馬だけが橇を曳いて家に戻って来たために、み
んな、びっくりして、探しに出たのです。その晩げは、ひどい吹雪で、とっても難儀で
した。あちこち探して、やっと見つけたとき、オドさんは、石野の近くの川原を歩いて
いたのですよ。『どうしてこんな所に……』と思って訊いたら、
「灯りコが見えたために、家だと思って、馬橇から降りた」
と、しゃべったのですよ。
 オドさんは、狐にだまされたのですよ。(瀬田石)
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