16 吉祥院の大公孫樹(小豆沢)
 
        参考:八幡平地区連合青年会発行「むらのいぶき(八幡平の民俗)」
 
 小豆沢の大日堂の近く、家並から一段と高い丘にある寺院「吉祥院」は静かな佇まい
である。そこの境内に樹高三十五米余の樹容を示しているのがこの大公孫樹イチョウである。
長年の風雪を受けて樹皮の彫りも深く、その分厚さが逞しさを感じさせる。
 大枝は多数入り組んで、傘のように空に広がり、辺りを圧倒している。長さ二米余も
ある大小の気根が七八本垂れ下がり、その年月差を物語っている。このイチョウは雄株
で実を着けず、樹齢千四百数十年という。
 
 この巨木には「だんぶり長者」にまつわる伝説がある。
 即ちその昔、だんぶり長者なるものの娘「秀女子」が内裏に宮仕えし、ときの第二十
六代継体天皇のお后となり、「吉祥姫」の名を賜った。やがて、長者の亡き後この地に
下り、間もなく父母の後を追った。埋葬された土に姫の使った「イチョウのつえ」を立
てたところ、それが生長して今の大木になったという(その後風害により倒木)。
 
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