5909勝負谷地の話
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 秋田藩と盛岡藩との境界争いのとき、葛原の木次谷源十郎と内田氏が勝負谷地で勝負
したが、源十郎の爺様ジサマが、
「おがぁ、おがぁ、とっちゃへ何か食わせてやって呉れろ」
と言ったら、妻女オッカアが、
「今朝は、遅く起きたので、湯浸け(お湯をかけたご飯)を食わせてやりました」
と答えたら、
「ああ、それなら、とっちゃは戸板に載って来るな」
と言った。
 
 その日、源十郎は敗れて死亡した。
 これ故、朝の出がけに湯浸けとか、汁掛け飯を食ってはならぬと、人々への仕付け習
わしの喩えとされ、今に伝えられている。(大欠)
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